当初予算に賛成します【賛成討論】 |  みどり色の地球

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第23号議案  令和6年度一般会計予算に平和市民クラブを代表して、賛成の立場で討論をいたします。

中原市政、成熟した3期目

私は、一年間のブランクを経て、当議会に戻って参りましたが、まず初めにこの3月の予算議会を通して感じたことは、着々と事業が進み、また決断がくだされ、市政が動いているということです。当たり前のことかもしれませんが、多くの事業が留まることなく進んでいることは、ひとえに職員の皆様のご努力と、市民の皆様のご理解とご協力の賜物です。また多くの事業をすすめるにあたり、私たち議員・議会の意見、また関係者や市民の皆様の意見を聞く努力がみられます。そして全体を見渡しながら、新しいチャレンジに果敢に取り組みながら事業を前進されていることに中原市政3期目の成熟した姿がみてとれます。

 

再生可能エネルギーを学校に拡大

私としましては、まずは電力の供給元を、庁舎だけでなく、学校においても再生可能エネルギーに変えていく、その姿勢には歓喜の想いが隠せません。子ども達の学校生活が子どもの未来に負荷をかけない形で提供することこそが一番の環境教育だと確信しています。

リバースオークションという、ともすれば買いたたきになりかねない価格競争が大前提の仕組みの導入に関しては、会派としても大きな課題であるととらえており、今後再検討の必要性はあります。しかし、今回の導入により太陽光発電という性質が、日中の活動が多い学校と相性がいいということの理解は深まってきたのだと感じます。今後はやはり地域の屋根や壁のあらゆる場所で太陽光発電を生み出すことが大切だという認識に繋がったものと思われます。

 

再エネを地域で作り・使う

5,6年前、市内に100kw弱の太陽光発電のパネルを設置したいので、学校で使わないかというPPAの申し出がありましたが、当時はそれに対し市は関心を示しませんでした。今はそのような取り組みを推進していく必要性を強く感じていることと思われます。地域で発電ができれば、多少価格が高かったとしても、地域に雇用が生まれ、地域にお金が落ちることで、好循環がもたらされます。

 

吉川美南駅東口開発、後半戦のまちづくりが鍵

エネルギー政策に関しては、これからできる新しいまち・吉川美南駅東口周辺地区土地区画再理事業の後半戦をどう形作るかも、吉川市の気候変動対策のカギとなります。産業ゾーンに続き、商業・業務ゾーンの優先権者が決まりましたが、このまちづくりこそ、市長が予算編成方針でも仰っていたところの「理念」から「事業完了後の展開」まで考えることが大切です。少なくとも30年先を見据えながら、すすめていってもらいたいと思います。

いずれにいたしましても、気候変動対策が一歩ずつですが前進している姿勢には、市民の皆様の未来への不安が薄まることにも繋がり、市の新たな取り組みを評価せずにはいられません。

 

減災対策、災害時に機能するかがポイント

次に、減災事業においてです。昨年6月2日の大雨や、今年1月の市議会議員選挙開票日に動かなくなってしまったWEBサイトの容量の倍増、また、公式lineの導入もし、危機管理体制を充実させるとのこと。災害時に機能するか、ということに力を入れていくというご答弁もありましたが、しっかりと整備していただきたいと思います。

 

冠水想定水位47cm → 8cmへ

治水対策においては、被害軽減を図るための共保 雨水ポンプ場の増強に向け着々と進んでいます。この度、市が求めた中川へ放流する流量が河川管理者に認められ、今後、下水道事業計画作成、県へ協議の申し入れをしていくということで、溜まった水を「流す」対策の増強が進んでいくことがわかりました。これにより吉川駅北口周辺地区といわれる第一排水区の冠水想定水位47㎝が8㎝まで下げられるということは相当な安心につながります。

 

治水対策「流す」と「溜める」で!

