こんにちは、hataです(´▽`)
アーティフィシャル・フラワーの商品制作にもたもたしておりまして、2週間近く更新が遅れてしまいました・・・・。自営業は、定期休業中も働いているというのが実情です。もう春の準備です。(ノД`)・゜・。
なので、今回は小ネタで。
ご存じのとおり、ディッキアの草姿は、基本的には星型。中心部から放射状に葉を広げる、いわゆる「ロゼット型」の植物になります。一部、Dyckia estevesiiなどの互生葉タイプもありますが。
なので、本体が大きくなってくると、ある成長段階で生長点が分かれ始めます。これを分頭と呼んでいます。
しばらくは、格好悪いですね。
たいていは、2つ、もしくは3つに分かれます。やがて、それぞれが葉を放射状に展開して、基部がくっついたダブルヘッド株、もしくはトリプルヘッド株になります。
こんなふうになっていきます。
ちなみに、左の頭の脇に小さな頭が見えますが、妙な位置にあるので、これは子株ではなく、たぶん花芽。最初は子株そっくりなのですが、ぐんぐんと茎を立ち上げて、やがて花が咲きます。
増やしたい場合は、しっかりと分頭しきった時点でタテに本体を切断→株分けしてしまうのですが、そのまま成長させると、それぞれの頭がさらに分頭を繰り返して・・・・・
やがて、立派な群生株(クランプ)になるわけです。
ちなみにこちらは、Dyckia Sawfish × 7a。 巨大な群生株がタイなどの国で優秀賞に輝いた、銘品Red Lotusの兄弟株です。葉が短いので、分頭を繰り返しても葉がごちゃごちゃ絡み合わないのが特徴。赤く染まる時期は、とても美しいです。
ディッキアは株元からも少しずつ子株を吹くので、群生させるには、ある意味ひたすら放っておけば良いのですが、子株がびっしり茂ってくると、本体との成長やサイズに差が出てしまい、あんまり整った群生姿にはなってくれません。やはり子株は外して、分頭の繰り返しによる形で大株に仕立てたほうが見栄えがします・・・・かね。
こちらはDyckia coristaminea。トゲの少ないシンプルな小型原種です。単頭だとあまり華やかとは言えませんが、ここまで群生すると、なんだかオシャレに見えます。
純白のトリコームと、わずかにのぞく緑色の葉が美しい、Dyckia White Shark。こちらもやや小型の品種なのですが、数年も育て続けると、ここまで迫力のある大株に。
うちは生産をしていますので、親株は群生株のまんま放っておくことも多いのですが・・・・・
ディッキアたちのなかに、緑色の不思議な姿がひとつ。
超・小型品種が分頭しまくった末の群生・・・・というには、あまりにモシャモシャした不思議な草姿。
こちらが、昨年末の記事でちょっとだけ触れました、ディッキアのモンストローサ個体。
「monstrosa」「石化」などと呼ばれる突然変異の一種で、成長点異常によって、通常とは違う場所からも次々と新芽を吹く状態を意味します。
生長点がでたらめで、そこらじゅうからどんどん吹いてます。しかも、ロゼット状に葉が展開せず、ねじくれた感じに葉が伸びてきます。
どこから見ても、頭だらけ。
このもしゃもしゃの中の本体がどうなっているのか、いまだに判断できず。株元に子株があるかと思ったら、よく見ると違ったり・・・・たとえあったとしても、本体を傷めずに無事にカキ仔できるのかどうかも、よくわからない状態です。株分けも、どこで切断したらよいのやら。
しかし、この姿・・・・ガーデナー的には、草花苗のように、素手でガシッとつかんで、めりめりっと乱暴に引き裂いて株分けしてしまいたい衝動にかられます。(;''∀'')。うずうず。
モンストは、他の多肉植物やサボテン、ヤナギなどの成長の早い樹木などではけっこう見られる現象ですので、園芸店経営者の私たちはあまり気持ちが高ぶらないのですが・・・・ディッキア界ではどうなのかなあ? 私もそれなりに詳しいつもりですが、世界のディッキアのすべてを知っているほどものすごく詳しいわけではないので、はたしてこれが希少な株どうかは不明のまんまです。
まあ少なくとも、よく見かけるようなものではないので、みんなの興味を引く・・・・・かと言えば、これまたそうでもなくて・・・・・原種っぽい緑葉のせいか、そもそもパッと見がディッキアに見えないせいなのか、買い付けにいらした業者さまやお客さま方の目からも、まんまと逃れ続けている始末です。コレクターの琴線に引っかからない? それとも、うちが園芸店なので、より目立たない? namiさんは「芝生? タマリュウ?」って言ってるし・・・・・・。
そもそも、こんなおかしな株をどこから手に入れたかと言うと、当店の種まきトレーの中からです。
「手に入れた」というより、「捨てなかった」というのが正しいでしょうか。
植物は遺伝子異常を起こしやすいので、数千、数万粒のタネを蒔けば、けっこうこういう個体も混ざっているのではないかと思います。
ただ、美しい改良品種を生み出そうとする育種家の方々の場合は、トゲがほとんどなく、葉色も美しくなく、他の芽よりも元気がなさそうなこうした個体は、育てても無駄とちっちゃなうちに判断されて、処分されてしまうことが多いのかもしれません。だから見かけないのかな~と思います。
同じ遺伝子異常株でも、「斑入り」は宝物あつかいで大切に育ててもらえるのに・・・・・・・。
実際、この株も、「生きてるんだから、いちおう育てみるか」というグループのなかに紛れていたものだったりします。とにかく成長が遅いため、「ん? 石化してるの?」と思い始めたのも、播種から2年以上たった頃でした。
モンストは虚弱な株も多いので、いずれ枯れちゃうかな? ・・・・と思っているうちに、もう4年。緑葉のおかげか意外と丈夫で、去年の1か月ぶっ通しの長梅雨も、真夏の酷暑も平気で乗り越えた強者だったりします(´▽`)。
そんなこんなで、ここまで頑張って育ってくれたし、せっかくなので名前をつけることにしました。うちの生産品なので遠慮なく。
近年は、カッコいい名前の交配ディッキアが多いですが、こちらは偶然の産物なので見た目どおりで。
Dyckia ‘Sea Anemone’
「イソギンチャク」の英名です。海のアネモネなんて、いかにもガーデンショップっぽいし。銘品Brittle Starはクモヒトデだし。
とにかく、どんな弱々しい実生株も、生育不良と決めつけずに育てるようこころがけています。
こちらは、上にもご紹介したDyckia coristamineaの実生株のひとつ。白い極細葉で、ちゃんと管理しているのですが、3年たってもなかなか大きくなりません。あ、使い回しのラベルが写っちゃった。この株の価格ではないですよ。
でも、かなりしっかりしてきたかな? このまま本体が大きくなって体力がつけば、葉もだんだん増えて、極細葉・極小サイズのコリスタミネアができるかも?
地味~な個体のご紹介ですみません・・・・。なにぶん園芸店の経営者なので、ディッキアに関しても「上へ上へ、さらなる高みへ」だけではなく、「横へ横へ、幅広く」という感覚になってしまうのです。
なにより、「のんびり」「じっくり」が好き。(´▽`)。そうでなければ「癒し」は手に入らない。
コロナ時代だからこそ、こうした園芸を楽しみたいなと思う次第です。
ではでは、今回はこれで。
皆さま、くれぐれもお身体にお気をつけて。