Z750FX

走行距離23,586km

 

 

エンジンのオーバーホールを含むレストアです。

 

昨年の夏にご依頼いただいていましたが、ようやく着手することができました。

 

Z750FXエンジン

キャブレターはノーマルのままというオーダーですので、分解整備します。

 

エンジンを下ろして分解

Z750FX ピストン

 

お気づきになりましたでしょうか?

 

ピストンスカートの形状が「いびつ」になっています。裏返すと・・・

 

YAMAHAの刻印が?!

 

これには代表の日向も、メカニックの橋立も驚いていました。

 

(オーナーさんも寝耳に水だった様子)

 

Z750FX ヤマハ ピストン

 

自動車(旧車)にバイクのピストンを流用する、ということは手段の一つとしてありますが、これはとても流用と呼べるレベルではありません。

 

(オーナーさんいわく、購入後しばらくエンジンは動いていたそうですがその後、不動になったとのこと)

 

エンジンの中は、分解しないかぎり外見からではわからないものですが、ピストンを交換した張本人は当然、知っているわけですよね。

 

手放す際、このことを伝えていないのか、あるいはオーナーチェンジして、その方が手放す際に言わなかったのか・・・本当のところはわからないです。

 

(当店でも、エンジンを開けたらボアアップされていて、現オーナーさんは知らなかったという事はあります)

 

それにしても、ひどくないですか?

 

Z750FX yamaha ピストン

 

アメリカなどでは、他社のピストンを流用することはよくあるそうです。

 

流用自体は悪くないですが、その事実を売却時に伝えないことや、そもそもちゃんと流用できていないことが問題だと思います。(ただ、組んだだけの状態)

 

Z750FX シリンダーライナー

シリンダー内部は傷だらけです

 

Z750FX シリンダー

シリンダーライナー(スリーブ)は「打ち換えてほしい」というリクエストをいただいているので、いずれにせよ交換します。

 

ライナー交換後、ヨシムラ製鋳造ピストンを組みます。

 

Z750FX クランクケース

クランクケース

 

Z750FX シフトドラム

シフトドラム

 

Z750FX クランクケース

クランクケースを開けて、目に付いたのは残留ガスケット。

 

Z750FX クランクケースカバー

ピストンが交換されているということは、過去にエンジンを開けているわけですが、その時、きちんとガスケットを剥がしていなかった様子。

 

古いガスケットが残ったまま、新しいガスケットを入れたらしく、サンドイッチ状態でした。

 

Z750FX クランクケース ステーターコイル

ただでさえ、簡単にはがれないガスケットですが、余計はがれにくくなります。

 

Z750FX ガスケットはがし

といっても、地道にはがすしかありません。

 

この作業だけで1日〜2日かかることがあります。

 

Z750FX クランクシャフト

クランクシャフト

 

Z750FX トランスミッション

トランスミッション

 

シリンダーヘッド

Z750FX カムシャフト

カムシャフト
 

Z750FX シリンダーヘッド

シリンダーヘッド

 

燃焼室のカーボンは比較的、多めといえます。

 

Z750FX 燃焼室

 

※上下とも、おなじ写真です。見えるよう明るさのみ調整しています。

 

Z750FX 燃焼室

 

Z750FX シリンダーヘッド

若干、陥没している箇所がありました。

 

シリンダーヘッドは面研をおこないますので、機能的には問題ないかと思います。

 

Z750FX 排気側

排気側(マフラー側)

 

よく見ると、エンジンを塗装しているようです。

 

Z750FX ボルト

エンジンを組んだまま、塗装したのでしょう。ボルトの頭に黒い塗料が付いています。

 

この年代の車両ではお約束ですが、ボルトはすっかり錆びて固着していました。ガスケットもそうですが、こうした錆も磨いて取り除きます。

 

インシュレーター

 

Z750FX インシュレーター

 

劣化して割れています。これ自体、めずらしくないのですが、インシュレーターにオレンジ色の塗料みたいなものが付いていました。

 

Z750FX インシュレーター

 

オレンジ色の正体は液体ガスケットです。しかも大きく、はみ出しているので、流速にも影響してくるかと思います。

 

Z750FX インシュレーター

 

インシュレーターはよく、「割れていなければ再利用できるだろう」と思われがちです。

 

新品時はゴムですが、徐々にプラスチックのように硬くなり、写真のように小さなひびが発生したり、割れたりします。

 

(割れたところから空気が入り込み、エンジンの調子が悪くなります)

 

環境や使用状況によりますが、早い場合、5年もたたずに割れたという事例もあります。(純正部品を使用)

 

消耗品と割り切って、交換したほうがいいでしょう。ピストンの件はさておき、全体としてはそれほど悪くない状態です。

 

(日常的によく見る光景)

 

いつもどおり、しっかり仕上げていきます。

 

 

パート2

フレーム・スイングアーム塗装

 

 

パート3

車体の組み立てから完成まで

 

 

 

 

有限会社ガレージ湘南

 

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