さらばウルトラマン その2 | ヤマダ・マサミ ART&WORK 検:ヤマダマサミ

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主に仕事に関わる、特撮、怪獣がらみのブログです。
ときどき、猫が登場します。

(5)ゾフィとゾフィーとゾーフィと

初稿で目に付くゼットンの強さ以上に天空から急降下するウルトラマンの仲間(ゾフィ)はさらに強い。スペシューム光線の威力もウルトラマンより強くてゼットンを火の海に葬ります。ゼットンがバリアを張る前に死角をついたんでしょうか。

ウルトラ兄弟としてのゾフィは「ウルトラマンAエース」ぐらいまで<ゾフィ>で、現在は<ゾフィー>で統一されています。

ぼくが語るのは主に初期ですからどんなときもゾフィで通しています。

ゾフィは、地球人を好きになったウルトラマンへ呆れ、同時に、そんなに長く地球に居てはいけないと諭します。

まるで子供の独立を促す大人のようで、いのちを2つ持ってくるゾフィはもはや神様。ぼくはあの胸のツブツブに秘密があるように感じていました。

当時、ゾフィの写真はありません。1回の放映で絵が描けた子供も居ません。画面も小さい上ほとんどの家庭がモノクロ画面ですから、子供たちの印象としてウルトラマンがもう1人ぐらいだったと思うです。

それに輪を掛けたのがゾフィの解説でした。

曰く、ゼットンをあやつる? しかも、ゾーフィ、と来た。

編集者、ライターがゾフィをちゃんと理解していないのです。

大伴昌司の早合点で、ゾーフィはゼットンを操る、とされてしまったので後へ倣え状態でした。

大伴さん、謎の宇宙人の名前をゾフィと思ったのか、ゾフィとゾーフィが別なのか、分かりません。

ただ学年誌になって感心する事が1つ、ゾフィのトサカ、色違いなんです。たぶん偶然でしょう。

劇中のゾフィはトサカが黒いんです。学年誌ではイラストで赤いトサカがありました。1色印刷だとトサカ全体が黒で黒いトサカになりました。塗りつぶしているところがすごいです。

その割に胸のつぶつぶがまちまちですからトサカの色は偶然の産物と思うんです。

70年代後半に安井さんたちが記事を作るまで、ゾフィの鮮明な資料ってなかったのでした。

 

そもそも、ゾフィがゾフィたる最大のポイントたる黒いトサカは、DVDが出るまで誰も気がついていません。モデラーの方が言い出したのはさすがです。何度も何度も見て研究されたのでしょう。

赤いゼラチンを掛けた照明で、赤が重なって黒くなったぐらいにしか、ふつうは思わないところを。

でもこの黒、成田さんでないようです。

佐々木さんの感覚でしょうが、ご本人はおそらく覚えてないのかもしれません。ニセウルトラマンの黒いラインが最初です。

要するに、成田さんが完成させた赤いラインへ、あえて入れられる差別化の要素としての黒です。

その成田さんも90年代、ウルトラマン神変の依頼画で、黄金の地肌、黒いラインのウルトラマンを描くのは面白い現象でした。

40センチほどの彫像のウルトラマンは銀の地肌に黒いラインを入れていました。

 

ゾフィはウルトラマンAタイプのボディスーツに新造型のマスクを付けたものです。体はAタイプのままです。

マスクは、最初から同じ原型だったと思われます。成田さんの証言でも、1つしかないと。

Aでラテックスに置き換えて、シワがひどくなったので、樹脂で抜いたのがBでしたが、この時すでに手を入れています。

ノアの神が同じ原型かどうかは分かりませんが、ニセウルトラマンは同じ原型でしょう。この時、嘲笑った顔が、成田さんがお気に入りになるアルカイックスマイルになったのです。Cタイプは、ニセウルトラマンからの発想でしょう。

ゾフィはCタイプとまったく同じながら、目の位置が若干違います。

 

Cタイプは、実は当時の露出は多くないんです。30話「まぼろしの雪山」のウー戦からラストまで、10本です。

 

Aタイプ1~13話まで、13本(前夜祭を入れると14本分)

Bタイプ14~29話まで、16本

Cタイプ30~39話まで、10本

 

