ぺ~トーーク(きっと十数年後編)
ダンナである。
現在、広島にて母のPCより。
十数年後の未来に想いを馳せている最中。
「うえーんうえーん、しくしくおいおい……うえーんうえーん」
「おや、赤子の頃に恐れていた通り、
すっかりデブのヤンキーに成長してしまったぺ~の部屋から
嗚咽が聞こえてくるではないか。さては例の本を読みやがったな……
やっと息子も愛の力に目覚めてくれたか。おい、ぺ~、入るぞー!」
「うううう……『世界の中心で愛をさけぶ』はいつ読んでも泣ける……」
「いまどきセカチュー読んでんじゃねーよ。
こっち読めよこっち。おまえの両親が体験した闘病ドキュメンタリー本」
「あ、これがウワサの本だばい。
わちきが生まれてくる頃のことが克明に書かれているものだばい?」
「なんか、おまえしゃべり方がだんだん母親に似てきたな」
「うううう……ページをめくるやいなや、これは泣ける……」
「おう、さすがは息子! 親の偉大さを思い知ったか」
「生まれて間もない頃から、早くもデブキャラ扱いされている
わちきが不憫でならないばい……」
「まあ、本当にデブだったからな……」
「あと、オカンの病状以上に、
オヤジの頭髪も当時から末期的症状だったとは……ううう。チラッ、チラッ」
「それは単なるネタだから! 泣きながら父の生え際、ちらちら見るなよ!」
「マア、それにしても、どえらいことになっとったことはわかるばい。
たった1年の間に、結婚して、病気が発覚して、わちきが生まれて、
闘病してって…………どんだけ怒涛やねん。オヤジ、あんたがんばったばい」
「うん、がんばったがんばった……」
「ただ、全体的には前に出すぎよ。
もうちょっとオカンのことしっかり書き込まんとあかんかったよ」
「はい、すんませんすんません……でも、こうして本になっててよかっただろ?
おまえのルーツも、オカンがどんな人だったかも、ちゃんと伝えられる」
「まあね、そりゃよかったと思うけど、じゃああれ何?
なんだっけ? 『がんフーフー日記』の続編とか、
密かにやってたらしいばい?」
「……『父子プープー日記』な。いやー、『フーフー日記』で味をしめたから
二匹目のドジョウを狙ったけど、あれは思い切りハズしたなー。
やっぱキャストがダンナとぺ~、おっさんキャラ2人ってキツいよ」
「基本的に思想はサイテーランクのオヤジだわい。
確かにキャラは被っとるけどね……かたやデブ、かたやハゲって」
「だからハゲてないって!」
「わちきだって、中学生の頃にはもうスマートになっとる予定だわい!」
「てことで、息子よ、この本を読んでしっかり感動してくれたまえ。
で、できれば両親への敬意をさらに増し、
正月には逆にお年玉をくれるぐらいになってくれたまえ」
「ふん、なんだよ、こんな本。わちきはいらないばい。ぽいっ」
「ああ、私たちの愛の結晶をポイ捨てするなんて!」
「誰も本にして残してくれって頼んだわけでもないしよ。
こういうのをドンと渡してくるのを、押し付けがましいって言うんだばい」
「なにおー、魂の書籍にそこまで言われて黙っておれるかー。
ぺ~といえども、殴っちゃる! 絶対殴っちゃる!」
「ま、書籍は不要だけど、わちき、最新版iPadで熟読してますからネー!
やっぱこれからの社会はITだばいー。
書籍の電子化はどんどん進行しているんだばいー。
ほら、ツルツルーとタッチパネル。オヤジもやってみるばい?
こんなん扱えんと、若い女の子と話もできんよ?」
「うーん……なんか複雑な気持ちになってきた。
これからこの息子と、どんな会話をするんかしらん?」