やらせ報道で朝日の社長は引責辞任しましたね、ナベツネさん。
同様に、このたびの読売の一連の問題は愚かな誤報ですらなく、明確な目的を持った自作自演によるもので、一連の嘘を上塗りをも明らかに企図していました。
であれば、メディアとしての責任の大きさは「サンゴ礁に落書きしたやらせ報道の結果として社長が辞任した朝日」(もちろん、生命への殺傷はならないことですが)、を思い返すと、影響度の大きさからも国家のコントロールを狙う悪質さからも、決して小さなものとは言えません。
渡辺主筆の国会証人喚問に賛同します。
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柏崎刈羽原発の7号機の水漏れに、ついに、ひび(傷)が起因していることがこの8日に分かりました。
浜岡原発が「必ずしも安全でないわけではない」、などという仰天の司法判断の後、柏崎刈羽の問題は、きわめて小さな取り扱いとなり、当然現在は、大きな、つくられた「政局」であるけれど、できるだけこのことを軽く扱うように意図されているようにも思えてきます。
また、共同通信電では、「微小な穴」という表現 で、「キズ」に比べればいくぶん表現を和らげているようにも感じられます。
新潟日報 原発の溶接部にキズで水漏れ
東京電力柏崎刈羽原発7号機の原子炉上部のウェルと呼ばれる水張りスペースから放射性物質を含む水が漏れた問題で、東電は8日、ウェルのステンレス製内張り(厚さ6ミリ)の溶接部で2カ所の微小な傷が発見されたと発表した。中越沖地震の揺れで、ウェルと使用済み燃料プールとを仕切るコンクリートブロックが溶接部に当たった可能性があるとしている。
傷は7日、ウェルと同プールの間に設けられた燃料移動用の通路の両脇で、1カ所ずつ見つかった。通路は、原子炉の定期検査などの際に燃料を水面下で移動させるためのもの。地震発生当時、7号機は運転中で、通路はコンクリートブロックなどで仕切られていた。
傷は、2日に始めた発泡剤を使った点検で確認された。目視では見えないため、今後マイクロスコープなどを使って詳しく調べる。
この問題では、先月上旬にウェルの内張りから水が漏れ、同中旬にはウェルから漏れたとみられる水が階下のコンクリート壁のひびから漏れ出していることが分かり、東電がウェルの水を抜いて点検していた。点検は11日まで行われる。
新潟日報2007年11月8日
また、最近のTEPCOのプレスリリースを見ると、傷は仮補修して点検を続行する、という趣旨が記載されているだけでした。
さらに、7号機の制御棒が引き抜けなかった件を分析しても、原因にあたる事象は確認されていない そうです。
(原因が特定できなかったとは、問題がないというよりは、抜けなかった原因が究明できないというより憂慮すべき状態と考えるのですが…)
なお、上掲の新潟日報は読売系列であることを知っていますが、原発をめぐる構造的な問題については「原発の父」でもある正力松太郎氏や、原子力行政に遠慮することなく、現地の意識と生活を重視した情報発信を続けていると考えます。(2003年のこの記事 に始まる連載をご紹介させていただいたこともあります)
少しわき道にそれますが、ここで正力松太郎氏と原発に関して、07/8/10のエントリーでも書いていたので、一部再掲させていただきます。
『長崎原爆の日に聞いた、「小沢さん一人で成り立っているわけでない」というシオザキ氏のたわごと
』
読売は、正力松太郎 氏からが築いたCIAとの関係、ひいては対米地獄まで追従のスタンスを考えれば、この程度のちょうちん社説に驚くことはないのでしょうか?(わたしは驚きましたが)
(岸信介の元で原始力開発に夢中 だった正力松太郎氏が、日本とアジア諸国でカラーテレビ利権で大きな山をあてようとしたいきさつについては、最新号の『月刊現代』に、「正力松太郎とCIAのカラーテレビ利権 」【←11/9時点でリンク切れになっています】として解説されています)
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中越沖地震の活断層に際して、asahi.comに【見落とされた活断層】という連載が開始されています。
asahi.com マイタウン新潟 中越沖地震特集
(1)東電の再調査 (11/06)
(2)東電の誤算 (11/07)
(3)二つの地質図 (11/08)
まず、(1)から引用します:
9月下旬、午前5時半。
朝もやに包まれた柏崎港から、1隻の船が東京電力柏崎刈羽原子力発電所の沖合に向けて出港した。
海底断層を調べる調査船「挑洋丸」(268トン)。
(略)
●「大地震」を否定
中越沖地震クラスの揺れを「あり得ない」と断言してきた東電は被災後、慌てて周辺海域と陸域の大規模な断層調査に乗り出した。