Cタイプは3つの中で一番少ない上に、メディアに登場したのは2月くらいです。

当時はだから、放映前4月から7月放映までの3ヶ月をプラスしたAタイプが一番露出が多く、回数ではそれより多いBタイプの樹脂のマスクは、子供たちの好き嫌いが出ました。

当然子供には、BとCの違いは分からなかったと思います。ぼくも小学校の高学年になるまで分かりませんでした。

Cタイプは今にしてウルトラマンの決定版の顔ですが、一般的になるのはそれを流用した「帰ってきたウルトラマン」(71年)からです。

69年に後楽園遊園地の特設会場でやったサークロラマ劇場「ウルトラマン・ウルトラセブン モーレツ大怪獣戦」で使われたウルトラマンが、かつてのゾフィでした。

胸のつぶつぶは取られて、ウルトラマンにされています。トサカ、うっすら、黒いですよね。これが新マンに使われます。

 

ウルトラ兄弟としてリニューアルしたゾフィはゾフィーであって、佐々木さんが作った初代ゾフィの神々しい雰囲気がありません。

皐さんにとってゾフィーは一(はじめ)兄さんなんです。だから、強い兄貴だ、と歌詞にしたんですね。ゾフィー、さんざん受難な目に遭いますが、はじめ兄さんならなんとかするんですよね、きっと。

 

ウルトラマンの原型は、撮影が終わって、佐々木さんが自分の分、成田さんの分、古谷さんの分と、3つ抜いたそうです。現存するのは、成田さんと古谷さんの2つだけです。

 

 

(6)ウルトラマンの新怪獣

1966年は怪獣ブームでしたが、SFアニメはその2、3年前からありました。「鉄腕アトム」「鉄人28号」「エイトマン」「宇宙エース」「スーパージェッター」「ビッグXエックス」「宇宙少年ソラン」「遊星少年パピィ」「遊星仮面」「レインボー戦隊ロビン」「サイボーグ009」などなど。男の子も女の子も、楽しんで見ていました。

「ウルトラQ」のヒロインの由利ちゃんは「スーパージェッター」の女性記者かおるさんがモデルだと思いました。ハヤタのβカプセルは「ビッグXエックス」のペンシル。ウルトラマンの八つ裂き光輪は「宇宙エース」のシルバーリングを思わせます。

当たらずとも遠からずというやつでしょう。お茶の間の人気でしたからね。そもそも「ウルトラQ」はナレーションなども「ミステリーゾーン」そのままでした。

実写となると好みが出て「ウルトラQ」は男の子の番組になりました。

また、タケダアワー枠にかかった事で「月光仮面」「豹ジャガーの眼」「隠密剣士」が「ウルトラQ」「ウルトラマン」のルーツとも受け取れます。映画ではだんぜん東宝の怪獣映画の流れでした。

参考までにこの年の関連映画関連番組を見てみます。

 

1966年

1月 「ウルトラQ」TBS

2月 「奥様は魔女」TBS

3月 「大魔神」「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」大映

   「丸出ダメ夫」日本テレビ

4月 「忍者ハットリくん」NET

   「レインボー戦隊ロビン」日本テレビ

   「バットマン」フジテレビ

   「サンダーバード」NHK

5月 「ウルトラQ大会」

6月 「遊星仮面」フジテレビ

   「宇宙家族ロビンソン」TBS

7月 「海底大戦争」東映

   「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」東宝

   「大忍術映画ワタリ」東映

   「サイボーグ009」東映

   「大魔神怒る」大映

   「マグマ大使」フジテレビ

   「ウルトラマン」TBS

8月 「かわいい魔女ジニー」NET

10月 「悪魔くん」NET

11月 「快獣ブースカ」日本テレビ

12月 「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」

   「大魔神逆襲」大映

   「黄金バット」東映

   「魔法使いサリー」NET

この間、少年誌を飾った「豹マン」「魔神バンダー」などもインパクトがありました。

これ、ぜんぶ見ているとどうしょうもないですよねぇ。駄目な大人になってしまう。

まぁ、怪獣ブームは起こるにして起きた現象です。特殊な数年間ですよ。

 

