地域コミュニティ:期待高まるコミュニティスクール |  みどり色の地球

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希薄になった地域コミュニティ

昨今「地域コミュニティ」は希薄になってきています。

「コミュニティ」という言葉は、1917年にアメリカの社会学者、ロバート・M. マッキーヴァーが「場所や空間を共有する結合の形式で、地縁による自生的な共同生活」と定義しました。いわゆる今で言う「地域コミュニティ」です。

これはもはや過去の定義と化していて、今はSNS上でもコミュニティは存在しますし、趣味や興味で人々がつながることもコミュニティというようになって久しいです。
むしろ、近年は地縁・血縁など町村・都市・地方など、生産・自治・習慣などで深い結びつきをもつ「地域コミュニティ」よりも、人々の関心事でもって緩やかなつながりを作っていくことが求められる時代になったともいえます。

 

行政としては地域コミュニティは必要

ただ、ただです!

地域コミュニティが密であるところは災害時に強いということを、被災地での経験から学んだ私たち自治体としては、コミュニティを活性化するための策を練る必要性は高まっています。

しかし実態は、自治会の加入率は下がり、子ども会が無いところもあります。PTA活動も保護者も先生方も共に忙しく、活動は縮小気味で、PTA連合会を抜けたり、PTA活動でやってきた活動をシルバー人材センターに委託するような実態も見られます。市の事業も地域コミュニティの脆弱さを補うように個々に直接行う支援が増加しています。

 

吉川市の地域課題を地域で解決するための勉強会 報告書
吉川市は「地域課題を地域で解決するための勉強会」を行ってきて、報告書が出てきました。勉強会を経た結論としては、自治会単独での活動の限界を感じる一方で、自治会間で連携して活動していくことにヒントがあるということです。好事例は中曽根小学区の複数自治会の連携で、自主的に減災訓練をしたことで、減災意識が高まり「地域防災計画」「避難所マニュアル」等を先駆的に作成し、更なる減災推進を図って今に至ります。

 

学校運営協議会=コミュニティスクール

小学校単位、「学校運営協議会」はそういう意味でも非常に可能性ある組織だと感じています。学校運営協議会を設置した学校は「コミュニティスクール」といわれます。「地域と共にある学校づくり」「課題解決に向けたとりくみ」などが期待されていて、学校だけなく地域においても要となる組織になります。まさに先述の中曽根小学区のような取組みも湧き上がるべき場なのです。

 

地域学校協働本部をつくろう!

本当のコミュニティスクールを実現するには、上図のように地域のあらゆる人・団体が、学校(子ども)を核に繋がり合ってい協働していく地域学校協働本部が必要です。吉川市ではまだ設置されていませんが、私は実働部隊と言われるこの「地域学校協働本部」また、地域の人達を活かす「学校協働活動コーディネーター」の設置を待ちわびています。令和3年6月議会、一部学校運営協議会が設置された時より「地域の皆さんが繋がっていくことが大切で、一度一堂に会し繋がる仕掛けを作ったらどうか」と提案してきました。当時の部長の答弁は「コミュニティスクールが本格的に機能していく中で、設置について検討していく」というものでした。

 

後退してしまった吉川市

3年が経った今、「地域の人達とすでに連携しているから」と、仕掛けづくりに消極的な答弁に成り代わってしましました。モノが動く時、要は人なのです。PTA会長や自治会長だけではダメなのです。色々な人が面と向かい話し、作用し合うことで化学反応が起こります。時には無駄話も大切です。無駄話から課題を発見したり、いいアイディアが生まれたりするものです。だからこそ、関係者が一堂に会すことが大切なのです。消極的になってしまったことは非常に残念です。

 

「地域学校協働本部」は避難所運営にも役立つ

下図は東日本大震災時に避難所において自治組織が立ち上がる過程が順調かどうか、宮城県の40人の校長先生に質問をしました。左は地域学校協働本部(宮城県では学校支援地域本部と)を設置していた20校の校長の回答。右は未設置の20校の校長の回答です。本部を設置していた20校は95%が順調で、どちらともいえないが1校ありましたが、混乱が見られたところはありませんでした。しかし、未設置だったところは、順調と答えた校長先生は35%で、混乱が見られたのはそれより多く40%でした。日頃、繋がり合っている地域は協働作業がスムーズに進むのです。折角のコミュニティスクールです。実働部隊がより機能できるように、その仕組みを十分に生かしていただきたいです。

 

学校運営協議会のメンバー

協議会のメンバーは7人です。校長先生を入れて8人で協議会が開催されます。自治会長、PTA会長、元PTA会長、保育園関係者など様々な人が学校ごとで選出されていますが、どの学校も7人の内 2人が近隣校長になっています。それはぜひ改めてもらいたいのです。「吉川市は小中連携をしたいから」というのですが、小中連携拡大運営協議会の開催は可能で、連携はそこでやればよく、協議会メンバーには学校運営に関われる住民をもっと増やした方がいいと思います。学校長は、近隣学校の運営に携わって力を削ぐのではなく、ご自身の学校運営に尽力すべきではないでしょうか。しかも、メンバーに元校長先生がいると、そこの学校長合わせて、校長先生経験者4名となり参加者の半分を占めることになってしまいます。これではメンバーに多様性がありません。

女性が一人しかいないところは、即刻改めるべきです。

 

特色ある学校づくりや地域課題について

学校運営協議会で特色ある学校づくりや地域課題についてもっと議論するためには、「特色ある学校づくり」の予算を学校運営協議会に持たせてもいいのではないかと考えています。どうお金を使うかという話は具体的な議論に結びつきやすいと思います。

また、入学生が一桁になった学校では、小規模校としての議論もあって然るべきです。特色ある学校をつくり、学校選択制を求めていくなど、地域から上がってきたら、これが正に住民自治ではないでしょうか。

いずれにしましても、地域コミュニティが希薄な今だからこそ、子どもを真ん中にして地域が結集していくこの「コミュニティスクール」に期待が高まります。

 

今回一般質問を終えての感想は、好事例に挙げられてた中曽根小学校区の自治会活動は「市民生活部」、学校運営協議会は「教育委員会」と行政の縦割りがこうした事業の推進を阻むところもあるのかもしれません。市長部局と教育委員会が協働し、うまく機能できたらいいのではないでしょうか。

 

今年の学校運営協議会の日程

最後にぜに皆さんにも注目をしてもらいたいので、今年度の日程を添付いたします。今まで年2回だったのが、今年から年3回、各学期ごとに開催できるようになりました。

【参考】

「地域学校協働活動―地域と学校でつくる学びの未来―」文科省より

https://manabi-mirai.mext.go.jp/upload/190708chiikigakkoukyoudoukatudoupanhuretto.pdf
コミュニティスクールの作り方

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/community/school/detail/20210119-mxt_chisui02_001.pdf