ごみの最終処分場を視察 ②視察を経て |  みどり色の地球

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今回、秋田、山形、福島にある ごみの最終処分場4カ所を視察しました。それぞれ事細かにご紹介したいところですが、東埼玉資源環境組合から、地元自治体・周辺住民などへの配慮もあり、場所は非公開と言われています。とはいえ、決して隠さなくてはならないような事業体ではありません。地元自治体へ多大なる貢献をしたり、災害時にごみを引き受けたり、どの事業者も誇りを持って、適正に施設管理をされています。

私たちにしてみても、自区内処理できない焼却灰や飛灰を県を超えて受け入れてくれていること、滞りなく処分するために努力いただいていることに感謝しかありません。また、お忙しい中、こうして視察を受け入れてくださったこともありがたい限りです。

 

視察を経て思うこと
視察に行く前は「どこも似たようなところだよ」と言われましたが、大小様々な処分場を見てきて、非常に理解が深まりました。今回の視察の目的は最終処分場がちゃんと適正に処理しているかチェックするというよりは、最終処分場が持続可能なものかどうかを見定めるためです。私たちのごみ処理について見直さなくてはならないと思ったからです。

 

・どの処分場も2020年、2030年まで使用を見込みです。また、斜面を伸ばして深さを増したり、新しい場所で新たに始めたり、覆土のために掘っていたところを新たな処分場にしたり、どこも増設計画があり2050年くらいまで使用はできそうです。

その後も、少しずつ増設していくのかもしれませんが、そこには代償もあると思ったし、やはり有限であるという事実は目の当たりにした感じです。


・驚いたのは、最終処分場には物質循環の役割があり、廃棄物からガスを出し、雨水を浸透させることから、埋め立てた物質を安定化させ、自然に戻していくという考えです。

吉川市の第1最終処分場(美南中央公園)の浸出水処理に関してお話を聞いた時は、雨で水が出てしまう時のためにあるような説明を受けていたので、雨に当たることは決していいことでないと思い込んでいました。しかし、雨水の浸透は物質循環において、もっと積極的なものだったことを知りました。
帰ってから調べてみると、その安定化には300年の年月が必要という文献もあり、まさに「代償」だと思いました。

・焼却灰・飛灰を毎日何台ものトラックで何時間もかけて運び込むことはカーボンゼロを進める中で是非は問われます。自区内処理のことも含めて再考する必要性があると感じました。遠いところの事業所ではトラックだけでなく、途中列車を利用してCO2削減、運転手の働き方改革に取り組んでいるところもありました。写真は連結トラックです。運転技術は難易度高く、特にバックは大変だとか。

思った以上の搬入量でしたので、運送部分の環境負荷もしっかり考えていかないといけません。

・事業所にしてみれば、最終処分場を作ったからには、ごみが搬入されてなんぼのものなのでしょうが、長持ちさせることも長い目で見れば経済的ではないでしょうか。焼却炉と違って、使用期限はありませんから。


・いずれにしても直近の課題として、更なるごみ減量対策、最終処分量の減量の必要性を新ためて実感しています。

「最終処分場」についてのざっくりな話
最終処分場には安定型、管理型、遮断型の3種類があります。

安定型はプラなど雨にぬれても大丈夫なごみです。

管理型はシートを引いて浸出水を集め、処理をして、きれいにしてから放出する施設です。

遮断式はコンクリートで固めた所に、有害物など特別管理物質を処分するところです。
市町村からでる焼却灰は一般廃棄物で管理型の最終処分場となります。

 

鉱山跡地を利用して

最終処分場は鉱山事業で掘り出した後の大きな穴を利用している場合が多いようです。

  

鉱山は鉱山保安法や採石法といった法律で管理されます。法律で採石が終わった後は掘った穴を現状復旧するようになっていて、その現状復旧に廃棄物を埋めることでより有効な活用をするというわけです。事業的には掘ってよし、埋めてよしということなのでしょう。

 

山を切り開いて

鉱山跡地ばかりでなく、山の沢や谷を利用して切り開いて最終処分場をつくっているところもあります。

  

どちらも、雨水や廃棄物がもれだすことのないように、地盤の上に2枚の遮水シートや不織布マット等で何重にも保護し、電気式の漏水検知システムなどを備えたりしながら厳重に整備はしています。

しかし、放流先では取水していないことや農業をしていないこと、放流水で魚は飼えない等の説明がありました。

 

自区内処理できない埼玉

整備に当たっても法律に則った指導がありますが、運営においても常に協議が行われます。

一般廃棄物においては本来は自区内処理が基本ですが、土地がないなどの事情を組んでもらっての外部処理になっています。埼玉県の外部処理の量は他県に比べて圧倒的に多く、驚かされます。


「令和5年度 廃棄物の広域移動対策検討調査及び廃棄物等循環利用量 実態調査報告書」より

https://www.env.go.jp/content/000213540.pdf

 

搬入業者は(私たちの場合は東埼玉資源環境組合)は当該市と事前協議をして最終処分量の許可等をいただくことになります。また当該市は最終処分事業者の書類や分析結果などを管理します。

一般廃棄物に関しては当該市が、産業廃棄物になると当該県が対応することになるそうです。

 

維持管理積立金

最終処分場の一番大切な事業が浸出水の処理です。

 
最終処分場の埋め立てが終了してからも、浸出水は排出されるので処理し続けなくてはなりません。そのための「維持管理積立金」をしっかり用意しておくことも、当事業の継続には必要で、毎年の積立を監督されています。その金額が数十億円とリアルな金額を教えてくれたところもありました。

保全協議会 
浸出水の放流は地元自治体にとっては監視すべき対象です。当該県・当該市で協議会が作られ、毎月様々なチェックを実施しています。
チェックの視点は
①    放流水の分析
②    搬入物の検査
③    沢の水質検査
④    書類の確認等です。

 

初めは反対だった地域の方々も、時間をかけて協議会を重ねてきて、ご理解と信頼を培ってきているというお話もお聞きしました。

 

今回の視察では地域の方々のお話を直接お聞きする機会は持ちませんでしたが、協議すべきはごみの排出者である私たちの方かもしれません。ごみは私たちの生活の中で一番身近な政治です。目の前のごみのことだけでなく、最後の最後までを考え、広い視野で見始めれば、必ず意識の変化に繋がり、最終的には小さな判断の積み重ねにより、より良い社会に向かっていくと思います。多くの方に当視察の報告をしながら、ごみについて語り合っていきたいです。

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