怪獣ブームは65年から仕掛けが始まっています。

講談社「ぼくら」で「絵物語ウルトラQ」の連載が4月から始まり、前年から制作が始まっていた「ウルトラQ」がもうすぐテレビにかかります、と告知されました。

「ちかく・・・放映予定」が半年続き、9月発売の10月号で「十月はじめの予定」とされ、1月2日が決まったのは11月発売の12月号でした。

65年の夏は、

「フランケンシュタイン対地底怪獣」東宝

冬が、

「怪獣大戦争」東宝

「大怪獣ガメラ」大映

子供たちの話題に怪獣は欠かせなくなり始めます。

そして、正月放映の「ウルトラQ」が決定打となるわけです。

 

さて、怪獣ブーム後半の67年。

「ウルトラマン」が終わった4月から半年間は「キャプテンウルトラ」が放映されます。

その間、「ウルトラマン」を連載していた講談社は秋の新番組「ウルトラセブン」が始まるまで「ウルトラマン」を引き延ばします。

「キャプテンウルトラ」はライバルの小学館でした。

もともと集英社が「ウルトラQ」のマンガ連載を「少年ブック」で始めて、小学館も学年誌でマンガの単発を載せています。

「ウルトラQ」の「ぼくら」連載が長く続いたためか、「ウルトラマン」は講談社がほぼ独占的に取材、掲載しました。

「少年マガジン」が少年誌初の100万分突破は、実は怪獣ブームの成果なのです。内田勝さんの著作ではそこはぼやかしていますが、なにしろ、いままで少年誌を買った事のない小学校低学年以下、未就学児童が親にねだって「少年マガジン」を求めるのですから。部数増えますよ。

ついでに言えば「少年マガジン」のどの人気マンガよりコレクターズアイテムなり得たのは「ウルトラQ」表紙号などで3万円を下った試しがないほどの人気です。

「ぼくら」の一峰大二のマンガ「ウルトラマン」は、67年6月~9月号まで、オリジナルの物語でした。

サイボーグ恐竜タンギラー

軍艦怪獣ヤマトン

怪獣用心棒ゴルダー

吸水怪獣ウエットン

 

原案を上原正三、末安昌美(梓博)が、デザインを成田亨が担当。

テレビの枠に留まらない可能性の模索を見せました。

この発想から、タンギラーは恐竜戦車、ヤマトンはアイアンロックスに到りますが、反対に、水を吸ってどんどん大きくなるウエットンは「キリがない」(「ウルトラQ」のNG)やバルンガのようです。ゴルダーは翼の模様がアイロス星人に使われています。

 

もう1つ、「ウルトラマン」の番外編があります。

東宝・羽賀書店の「怪獣大行進」所載の「マグネット作戦」です。

この本、3月末発行ですから、1月末ぐらいに作っているんでしょうね。

つまり「さらばウルトラマン」を錬っている頃です。こちらはマンガではなくて、山田正弘・高梨純の作、成田さんの絵物語です。

鋼鉄怪獣アイアン

 

この5点が、「ウルトラセブン」までの間に生まれた物語、新怪獣でした。

 

「ウルトラマン」が終わっても成田さんは休めません。現代芸術社の「怪獣カード」、勁文社の「怪獣大絵巻」などの描き起こし、展示用の絵も描いています。

「レッドマン」(ウルトラセブン)は5月くらいから動きます。

タンギラー、ヤマトン、ゴルダー、ウエットンら、「ぼくら」用の怪獣は、マンガに翻訳されて、成田さんにしたらあまり良い結果にならなかったかもしれません。

例えば、バルンガみたいな最終回のウエットンに恐竜の顔が唐突に付いていて、奇形的です。戦艦をそのまま出すのはきわめて嫌悪的でした。

その事を踏まえて、もし、「ウルトラマン」の第4クールがあったとしたなら、それまでの怪獣と並ぶ名怪獣にはならなかったと、ぼくは思うんです。ゼットンで、出し切ったのだと。

 

金城さんもすでに「ウルトラセブン」「マイティジャック」に頭が行っていますから実際のところ「ぼくら」の原案は上原さんに任せています。

 

