▼『焙煎のマニュアル』はあっても『マニュアル』に縛られるな!
(コーヒーよもやま話no,12)
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私は、焙煎をするたびに『焙煎データ』をノートに書き留めています。
過去のデータを改めて観てみると、焙煎の仕方が次第に変化していることが良く判ります。
『焙煎のマニュアル』と言うのは、いつまでも固定したものではないのです。
新しい気づきがあるたびに、変わっていくものなのです。
私の焙煎方法は『低温焙煎』と名付けています。
『低温焙煎』の最大の特徴は、焙煎初期の作業工程で生豆の水抜きがシッカリとされているところにあります。
水抜きがシッカリ出来ていることで、クリアで濁りのない浅煎コーヒーの美味しさを追求することが可能になっているのです。
この生豆の水抜きと言う作業工程、焙煎経験のある方ならお判り頂けると思いますが、実は難解な作業なのです。
コーヒー豆は、ただ単純に煎れば良いというものではありません。
どのような火力や作業工程で煎ったかと言うことが、コーヒーの味には決定的な違いを生じるからです。
生豆の水抜きがシッカリとされて、豆の芯から綺麗に焙煎されているコーヒー豆は意外に少ないのです。
当然ながら、焙煎の仕方には『マニュアル』と言うか一定の型と言うのはあります。
●何度で生豆を投入して、何度でバーナーを点火するか
●どのぐらいの火力で何分ほど煎るか
●どのタイミングで、焙煎の火力を調整するか・・等々、
数万回の焙煎作業から導き出した『焙煎のマニュアル』と言うものが、確かに存在しています。
しかしながら、その『焙煎のマニュアル』通りにやれば、いつでも同じようにコーヒー豆が煎れるかと言えば、返事は『ノー』です。
なぜならコーヒーの生豆は農産物なのです。
同じ種類のコーヒー豆でも、1袋ごとに生豆の実の詰まり具合や水分量などが違います。
焙煎機を取り巻く外気温などの環境も日によって大きく違います。
焙煎機の冷却の仕方で、焙煎機自体の持っている保有熱量も微妙に違います。
それらを即座に感じ取って微妙な調整をするには、長年の経験で培われた職人の技が必要です。
時には『焙煎のマニュアル』を無視することも必要です。
焙煎方法に行き詰まりを感じた時『エーイ、失敗してもえーは』という思いで、やり方を変えた時・・
新しい気づきを得ることが多いのです。
何万回もの試行錯誤を繰り返し、ようやく辿りついた焙煎の仕方が、現在の『低温焙煎と言う焙煎』の形なのです。
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