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(第9期高齢者福祉計画の中に新しく加わった「人生会議」と「成年後見人制度の中核機関の整備」について質問しました)

 

「終活」は未来を生きるためのもの

「終活」という言葉は、以前は「人生の終わりを見越して活動すること」と言われてきましたが、最近では「人生のエンディングを通じて、自分らしく、今をよりよく生きるための活動」と、死後について考える「ネガティブ」なものから、未来を生きるための「ポジティブ」な活動となってきています。最近では30代から「終活」を始める方もいるそうです。

 

具体的には、

・財産整理や遺言書の作成

・身のまわりの整理

・葬儀やお墓の準備

・老後の介護・医療の在り方

・人生会議ACP(アドバンス・ケア・プラニング)の促進

・「エンディングノート」の作成

等があります。

 

意思疎通をすることで失敗回避!

1人でできるものもありますが、多くは家族や医療・介護に関わる方々との意思疎通が非常に重要になってきます。

ある一人暮らしの高齢女性のお話です。子どももいないので、自分の遺骨は宮古島で散骨が希望で、ちゃんと契約もしていました。近くのお友達にそれについて話をしていたそうなのですが、お亡くなりになり、いざ葬儀となった時、準備を進めるのは親族の方です。聞いていたお友達が「彼女は散骨を希望していて契約もしているはずだ」と家族に伝えたけれど、家族の誰もそれを知らず、結局は普通に葬儀と納骨が行われました。その後、彼女の住まいを片付けていた時に、その契約書が出てきました。しかし、家族は誰がどうやって散骨にいくんだという話にもなり、結局は彼女の想いは叶えられませんでした。

亡くなった後の希望は、準備だけでなく、家族との共有が大切なんだと思わされたエピソードです。

そうそう、それを担う費用も一緒に用意しておくことも忘れないで!

 

行政がどこまでできるか

行政として取り組むには、プライベートな領域のため関われる範囲にも制限はあるかもしれません。しかし、市民にとっては大切なことで関心が高いです。また、成年後見制度の主張申し立てするには、家族や縁者がどこにいるか、財産があるか等の調査・確認作業をするので、そのような情報がエンディングノートに残っていれば、市も関係者も負担が軽減されます。他にも介護保険制度を利用するか、施設に入るか等についても意思が示されていることは助けになります。

 

人生会議(ACP:advance care plan)

実は、命の危機が迫った状態になると70%の方が、医療やケアなどを自分で決めたり望みを人に伝えたりすることができないくなると言われています。命に係わる大きな病気やケガをする可能性は、誰でもいつでもありうることです。自らが希望する医療やケアを受けるために、あらかじめ大切にしていること、どこでどのような医療やケアを望むかを、自分自身で前もって考え、(繰り返し話し合い)、周囲の信頼する人たちと話し合い、共有することを人生会議といいます。「共有する」これが大切です。考えが変わることもあるので、繰り返し行うことも必要なことです。

これは埼玉県医師会の人生会議用ノートです。

5回に渡って書き換えることができるようになっていて、希望欄も3ページにわたっています。

 

現在、市は啓発のためにパレット(老人福祉センター)や市立図書館などで展示や講座開催を行っています。講座の受講人数の目標は令和5年61人のところ、令和8年には331人としています。今後は市のみでなく、医療機関や福祉職の方々が自ら講座を開催することも想定されていて、講座回数を増やしていきたいということです。講師には終末期医療の専門家である医師の方が最適だということでした。

11月30日は「人生会議の日」には、市も人生会議の推進について考えていきたいとのことでした。

 

人生会議そのものを実際に開催するのには、本人・家族、また、ケアマネさんや医療従事者の方々のご協力も大切でしょう。人生会議はACP(advance care plan)なので、あくまでもケアのためのプランなので人生観に踏み込む内容となりますが、手始めにエンディングノートを一緒に書くということから始めてみるといいのかもしれません。

 

成年後見制度 中核機関の整備

認知症や精神障害等で意思決定が困難な者の判断能力を補い、不利益にならないようにするのが成年後見人です。これから超高齢社会の中で高齢者の権利擁護の必要性が高まってきていて、「成年後見制度」について身近で相談できるように、国は令和6年度を目途に、全ての市町村に「中核機関の整備」と「成年後見人制度利用促進基本計画」を策定するよう示しました。

 

吉川市も「第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」の中に基本計画を盛り込みました。今は様々な権利擁護について、行政が中心に取り組んでいますが、「成年後見制度」については、令和7年には中核機関として社会福祉協議会が機能するよう準備していて、今年度から一部事業を委託しています。

重層的支援体制など、ここのところ社会福祉協議会の役割がどんどん大きくなっています。時に関係者のネットワークの中核として、時に市として相談業務を担う等するとのこと。今年度は一部の業務を委託していて、準備としてマニュアル作成しています。成年後見制度についてはまだ相談数は少なく、受容と供給に見合った形で少しずつ、段階的に機能充実を図っていくということです。

 

社協の面々を想像しながら、感謝の気持ちが増すばかりです。

 

【参考資料】

中核機関の整備と市町村計画の策定(令和3年 厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/000783556.pdf

第9期 吉川市高齢者福祉計画・介護保険事業計画

https://www.city.yoshikawa.saitama.jp/index.cfm/24,102904,c,html/102904/20240315-150629.pdf
神戸大学「これからの治療・ケアに関する話し合い」

https://www.city.misato.lg.jp/material/files/group/29/EOL_shimin_A4_text_0416.pdf

埼玉県医師会発行 「私の意思表示ノート」

https://www.city.yoshikawa.saitama.jp/index.cfm/24,101273,c,html/101273/watashi_note.pdf

三郷市医師会発行 「私の人生ノート」

https://www.city.misato.lg.jp/material/files/group/29/zinnseino-to.pdf