「ウルトラセブン」の第1話を見たとき、あれ? と、今で言う既視感を感じたものでした。

ウルトラホークがクール星人の円盤を追う場面に、「さらばウルトラマン」で科特隊のVTOLが円盤群を追いかける場面が重なったのです。

「ウルトラマン」から「ウルトラセブン」へ時間差なしで移行したかのような錯覚でした。

「ウルトラセブン」でも最強のキャラクターが早々に出ました。キングジョーです。

豪華絢爛たる「ウルトラマン」のキャラクター天国にあって唯一なかったのが、ロボットでした。「ジャイアント作戦」と言う映画用の参考台本がありました。テレビ用に直していますが、実現していません。

キングジョー、ゼットンと同じように強くて、ウルトラ警備隊の力で倒せました。

きっとゼットンとキングジョーが戦ったらすごい事になっただろうな、と、思い続けて半世紀です。

 

 

 

 

・「東京新聞」67年2月22日の記事。「ウルトラマン」の最終回をどうするか、金城さんの胸の裡が覗かれる。

 

・「東京日日新聞」67年4月5日から、ゼットンのデザイン画を見ている金城さんと成田さん。後ろに貼ってあるのは現代芸術社の怪獣カード。左のロボットみたいのは?

 

・台本の一節。ゼットンがカラータイマーを叩きつぶす場面が、果たしてあったのかなかったのか。そこに疑問が起きるのは、ゼットンの攻撃で前のめりに倒れたウルトラマンが仰向けに寝て居る場面で辻褄が合わないため。うつぶせのウルトラマンを引っ繰り返してカラータイマーを粉砕する!と言う恐ろしい場面が、もしや撮られていて、あまりに悲惨なためお蔵入りしたと、想像を豊かにするファンも多い。しかし台本にはさらに眼を覆おう場面が。

 

・謎の「宇宙人」(台本表記)が呼び寄せた円盤群。大型機にはゼットンが眠っています。台本では、「ブルーの大型機」とされ宇宙の護送犯ベムラーの移送を思わせます。

 

・大型機から現れるゼットン。ゼットンは成田さんのデザイン画が残されてなくて、高山さんがトレースしたものから想像するだけです。

側面と背面だけ残っています。新聞の取材で円谷プロへ持っていった際にそのまま置いて来たようです。同じようにジェロニモンも雑誌の取材に使って成田さんの手元になく、円谷プロに保管されていました。ゼットンは行方不明のままです。

 

・ゼットンのアップ。特徴ある角はラテックスで可動するため、動きのテンションがつく度に変形して行く。

中央の黄色い部分が謂わば口にあたりますが、黒くにじんでいる所が覗き穴のスリットになっています。その周囲の黒くにじんだ理由は覗きの誤魔化しかとも思ったんですけど、やっぱり黒く塗りつぶして「ブラックゼットン」にしたんじゃないかと思うんです。黒い塗料がぬぐいきれてないような。

 

・ゼットンの光学処理。時間がないのにけっこうな手間をかけています。右上が圧倒的な力で押して来る「ブラックゼットン」。

 

・カラータイマーを粉砕されたウルトラマン。走馬燈のように過去の戦いが脳裏を過ぎる。

 

・台本初稿で「仲間」とされた光の国の使者、2稿では「ゾフィ」名義。近年は「ゾフィー」で統一されていますがここではゾフィで。ご存じ、トサカの黒いのがゾフィ。頭が燃えるのがゾフィー。ゼットンを操るのはゾーフィです。

初稿のゾフィは、ゼットンにウルトラマンがやぶれたのを見届けると天空からスペシューム光線を放ちながら急降下、ゼットンを火の海に沈めます。ゼットン、死角があったんですかね。

 

・ゼットンにやぶれたウルトラマン。カラータイマーが破壊された状態。ウルトラマンは科特隊を守るがあまりゼットンに勝機を見出せなかった。

ゾフィによって赤い玉に入れられ、そこで故郷へ戻るよう諭される。この時のウルトラマンは死んでいるので、魂の状態で会話する。ゾフィ、イタコでもある。

 

・DVD以降、映像が極端にミントな状態になって、ゾフィのトサカの黒いラインが分かるようになりました。これは飛び人形。トサカはぜんぶ黒いのではなくて、鼻に向かう途中から先端に偏っていく。