調査海域は原発を中心とした海岸線約140キロ、沖合約50キロ。10月末までに調査を終わらせ、年度末をめどにデータを分析する。
陸域の調査は新潟市から柏崎市に至る地域で行われる。起震車を使って地面に震動を与え、地中での跳ね返り方の違いを地面に差し込んだ地震計で調べる。原発構内ではボーリング調査も行う。
なぜそこまで大規模な調査を行うのか。
それは愚問でしょう、と東電担当者は苦笑いした。
●最大160センチ沈下
中越沖地震は柏崎周辺の地形を変えた。国土地理院の調査では地震で柏崎は北西方向に約17センチ移動。観音岬周辺は約25センチ隆起した。
原発構内も無傷ではなかった。1号機付近では最大約160センチも地盤が沈下。7号機の原子炉建屋は傾き、端から端までの長さ計81メートルの間に17ミリの高低差が出ていた。
東電は活断層をあえて見逃していたのではないか――。被災後、住民や学者から東電の「作為」を疑う声が噴き出した。柏崎刈羽原発の周辺地域をめぐっては、これまでに幾度も地震発生の危険性が指摘されてきたからだ。東電はその度に、独自の調査などでその可能性を打ち消してきた。現実に地震が起きた今、東電は姿勢を変えつつある。
「地震が起きたことは事実ですので、十分な再調査を実施した上で、『なぜ起きたか』についても答えを出したいと思っています」
電力会社が姿勢を変えつつある、とあります。
そこで、(2)から一部を読んでみます。
●「発見はできた」
しかし、現実は想定を完全に超えた。
東電の予想外の場所で発生した地震の規模はM6・8。1号機の地下255メートルの岩盤で観測された揺れは993ガルで、想定を大きく上回った。
実は東電は79~80年、原発施設の沖合で4本の断層を発見していた。しかし、「短い」「他の断層の影響の方が大きい」と判断。耐震性の考慮から除外していた。
広島工業大教授の中田高(65)は指摘する。
「東電の海底調査の資料を分析してみたところ、海底の断層は東電の見解よりずっと長い。東電が調査をした70~80年代の知見でも、発見できたはずだ」
(3)には、2つの断層に関しての記事です。
(管理人: 実線=東電が見つけた断層は破線の中心付近に重なっています)同じ柏崎沖の海底の断層を記録した異なる2枚の地図がある。
1枚は、東京電力が2~7号機の設置許可を申請する際に国に提出した柏崎沖の「海域地質図」。もう1枚は、産業技術総合研究所が94年に発行した「佐渡島南方海底地質図」だ。
二つの地図を重ねてみると、大きく食い違う部分があることがわかる。
東電の海図では約7キロしかないその断層は、産総研の地図では約20キロの長さで記されている。
広島工業大教授の中田高(65)は「柏崎沖には、東電の調査結果よりも長い断層が存在しています」と言い切る。
●東電説明に批判
中越沖地震後、東電が79~85年に実施した海底探査のデータを再分析した。
東電は海底で見つけた4本の断層(図中(1)~(4))の長さを、それぞれ(1)7キロ、(2)4キロ、(3)1・5キロ、(4)9キロとしていた。
ところが、中田が再分析してみると、(1)は、実際には約36キロ。(2)と(3)はつながって一つの長い活断層を作っているように推測された。
違いが出た理由を、東電は今、次のように説明している。
東電は過去、地震で地形が階段のようにずれた部分の下に、活断層があると見なしてきた。ところが、最近の研究では、海底下などの地層がたわんだり、うねったりしている場所の下にも活断層が潜んでいるという考え方が有力になった。活断層が動くと、地表近くの軟らかい地層が引きずられ、しわのような地形が出現するという考え方だ。
この説明に対し、中田の見解は辛辣(しんらつ)だ。
「地形がたわんでいる場所の下にも活断層があることは、(東電が調査をした)70~80年代当時から常識だった。当時の教科書にさえ載っているような知識を見落としの理由にするのはおかしい」
●上告中に大地震
元刈羽村議の武本和幸(57)は、原発の設置前から、原発周辺に無数の断層があると訴えてきた。
原発を建てる岩盤となった西山層は泥岩からなり、基盤としては軟弱すぎる。同地域周辺は羽越活褶曲(かっしゅうきょく)帯の中にあり、真殿坂断層など多数の断層が原発敷地内にも及んでいる。
79年、国の安全審査の誤りや活断層の危険性を訴え、設置許可処分の取り消しを求めて提訴。一、二審では、「安全審査に見過ごせない誤りや欠落はない」などと退けられ、最高裁へ上告中に地震が起きた。
9月末、武本は偶然、自らが活断層ではないかと指摘し続けてきた刈羽村の「真殿坂断層」を、東電が測量調査している場面を見かけたという。
武本は指摘する。
