がんフーフー日記 -42ページ目

ラストサプライズ

ダンナです。




本当は、もうひとつ、ネタが残ってたんだ。




あなたがいわきに戻って、体調があまりすぐれなくて、

そのとき「2人だけのLOVE❤温泉旅行」「手作りギョウザ誕生会」という

2つのサプライズを計画してたって話まではしたけど、

実はもうひとつだけ、仕込もうとしていたネタがあったんだ。


あなたが消えてしまった金曜日の、その4日前の月曜日、

私はあなたも知ってるIさんと夜、会ったんだ。

そして、このブログを読んでくれるようお願いしたんだ。


あなたに伝えるセリフまで、もう決めてたんだぜ。



「おれがおまえに、最高の『墓』を作ってやる!

 だから心配するな。安心して、思うぞんぶん生きたまえ!」って。



でも、それは口にすることができなかった。



だって、よくよく考えてみたら、それはとても残酷な言葉だし、

それであなたが励まされるのか、落ち込んでしまうのか、

いくら考えてもわからなくて、

そうこうしているうちに、あなたはあっけなく逝ってしまった。





あれから、よくわからない時間が通り過ぎた。

通夜、告別式、納骨、新盆……

なんとか体裁は整えたけど、それでもどうしてもピンとこないんだ。

お墓とか、遺影とか、位牌とか、そこに本当にあなたはいるのかな?

そんなの、ただの石や写真や木の切れ端にしか見えないんだけど。



私にとって、あなたにふさわしい場所は、

やっぱり、そこじゃないんだ。




本の好きな人だった。

一緒に住むとき、あれほど減らせと言ったのに、

我が家に運び込まれた新品の三段スライド式本棚2台。

ぎっしり収められたハードカバーやマンガ本は、

「まあ、これから一生読むものには苦労しなくていいか」とも思ったけど、

どれだけ新居を圧迫したことか。


いくつか職を転々としたけど、本屋で働いているときのあなたが

一番いきいきとして、あなたらしかった。

こまめにPOPを作り、客を差し置いて取り置きを重ね、

結局私たちの待ち合わせ場所も、いつもその本屋だった。

KZOも、ASAちゃんも、BOOも、みんなレジ前にたむろして、

どれだけ本屋を私物化しているのか、心配になるほどだった。


そして、ものを書く仕事をしていた私を応援してくれたのも、

あなただった。

あなたは、片手ほど存在する、私が信頼する読者のひとりだった。

たぶん、私がやった仕事のほとんどを読んでるはず。

あなたに笑ってもらうために書いた文章もいくつかはあった。




だから、あなたは、本になるんだ。



あなたの墓は、紙でできた本だと思うんだ。

WEBなんかじゃだめなんだ。

ちゃんと手で触れられるモノになって、そこにドンと居てほしいんだ。



そして、あなたが愛した家族・仲間の本棚の中へ。

あなたが愛した本屋の片隅へ。

生前同様デカすぎる存在感だと煙たがられそうだから、

背表紙がチラリとのぞくくらいのつましさで、

ずっとそばに置いてもらえたら、幸せなんじゃないのかな?





もちろん、これは私にとっての悲願でもあるんだ。


本になったあなたを持って、家族・友人に感謝を伝えたい。

いつか私は、これを「わたしたちの物語だ」と書いた。

ブログという形で公開することで周囲を巻き込み、

多くの励ましと泣けるほどの思い遣りの中で、なんとか走りきることができた。

みんなの物語を預かった身としては、

このままオシマイにするわけにはいかないんだ。


ぺ~にだって、伝えなきゃいけない。

あいつがこの世に誕生したとき、おかんとおとうがどんなふうに生きたのか。

おかんがどう闘って、どう苦しんで、どういう愛情の中で

幼いおまえの成長を見守っていたのか。

父親として、それだけはどうしても果たさなきゃいけない仕事だと思うのだ。


そして、まだ何かが終わった気のしない私自身のためにも。

どうやら、もう「次」に行かなきゃいけないみたいだけど、

どうしても、まだここから動く気がしない。

まだ、終わっていない。

まだ、やりきっていない。




だから、ラストサプライズ。



あなたがヨメでしか起こり得なかった鮮やかな日々を、

私がダンナでしかできなかった形で結晶にしてしまいたい。




書籍の編集を手掛けるIさんは出版にGOサインを出してくれた。

ギフのCゲトさんも、このことを許してくれた。



自分で言っておきながら、まだ戸惑っている部分もある。

本当にそれが正しいことなのか。


でも、想像する。

あなたのことを想う。



空にいるあなたは、きっと笑ってくれるよな?