がんフーフー日記 -40ページ目

ぺ~トーーク(きっと十数年後編)

ダンナである。



現在、広島にて母のPCより。

十数年後の未来に想いを馳せている最中。



「うえーんうえーん、しくしくおいおい……うえーんうえーん」

「おや、赤子の頃に恐れていた通り、

 すっかりデブのヤンキーに成長してしまったぺ~の部屋から

 嗚咽が聞こえてくるではないか。さては例の本を読みやがったな……

 やっと息子も愛の力に目覚めてくれたか。おい、ぺ~、入るぞー!」

「うううう……『世界の中心で愛をさけぶ』はいつ読んでも泣ける……」

「いまどきセカチュー読んでんじゃねーよ。

 こっち読めよこっち。おまえの両親が体験した闘病ドキュメンタリー本」

「あ、これがウワサの本だばい。

 わちきが生まれてくる頃のことが克明に書かれているものだばい?」

「なんか、おまえしゃべり方がだんだん母親に似てきたな」

「うううう……ページをめくるやいなや、これは泣ける……」

「おう、さすがは息子! 親の偉大さを思い知ったか」

「生まれて間もない頃から、早くもデブキャラ扱いされている

 わちきが不憫でならないばい……」

「まあ、本当にデブだったからな……」

「あと、オカンの病状以上に、

 オヤジの頭髪も当時から末期的症状だったとは……ううう。チラッ、チラッ」

「それは単なるネタだから! 泣きながら父の生え際、ちらちら見るなよ!」



「マア、それにしても、どえらいことになっとったことはわかるばい。

 たった1年の間に、結婚して、病気が発覚して、わちきが生まれて、

 闘病してって…………どんだけ怒涛やねん。オヤジ、あんたがんばったばい」

「うん、がんばったがんばった……」

「ただ、全体的には前に出すぎよ。

 もうちょっとオカンのことしっかり書き込まんとあかんかったよ」

「はい、すんませんすんません……でも、こうして本になっててよかっただろ?

 おまえのルーツも、オカンがどんな人だったかも、ちゃんと伝えられる」

「まあね、そりゃよかったと思うけど、じゃああれ何?

 なんだっけ? 『がんフーフー日記』の続編とか、

 密かにやってたらしいばい?」

「……『父子プープー日記』な。いやー、『フーフー日記』で味をしめたから

 二匹目のドジョウを狙ったけど、あれは思い切りハズしたなー。

 やっぱキャストがダンナとぺ~、おっさんキャラ2人ってキツいよ」

「基本的に思想はサイテーランクのオヤジだわい。

 確かにキャラは被っとるけどね……かたやデブ、かたやハゲって」

「だからハゲてないって!」

「わちきだって、中学生の頃にはもうスマートになっとる予定だわい!」



「てことで、息子よ、この本を読んでしっかり感動してくれたまえ。

 で、できれば両親への敬意をさらに増し、

 正月には逆にお年玉をくれるぐらいになってくれたまえ」

「ふん、なんだよ、こんな本。わちきはいらないばい。ぽいっ」

「ああ、私たちの愛の結晶をポイ捨てするなんて!」

「誰も本にして残してくれって頼んだわけでもないしよ。

 こういうのをドンと渡してくるのを、押し付けがましいって言うんだばい」

「なにおー、魂の書籍にそこまで言われて黙っておれるかー。

 ぺ~といえども、殴っちゃる! 絶対殴っちゃる!」

「ま、書籍は不要だけど、わちき、最新版iPadで熟読してますからネー!

 やっぱこれからの社会はITだばいー。

 書籍の電子化はどんどん進行しているんだばいー。

 ほら、ツルツルーとタッチパネル。オヤジもやってみるばい?

 こんなん扱えんと、若い女の子と話もできんよ?」

「うーん……なんか複雑な気持ちになってきた。

 これからこの息子と、どんな会話をするんかしらん?」