また、流す対策の一方で、溜める対策が必要だという、私どもの前会派が提案してきた排水区を変えて田んぼエリアに貯水機能を持たせるということも議論のテーブルにあがっていることも分かりました。簡単なことではありませんが、住民の生命と財産を守るためにできうる限りの対策をとられようとしているその姿勢には信頼が生まれます。

 

調整区域での人口格差・空き家対策へ

会派の提案ということでは、三世帯同居・近居への支援策についても、平成29年の元会派メンバーからの提案が、こうして補助制度として実現に繋がったことを大変喜ばしく、感謝申し上げます。予算編成方針にも掲げられた調整区域の人口施策への解決策として、道筋がつけられたわけです。調整区域へは、東京からの移住者が少しずつですが増えてきています。広がる田園風景にあこがれ、東京近郊の我が吉川市を選ぶ人がこれからも増えていくはずです。近居の補助制度については、親の居住を調整区域に限定せず、また移住については、市内だけでなく、市外・県外への周知も念頭に入れ進めてもらいたいところです。吉川市の魅力発信のツールとして使われるとさらに事業の幅が広がると考えます。

 

調整区域での道路補修を住民参加で

旭・三輪野江地区の対策としては、このエリアの道路補修に取り組むために、自治連合会からの提案型で、調整を図り、道路補修をするための事業費として2000万円を確保しました。金額はともかく、自治会や町会で判断していく手法は、住民自治をめざす私どもとしては、歓迎すべきものです。一般には自的治会や町会の活動が弱体化していく中で、コミュニティの強化にもつながりますし、道路補修計画の見える化にもなり、透明性の担保につながります。

 

重層的支援体制 移行準備に!

このような手法を積極的に取り入れていくことは有効ではありますが、一方で、特に市街地においては人々のつながりが希薄になってきていることが顕著になっています。現在、自治会や町会、PTA、子ども会など既存のコミュニティーの維持だけでなく、地域を支える消防団、交通指導員などの人員の確保すら難しくなってきています。

かつては地域で解決できた問題も、公が担うようになり、行政が個々と直接向き合いながら支援する場が増しています。子育て包括支援センター、子ども家庭総合支援拠点、障がい者相談センターに地域包括支援センターなど、挙げればきりがありません。さらには、それらに分類しきれない社会的孤立や、ダブルケアなど、制度にあてはめきれない複雑化・複合化している生活課題に対応するための、重層的支援体制の整備が求められています。吉川市も令和7年度実施を目指し、令和6年度は移行準備を進めていくということです。

地域住民の力を活かしながら、人々の暮らしに寄り添った支援策を進めて行ってもらいたいと思います。

 

新しい子ども政策が盛りだくさん

子ども達に対しては、吉川市はこどもまんなか宣言に関しては消極的な態度を示しましたが、事業としてはかなり新しい事業もすすめることになります。

まずは県の働きかけもあり、子ども医療費の対象年齢を18歳に引き上げました。年間5000万円もの市単独予算を見込まなくてはならないということで、市は苦渋の決断をされたようですが、喜びの声をたくさん聞いています。
南中学校へのスペシャルサポートルームの設置、これはさわやか相談室との区別化、もしくは統合なども模索しながら、より良い支援につながるよう頑張っていただきたいと思います。

他にも
これまで中学生対象だった学習支援を小学生3年生までに拡充。

義務教育を終えた若者に対するフリースクールの授業料などの助成事業。

保育園や公園出入り口にキッズゾーンの整備。

吉川美南駅東口には保育所設置への準備。と。
今後一番の注目されるのは、子育て支援センターを包括する形の一体拠点施設です。雨の日でも体を動かせる場所、子どもに限らず市民の皆さんが複合して集まれる拠点を目指します。

 

公共施設、増やすより、減らす方が大変!

公共施設に関しては、吉川市は比較的施設が少なく、住民 1 人あたりの施設面積が小さいのが特徴でもありました。そのお陰でという言い方は語弊を生むかもしれませんが、人口減少時代の潮流でもある施設の統廃合に頭をあまり悩ませなくて済んだという一面もありました。今後、東口には4400人が住み着ける計画であり、子育ての中心地区になることも事実です。公共施設総合管理計画には、何を増やししていくか、またその一方で何を縮小などして適正にしていくのか、示されていませんが、しっかり見定めて、計画的に進めていく必要性があります。新しいものを作ること以上に、あるものを減らしていくことの方が市民の理解を十二分に得るなど、より大きなエネルギーや配慮が必要です。

 

課題もあります

このように未来に向け、市民・議会と共に進んでいると実感できる事業もあり、令和6年度当初予算に対し期待点をさしあげたいと思います。しかし、中にはなかなか飲めない事業もあり、進める中で改善を求めるものを申し添えさせていただきます。

 

森林環境譲与税の使い方が課題

一つは、森林環境譲与税の使途についてです。森林環境税は森林のある自治体においては「森林の整備に関する施策」、森林のない自治体は「森林の整備の促進に関する施策」をするための目的税です。