赤い玉からウルトラマンが分離して、ゾフィに先導されて光の国へ旅立つ。まるで極楽浄土へ向かうようです。

 

・台本では、赤い玉は飛行マシンであり、ウルトラマンは座って乗っている。それをゾフィが押していく。ゾフィが、見送る人々のため振り返るよう諭すが、ウルトラマンはかぶりをふる。負けたこと、去りゆくことを、ウルトラマンは受け入れたくない様子だが、それでも星へ向かって、地球から離れていく。無常ですね。

 

・ウルトラマンに抱っこされている子は誰だ!? ゼットン、先にスタンバって居ます。

カチンコにある<39╱T34-10>と、右下のラッシュの頭にある<2●-13>(●は1 7 9 のいずれか?)ですが、素人なので読み方が分かりません。

<39╱T34-10>は、

39話╱特撮カット34テイク10 という事でしょうか。Tは特撮だと聞いています。

それとも、シーン39 でしょうか。

ちなみに、台本の柱で言うと、34は以下。カット割りで、本部に~がカット1となります。

34 科特隊本部・附近

本部に手をかけようとするゼツトン。

ウルトラマン、急降下。

ゼツトンに組みつくーーと、平野の方に引きずり込んだ。

壮烈なる格斗が初まる。

でもこの特撮場面、ほとんど台本が役に立っていません。別刷りしてあるはずです。

 

・台本表記「宇宙人」は唐突な表記ですね。誰が見ても、ケムール人でした。後付の「ゼットン星人」で現在は統一。

「ウルトラQ」19話「2020年の挑戦」等身大、巨大化

「ウルトラマン」33話「禁じられた言葉」投影イメージ

「ウルトラマン」39話「さらばウルトラマン」ゼットン星人?

この年の会津博怪獣館ではケムール人に戻されています。

「ウルトラQ」の撮影が65年の夏ですから、2年間の活躍で、そう痛んでいません。

 

・「ゼットン星人」表記が初めて出たのは69年にTBSが地方局へ向けてフィルムのセールスのために作ったパンフレットからです。

 

・ゼットンのデザインについて考える。成田さんは、黒と銀を宇宙観として、力がありそうに見えるレッドキングの模様を持って来たと、説明しています。それはデザインの変遷ですが、現実のゼットンも、ウルトラマンが倒した幾多の怪獣の強い部分を具えているとしたらすごいなぁと思って来ました。サイゴの顔が似ています。サイゴの初稿には大アゴが付いていました。アントラーの大アゴは初稿では頭部にありました。どちらも怪力で締め付けるイメージです。

甲羅はケムラー、甲冑のようなザラガス、胸の光体はキーラの目、メフィラスの黒い闇の力、バルタンの超能力。

そしてなによりウルトラマンの美しさをそのまま暗黒面に持って来たような造形美です。最強の敵は、ウルトラマンの陰画のようです。

 

・そんなゼットンも撮影が終われば受難に苛まれます。左上は「TVガイド」。4つんばいに構成されるといかにも虫。恐竜なのに。

中央はソノラマの「宇宙怪獣図鑑」70年。

右上は怪獣ショー。ブースカにボコボコにされています。

左下は会津博。東京タワーにへばり付いているのがゼットン。奥にバルタンが。

右下、アトラクションで使われているうちにこんなにへたりました。その隣は「帰ってきたウルトラマン」の最終回で胸の発光パーツが初代の流用です。

 

・造型で見るウルトラマンの変遷。成田さんの述懐では原型は1つと言う事で、同じ粘土原型をいじって、いくつかのバリエーションのウルトラマンが生まれた、考えられます。この間、ノアの神、ニセウルトラマンをはさんでいるため、表情が少しずつ変わります。アルカイックスマイルはニセウルトラマンから。

この原型からの複製はゾフィが最後ですが、その際に、3つ作っています。佐々木さん自身のもの、成田さんへあげたもの、古谷さんへあげたもの。

ゾフィは体がAタイプのスーツで、ショー用にウルトラマンに戻され、のちに「帰ってきたウルトラマン」に転用されます。ショーで使ったウルトラマンは後楽園のサークロラマ劇場「ウルトラマン・ウルトラセブンモーレツ 大怪獣戦」(69年)で使われました。

