岡田奈々
早朝のチャンネルNECOで「俺たちの旅」を２本続けてやっていて、作業の合間に可能なかぎり見ています。
76年、ぼくは15歳、中学生でした。東中野の私立に通っていたので、三鷹、吉祥寺は学校の帰りに出やすくて映画館や古本屋に寄りました。「俺たちの旅」が井の頭公園でロケをしているのは知っていましたが、多感な頃で見学に行く勇気なんかありません。
中学へ入ってすぐ登校拒否児童となり、自分の周囲に壁を作ったため、友人も先生も親も表面的なつきあい方しか出来なくなった頃です。硬派な男子校の校風が輪をかけて自分を窮屈にしていました。
子供時代はマンガ映画（アニメや特撮）の虜でしたけど、小学校の高学年頃はアイドルの事で頭がいっぱいで、麻丘めぐみ、アグネス・チャンが好きでした。長い黒髪が良かったんですかね。
それが、中学になると少しませて来て、ミミ（萩原）、風吹ジュンと、色っぽい人に好みが変わります。
そんな時に気になった岡田奈々は古風な感じでした。ま、現実的に、綺麗なお姉さんが欲しかったんでしょう。
「俺たちの旅」は暑苦しい男たちがガミガミやっていて、苦手な番組でした。たまに見るぐらい。青春と言えば「飛び出せ青春」が好きでした。でも中学へ入って、あんな学校生活は有り得なかったし、グレることさえ出来ない自分に殻を重ねるだけになります。
だいたい中村雅俊が苦手でした。「われら青春」に、村野武範がゲストに出て先生同士で対立するんですが、ぼくは河野先生を応援しました。テレビ版「日本沈没」も大好きでしたし。
そんなわけで、いま見る「俺たちの旅」はやはり男たちが暑苦しい。それが良いのだと大人になって思う。子供の時にピンと来なかったあの主題歌が心地好い。この歳になって気づく事がたくさんあって、金沢碧が良かったりも。
この数年再放送で見かける度に書く事があるんですけど、岡田奈々演じる真弓チャンは暑苦しい掃きだめに鶴のように白いんですね。まっさらと言うか、純白の白です。
井の頭公園に鶴はいませんが、白鷺がたまに来ています。公園に出る度に、ここもあそこもロケで使った場所だと思うと大人げなく胸キュンになるのは、むしろ歳をとったせいで。もう40年も経っては記憶も薄らいでいきます。しかしあの時代に帰って、やり損ねた事をやりたいと思うと、胸キュンぐらいで済まないぐらい心が痛くなってきます。せめて刻が止まって欲しいなんて思う。今よりも先々、どんどん記憶があやふやになっていきます。
22話「少女はせつなく恋を知るのです」で、ドラマの主役になった真弓チャンのせつない恋心に、演じる岡田奈々のヒット曲「青春の坂道」がかぶります。今で言うミュージックビデオ風です。
中学生から見ればドンピシャに憧れが芽ばえますよ。それでも足を伸ばして生の岡田奈々に会う努力まではしませんでした。
変な話、このあたりから懐かしのマンガ映画ムーブメントが起き始めて、現実よりもそっちへ傾いていってしまうわけです。
高校へ入っても同じ男子校で劣悪な環境は変わりませんから、青春の限りをオタク道に邁進した経緯です。
学校は兵役上がりの先生が義足で蹴っ飛ばすような所です。教科書を忘れれば片手でアゴを固定されてグーパンチされる。数年前まで生徒は坊主頭でした。
喧嘩が始まると誰ともなく席をズラして空間を作ります。物はなくなり、ぎったらぎりかえせが合い言葉。ぎる、と言うんですね。盗みを。
かといって中流以上の家庭の子たちです。私立でしたから。
そんな中でも、ともかくダメな少年でした。
先だって、還暦の奈々さんがテレビに出た。50歳の時にも、いまなおあの美貌が！と話題になったので、どんな感じだろうと思っていたら、案外、ちゃんと歳相応の顔になっていて、ホッとしました。それでもずば抜けた美人ですが。
「青春の坂道」はなかなか良い曲で、疲れた時に聴くと涙が出ます。なんというか、恋に恋したまま、上がっていたはずの青春の坂道を下りっぱなし、ずいぶん遠くまで来たなぁと言う感慨です。
ちなみに、真弓チャンがピエロの格好のカースケに会いに行く場面は吉祥寺の商店街で、いまも外口書店は残っています。古本屋が本当に減りましたね。大事にしないと。
「少女は切なく恋をする」ハイライト。「ジョーズ」は新宿ミラノ座、遊園地はよみうりランド。10代の思い出と重なります。
https://www.youtube.com/watch?v=1Z4eICkFybE
「青春の坂道」バージョンちがいなんですね。この画面の中へ入って行きたい（笑）。
https://www.youtube.com/watch?v=04-Xh0J2Js0
