▼『低温焙煎』を解説する!no,47
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焙煎をする時に『生豆が色づいたら煎れている』と単純に思うのは大きな誤解です。
なんの対策もしないまま表面からどれだけ熱を加えても『生豆内部に水分が残っている』限り、生豆の表面だけが煎られているだけで内部は火の通りが悪い半生焼けの状態なのです。
それでも焙煎度数を進めていけば、生豆内部の水分は最終的には抜けて芯まで火が入っていきますが『完熟した浅煎豆』を焙煎するという事は、その方法では不可能です。
『低温焙煎』という焙煎方法は『1ハゼで完熟した浅煎豆を煎るために考案された焙煎方法』ですが、焙煎工程の中で最も重要な工程は『焙煎スタートから約8分30秒までの生豆繊維質を優しく解す』という工程にあります。
この工程での出来不出来が、焙煎全体の良し悪しを左右すると言っても過言ではありません。
『生豆繊維質を解す工程』は、生豆内部の水分を上手く外へ逃がすための準備作業で、低温焙煎の土台となる重要な工程です。
『低温焙煎』と言うと『弱い火力で時間をかけて煎る焙煎方法』と捉える方が多いですが、それは一面的であり的外れな見方と言えます。
それでは具体的にどのようにして『生豆の硬い繊維質』を解していくのかについてお話していきます。
低温焙煎で生豆の繊維質を解すには、焙煎を始める前に以下の焙煎環境を整えることが必要になってきます。
①『焙煎室の室温を20~30℃の範囲に保つ』という事です。
これについての詳細は『低温焙煎を解説する!no,43』の動画で説明していますのでご参照ください。
②『焙煎機本体の保有熱を調整する』という事です。
こちらも詳細は『低温焙煎を解説する!no,45』の動画で説明しています。
以上の準備作業は、少々時間のかかる面倒な作業になりますが、これをしないと生豆の繊維質は思うように上手く解れていかないのです。
こんな面倒な準備をしてから焙煎をしているのは、焙煎士は数多くおられますが恐らく私くらいではないかと思っています(^_^;
昔、焙煎仲間にこの話をしたら『即座に一笑されて、まともに聞いてもらえなかった苦い思い出』があります。
しかし『硬い生豆の繊維質を上手く解す』には避けては通れない大切な準備作業なのです。
この作業こそが『多くの焙煎方法とは全く違う低温焙煎という焙煎方法の根幹』となるものです。
この工程を理解するには『生豆は繊維質の硬い塊である』という事と『焙煎における保有熱』という概念をシッカリと認識する必要があります。
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