並べてみると一連のものである実感が認められます。

 

・後楽園のアトラクション映像サークロラマ劇場「ウルトラマン・ウルトラセブン モーレツ大怪獣戦」(69年)のウルトラマンは、ゾフィ改造のウルトラマンです。その証拠に、トサカ、黒いですねぇ。

 

・ウルトラマンとウルトラセブンのバトンタッチ。せめてTBSは番宣で2人の握手を特写すべきでしたね。英雄、ついに並び立たず。放映当時、ウルトラマンとウルトラセブンは、企画物でも少ないです。

右上、70年ですが講談社「たのしい幼稚園」ならではの初代同士の構成の表紙。「帰ってきたウルトラマン」以降は小学館の学年誌が兄弟としてウルトラシリーズを採り上げます。

その隣の中央は67年本放送時、「ぼくら」の巻頭グラビア。モーレツ!仲間の三浦さんのホームページ「ウルトラセブンビンテージ」から。その下、「少年マガジン」の新連載で「ウルトラセブン」を描いた桑田次郎による両雄。

左上、ノーベル書房が67年に企画した「怪獣大全集」の3巻「怪獣絵物語ウルトラマン」の口絵。その下、小松崎さん描き下ろしの学研の紙芝居。中央下が、エルムの図鑑?

右下、「TBSコミックス」の表紙。68年頃?

 

・67年、怪獣ブームの中でノーベル書房から出された5巻組の「怪獣大全集」の3巻「怪獣絵物語ウルトラマン」から。金城哲夫がそれぞれの脚本を元に小説にしたものです。ハヤタがガマクジラ戦で傷ついたウルトラマンと同じ傷を受けていた、など初稿の再現。またゼットンを操る宇宙人を、「謎の宇宙人」としています。

火星でウルトラマン攻撃の宇宙人会議が開かれます。メフィラスが議長でした。ジェロニモンが宇宙怪獣だった事が分かりました。

折り込みポスターでは台本の通り、レッドキングとゴモラがジェロニモンの配下で甦ります。

 

・その宇宙人会議のページ。謎の宇宙人が「ゼットン・・・早く育て・・・」とつぶやくのです。

 

・「ウルトラマン」の放映が終わっても講談社「ぼくら」の連載マンガは続行しました。とくにラストの4回、6月~9月号まで、成田さんの新怪獣が登場します。原案は上原さんと支配人の末安さん。知る人ぞ知る、

サイボーグ恐竜タンギラー

軍艦怪獣ヤマトン

怪獣用心棒ゴルダー

吸水怪獣ウエットン

が登場します。マンガは一峰大二。

 

・67年の3月末発行の「怪獣大行進」所載の「マグネット作戦」も新怪獣が登場します。山田正弘・高梨純の作、成田さんの絵物語です。

「さらばウルトラマン」を錬っている頃の執筆。鋼鉄怪獣アイアン。

 

・放映直後に出た「少年マガジン」67年5月7日号は番組「ウルトラマン」の最後の特集号で、ゼットンはグラビアと折り込み図解に登場。

その1年後に、まったく同じ図版を秋田書店の「怪獣ウルトラ図鑑」で使用しています。モノクロが秋田版。解説は大伴さんです。

口から<一兆度の熱さ>の火の玉を吐く、とされ、その理屈として体内に貯めたウランを点火して発する、そうです。よく分かりません(笑)。

しかし子供のぼくが驚いたのは、あのブロックの中に目玉があるんですよ!

 

・さぁしんがりは問題の!(笑)

左上が秋田書店の「怪獣ウルトラ図鑑」。「ウルトラセブン」放映中の68年5月発行です。ゼットンの怪獣名鑑、曰く、「宇宙からゾーフィにあやつられて地球へやってきた」。

右上のブロックは、ゾーフィたち。トサカ、赤いのもあれば黒いのもあります。

下はゾフィーたち。それでもなんかあやしいな。

ゾフィ、ゾフィー、ゾーフィ。いったい君は誰なんだ!(笑)