『焙煎時の室温は20~30℃が適正』

▼『低温焙煎』を解説する!no,43

 

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『安定した焙煎をするためには、焙煎室の室温を20~30℃以内の範囲に保つ事』

焙煎時のこの決め事は、私の長い焙煎経験から自然に導きだされてきた法則の一つです。

 

焙煎は四季の外気温の変化に直に影響される微妙な作業です。

同じように焙煎をしていても『室温が20度以下の時は熱量不足の味』に『室温が30度以上の時は熱量オーバーの味』になる傾向があります。

 

 

 

 

 

私も焙煎を始めたころは、外気温の変化など気にすることなく、ドアを開け広げた状態で焙煎をしていました。

それでも、それなりの焙煎はできていたように思うのですが、外気温や天候など焙煎環境の

変化によって焙煎が安定しないことが悩みの種でもありました。

外気温というものを意識し始めたのは、そういう経験から自然の成り行きでもありました。

 

最初は、バーナーの火力調整だけで微調整をしていましたが、どうもシックリとしません。

いろいろ試行錯誤した結果、ようやくたどり着いたのが焙煎機に蓄熱された熱量と外気温(室温)に含まれている熱量、プラス焙煎する生豆の温度です。

 

最初は、個々にとらえていましたが次第に『保有熱』という概念で、全体の熱量をとらえるようになってきました。

 

結果、そこから導きだされてきた一つの仮説が

焙煎は火力だけでしているのではなく『焙煎機と周囲の環境全体に蓄熱された熱の総量』で焙煎をしているという仮説です。

これが『保有熱の調整』をする上での基本的な考え方になります。

 

『保有熱の調整その1』は『焙煎室の室温を20~30℃以内の範囲に保つ』という事です。

昨今のように35℃を超えるような猛暑の夏は、クーラーでガンガン冷やしても、焙煎室を30℃までに保つという事は、なかなかに難しいのが現状です。

 

したがって夏の焙煎は、まだ涼しい午前中のうちに済ませる事も一つの方法です。

それだけでも、焙煎ブレの原因はかなり減少されます。

空調を利かせた焙煎室ですが、必ず喚起扇を回して一定の空気の流れを保つことも必要です。

その理由については、排気弁の話をするときに触れたいと思います。

 

室温が20℃を下回るような冬の焙煎は、焙煎室を暖房器具で温めることが必要です。

単純に火力を強めて熱量を補うような方法だと、生豆の上面を煎っただけの焙煎になり豆の芯からしっかり煎られた、完熟した焙煎には程遠い結果になります。

 

『保有熱の調整その2として、私がとっている対策は、焙煎機の周囲3カ所にファンヒーターを設置して、焙煎機の足元の室温が20℃以上になるようにしています。

足元の温度としたのは、それより上は2~3℃高くなりますので、確実に部屋全体を温めて、熱の布団で焙煎機を包むようにすることで、無理なく焙煎の熱量不足を補う事ができるからです。

 

これを実施するだけで、焙煎の進行は確実に変わります。

吹きさらしの寒い部屋では、必ず熱量不足の焙煎になり、未熟な味が残る結果となります。

 

ここまでの焙煎環境についての解説はいかがでしたでしょうか?

外気温の変化による焙煎への影響は、小さい焙煎機ほど影響する度合いは高くなります。

つまり、小さい焙煎機ほど四季の外気温の変化による焙煎ブレは大きいという事です。

 

 

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