令和3年度から大沢雄一居宅跡地の整備に充当が続いていて、令和6年度で4年目になります。この地に公園をつくり、森林教育をすることは大変よい視点であると思います。その森林教育に充当するならともかく、その整備に充てていることに対し、ずっと疑義を申し上げています。

その理由は3つあります。

1つが、整備内容が不明なこと。

令和7年度には完成することだけは分かりましたが、森林教育をするためのどんな工夫をして整備するのか、整備の中身からわからないこと。

2つ目は、誰が森林教育を担うのかが不明なこと。

3つ目は、この地が10年契約の民地であるということ。

この事業に関しては、長い目で見てくれと言われますが、既に4年目、完成時は契約の半分が過ぎること。10年後も使わせてもらいたいという市の意向は分かりますが、なんの担保もありません。

そもそも整備担当に森林教育をしたくて、こんな公園をつくりたい!という意欲はみられず、譲与税があてられたことで、森林教育が後付けになっているわけです。森林環境譲与税の本来の趣旨でもある、日本の森林を守るという目的が積極的に果たされるための事業に充ててもらいたいのです。

 

そういう理由で、私は3年度の決算を反対。4年度の決算においては不在でしたが、5年度の決算も同じことが繰り返されないことだけは執行部にお願いしたいところです。令和6年度当初予算書の中には充当先が書かれているわけではないので、修正案を出すこともできません。令和6年度、ここに予算を充てるなら、木製の柵のみで留めるよう強くお願いします。

 

かつては緑の拠点だった「吉川駅北口」改修案に緑化ゼロ

また、まち中の緑についてです。
今回の吉川駅北口駅前広場の改修について緑化ゼロということが分かりました。限られた規模の中で安全を最優先にすることは理解します。しかし、歩道部分に全く遊びのスペースがない訳ではありません。トイレ横やラッピーランドの脇のスペースなどは、どう考えても動線から外れています。委員会のご答弁ではプランターやシェルター部分のフラワーポット設置について検討したとの答弁がありましたが、見積もりも出さずに、話題に挙げただけでは、「検討」という言葉からは程遠く、それを答弁で「検討した」というのはあまりに誠意のない話です。

 

問題は決定ありきで議論がみられないこと

これら2つに関しては、事業の是非以前の問題で、内部でどのような議論がおこなわれているかという決定過程の在り方の問題だと思っています。先に結論ありきで話が進んでいるとしか見えないところが問題です。

こういうことを議員が自ら言うのは大変おこがましいことだと重々承知の上でございますが、私たち議員の口は一つですが、単なる一意見ではなく、選挙で議場へと押し上げていただき、市民の皆様からの負託を受けて、この場で発言させていただいていることを、市長を始め、執行部の皆様には改めてとらえていただけたらと思うところです。

私達議員も、一部を見るのではなく、未来を見据え、全体を見み、バランスを考えながら、住民の皆様のためにしっかり市政を見ていかなくてはいけないということをしっかり心に留めておかなくてはいけないことだと思います。

私自身、いつも自問自答しています。執行になかなかご理解いただけないのは、言っていることが変だからなのだろうかと。そして市民の皆様との交流の中で、間違っていないことを繰り返し確信しながら、ここで何度も訴えているわけです。その繰り返しが議論であり、繰り返しがあってもいいとは思います。私も諦めず今回も訴えさせてもらいますが、これは市民の声なのです。

 

経常収支比率92%、予断はゆるされません

最後に財政に関してですが、経常収支比率にかんして、令和3年度は普通交付税や臨時財政対策債の増などで一時的に80%台に改善していましたが、令和4年度の決算は92%でした。中原市政になって2019年の98%をピークに少しずつ下降傾向になっていますが、以前懸念される部分で気を引き締めていってもらいたいと思います。

光熱費があがり、人件費もあがり、ごみ処理の負担金も増える、さらには世界的にも非常に不安定な時代に突入しています。気候危機で産業や農業においても益々の打撃も予想される時代です。現に昨年の農作物への影響も非常に大きいものでした。市の一番の仕事は市民の生命と財産を守ることです。いざという時に惜しみなく財を投入できるように準備することもこれからの自治体には求められることです。人々のくらしの安定が一番重要なことです。

 

それでも期待を込めて当初予算に賛成

これからも、より良い未来のために持続可能な市政運営に勤めていってもらいたいとお願いを申し上げ、当初予算に関しては、先ほども申し上げた通り、期待点を含めて賛成といたします。
これで討論を終わりにいたします。