「(真殿坂断層が)『動いたかもしれない』と東電も思っている。地表からは分からなくても、地震を引き起こす活断層は多数ある。表面上は『活断層はない』と言い続けていても、『実はあるかもしれない』という意識は我々と一緒なんだ」〈敬称略〉
ここにある、「実は断層があるかもしれない」という、現場の本来の危機管理意識、業務に携わるプロフェッショナルとしての本心に基づく苦悩や理念を、企業の枠組みあるいはさらに大きな政策が踏み潰すことがないよう、強く願います。
組織に「本心」というものはないのかもしれませんが、非常にリスクの高い技術を提供するインフラ企業が、科学的な視点を経た技術者の本心を企業活動に反映させず、もっと他の事由を優先させるとき、どんなことが起こるか?と思うと、非常に寒々しい気持ちになります。
9/8のエントリーで紹介したように、TEPCOの公式の解釈では、「断層の上には原発は建てていない」 のです。
それはあたかも、「自衛隊が行く場所が戦闘地域ではない」と主張することと同じように思えてきます。
■余談:「e8電力サミット」について:
◇フジサンケイビジネスアイの『月刊エネルギー』07年7月号見出し
◇エネルギー政策研究所 (「環境エネルギー政策研究所」とは別団体)のサイトより
・「エネルギー安全保障と環境面から原発の重要性確認-e8電力サミット(先進8カ国電力首脳会議)」、エネルギー、07年7月号、pp.98-99 (07.7)
たぶん、この項、続きます。
◆弊ブログエントリー:07/9/8
『直下に10センチの隆起がある地盤を安全だと胸を張る人たちに原発は任せられない(安全神話の目的化)
』
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実はここまで書いて保存していたところで、管理人、整備不良で寝込んでいました(-_-;
ようやく浮上して、先ほどヤメ記者弁護士さんの最近のエントリーを拝読しました。
◆情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
『原発が破壊されても政府・財界首脳は救われる~放射能雲到達シミュレーションに見る市民切り捨て政策の実態 』
そしてここには、権力による究極の地方切捨て、究極の市民切捨ての発想が内在しているようにも考えられます。
上記エントリーから引用させていただきます(強調は引用者によります)。
浜岡原発運転差止訴訟の一審判決が出て10日が過ぎた。改めて、日本の原子力発電所分布図(※)を見てみた。すると、風は西から東に吹いているので、首都圏へ放射能汚染が最も早く到達するのは、首都圏の西側で最も近くにある浜岡原発であることが分かった。
では、この浜岡原発が重大事故を起こし、大量の放射性物質が放射能雲となって放出された場合、首都圏にはどの程度の時間で到達するのだろうか?
差止訴訟弁護団は、最終準備書面で、2002年8月9日の実際の気象状況のもと(御前崎における風速はおよそ5メートルであった)、シミュレーションした結果を引用している。
約6時間で横浜、約8時間で霞ヶ関に到達し、千葉、水戸、筑波、川越、大宮、高崎、前橋など首都圏の主な都市は汚染されてしまうという。
横浜まで6時間、それだけあれば、政府首脳や財界首脳は、ヘリコプターなどを駆使して、国外や沖縄に退去することが十分に可能だろう。パニックになった市民は渋滞した道路を狂気のように走り逃げようとするが、汚染からは逃れることは出来ない…。
最初に指摘したように、首都圏に居住する政府首脳・財界首脳にとって最も危険な原発が浜岡だが、その浜岡は、政府首脳・財界首脳が逃げ延びるには十分離れた場所にあるわけだ。
逆に言うと、それ以上近くには造れないぎりぎりのポイントだ。これより首都圏に近くには、原発建設予定はない。
(略)
リンク先をぜひお読みください。
これらも考え併せると、柏崎刈羽原発の被災対応で「副社長駐在」という処置がなされたのも、対処にあたっての真摯さを見せる、というよりは、「少なくとも1人は逃げないからね」、という意思表明なのかもしれません・・・。
◆東京電力プレスリリース
(お知らせ)柏崎刈羽地域への当社副社長の駐在について 平成19年7月27日
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引き続き、柏崎刈羽原発停止への署名↑をお願いいたします。
被災された方々の不安と風説被害に心よりお見舞い申し上げます。
同時に風説被害解消を挙げつつ安全宣言をいたずらに急ぐ政府・企業方針に懸念を覚えます。
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