羽生チャレンジファーム見てきました! |  みどり色の地球

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建設生活常任委員会で行政視察をしてきました。

いつもは3委員会合同で1泊で行っていた研修でしたが、コロナでずっと中止になっていました。視察再開は委員会ごとの日帰り視察でした(オンライン研修のところもあり)。

 

私たち建設常任委員会は「羽生チャレンジファーム」を見てきました。ここのコンサルが「アグリメディア」というところで、吉川市の農業パーク基本構想実現に向けて委託契約したコンサルと同じということで非常に興味津々でした。当日は羽生市の農政課の職員とチャレンジファーム参入業者の一社であるSEDIA「げんき農場」の方にお話を伺いました。

 

初めに、私の感想を

私は農業パークの話が出てきて以来、それがどんなものなのか知るために、宮代町や足立区都市農業パーク、あけぼの山農業公園(記事なし)をみてきました。

 

また、カゴメの富士見ファームも会派で視察しました。

広々とした牧歌的な空間に癒され、生物多様性のエリアがあったり、自然との共生に取り組んでいる様子を知って、こんな場所なら吉川市にもできたらいいなと思っていました。

 

今日視察したチャレンジファームは「農業」という「産業誘致」でした。高齢化と収益のあがらない農業の限界の中での取り組みとして、「持続可能な農業」という視点に立てば、行政の予算を最小限に、企業を誘致し、企業任せの農業も「あり」なのかもしれません。ビニールハウスが立ち並び、ハウスの土の上にはビニールシートが敷かれ「雑草知らず」、プランターは天井からぶら下がり、土壌とはかけ離れた野菜工場。温度管理・栄養管理のためにエネルギーをたくさん使い、旬とはかけ離れたオートマティックで安定した農作物の収穫。一部、観光農業にも使われ、地域の人に開かれたこういう農業は今求められるところなのかもしれません。

ハンギングタイプのプランター

しかし、「持続可能な土」「持続可能な農家」を目指す私とは方向が違うなぁというのが正直な感想です。私は「土」と「人」を守りたい。そのために有機農業や特別栽培などの技術を広げ、それをまずは公共食で支えて、農家をまもるという地域循環の方に力を入れたいのです。できることなら稲作を有機で継続することを追求したいのです。有機稲作はかなり技術的に確立されていることが先日のEXPOで分かりました。

 

先日、小川町で有機農業をけん引してきた霧里農場の金子美登さんの追悼集会ともいえる企画がありましたが、そこでも日本は「根のない国」「切り花国家である」と表現されていましたが、土の存在を忘れてはいけません。

今、農水省も有機農業に関して、持続可能な社会にむけて「避けて通れない道」といって、たくさんの予算を付けています。避けて通れない道なら、吉川でもなるべく早く「この道」を通る準備をしてもらいたいと思うのです。稲作の有機化はかなり実現的な選択肢だと思っています。こちらを参考に↓

長い歴史の中で田んぼという活用に適したこの町で、田んぼの畑化が地政学的にどうなのか懸念しています。それを言ったら宅地化もどうなのかということでもありますが。

 

羽生のチャレンジファームは県営水郷公園やキャッセ羽生に隣接していてロケーションが非常によく、農業という産業誘致はひとつの成功例ではあるのかもしれません。

ただ、24haの内、10haがまだ田んぼであることから(一部活用予定)、全エリアがすぐさま誘致できたわけではないということは一つ頭に入れておかなくてはならないかと思います。

 

吉川市は担い手農家(法人)が4つあり、そこが頑張ってくださっているおかげで、現在は耕作地が減っているわけではありません。ただ、法人さんも手いっぱいで、高齢化に伴い、これからは維持が難しいのは事実でしょう。三郷フルインター化、首都圏から25kmなど立地的条件はそろってはいます。

 

吉川市ではこれから、市とコンサルが協議をし進めていくという段階です。土地の確保のための地権者との交渉もこれからです。吉川美南駅東口の産業ゾーンの誘致の際、「工場見学できる企業」というコンセプトで進めたように、ここの農業パークも「地域循環共生型」とかがコンセプトになるといいなと思っています。

とにかく、「吉川市農業パーク構想」どうなるか注目の事業です。

 

羽生市農政課のお話

埼玉県が農業産出額の構成割や産出額ともに日本の縮図となっていて、野菜が半分くらい、2割お米、15%畜産、10%弱が花きになっています。羽生市は市の面積58.64平方㎞の約4割が農地で、その内の85%が水稲となっていて、産出額の半分がお米で、圧倒的に主力は稲作です

農業者は高齢化し、平均年齢70.5歳と国の平均の3~4歳上回ります。5年前は5歳若く、10年前は10年若い。つまり新規就農者がいなくて、人数は10年前から4割減(約1300人)になっています。

耕作地は住宅開発などで10年間で約150ha以上減少し、耕作放棄地が増加傾向。

人と土地の問題で持続可能性が懸念される中で、2018年(平成30年)「羽生市観光農園等基本構想」が策定されました。そこには農地の活用、未来のあり方、集積率を上げ、雇用機会の創出…など盛り込まれています。

それを具現化したものがチャレンジファームです。

 

場所

埼玉県立羽生水郷公園の隣。水郷公園には県立水族館もあり、11月には「世界キャラクターさみっと」が開催され30万人が訪れます。さらにお隣のキャッセ羽生は農産物産館、地ビール工房、農業体験施設などがある複合型の農林公園です。子連れやファミリーの憩いの場が周辺にあるという好立地条件です。

広さ

東京ドーム5個分の24haの計画地には所有者80名、153筆。 

 

水田の畑地化

水田は農地改良事業者に公共で出た盛土を使って天地替えして畑地化してもらい、貸出します。農地改良事業者は残土の排出先でお金をもらっているので、盛土は無料でできる形になっていて、地権者も事業者もお金出さないで済みます。

観光農園、スマート農業の実証、高収益作物など、農地保全や活用につなげること。参入企業や団体とは農地の売買はやらず、農地中間管理機構をつかった賃借とし、民間主体の事業展開を前提としています。農家は土地を手放す心配がありませんし、一方で土地を所有したくない事業者は水利費と若干の地代を負担することで利用できます。

 

チャレンジ3つの特徴は

①羽生市が地権者交渉に汗をかき、

②まとまった農地の提供に、事業者はすぐさま儲かる農業の展開が可能

③都心から高速で約1時間。消費地との近さが魅力

コンサルへの委託契約予算

基本構想策定から始まり、調査、講演会開催、土地利用調整、賑わい創出支援など5年間の業務をコンサル(アグリメディア)へ委託した費用のみです随意契約総額約250万円(業務に約150万円、成功報酬で約100万)。出来高制で、参入事業者の意向確認も面談ができないと支払われないという厳しい条件を飲んでもらいました。土地利用調整は24haで300万円の予算でしたが、実際は参入業者が決まった分の約180万円の支出になっています。

その他の委託料も羽生市にとっては非常に条件のよい契約だったのではないかと思います。

ここには職員の地権者への交渉などの人件費は含まれていません。

 

参入事業者

現在4社が活用していて、北側に企業がハウスを建設していて、南側10haにはまだ水田が残っています。
参入事業者には羽生市に子会社、農業法人など事業所を置いてもらっうことで、税収増も期待です。水田の課税はほとんどなく、畑地化してもそれは同様ですが、ハウスなどの資産による固定資産税が入ります。
今回は4社の内のげんき農場さんにお話を伺いました。


げんき農場(現地視察)
渡辺パイプという大手農業用資材メーカーさんが自社の最新の立派なハウス、システムを使ってイチゴを栽培しています。年に4回の策付け。ハウスには屋根や周辺、プランターの間など様々なカーテンがあって、空調の省エネ対策がされています。スマホでハウスの様子を見ることができて、扇風機をまわしたり、暖房をつけたりもスマホで遠隔操作できます。

 

キャッセ羽生、市内スーパーで収穫の4割を販売、6割はECサイトで販売だそうです。ノウハウとしてはトマトやベビーリーフも可能で、八街ではトマトを作っているそうです。

R4は強い農業づくり総合支援交付金が採択され50 aのハウスを奥に増設予定です。R5年には手前のハウスを観光農園として開園するそうです。 

げんき農場では農業スクールを始めていて、ハウス1棟当たり、就農者を募集し、育てあげていきます。独り立ちの際に自社のハウスを使ってもらえれば、企業としてもよい循環です。

キッチンカーも導入していて、収穫のはざまにキッチンカーで冷凍イチゴを使ったドリンクなどを販売しています。
栽培面積は現在は20a(10a×2棟)。

 

コロファーム 

市内のスーパーマーケットやレストランを経営している有力企業「ケンゾー」が経営。自社スーパーでの販売他、観光農園、6次化による加工品販売を行っています。R2キッチンカーの導入。スムージーや削りイチゴが人気。いちごジャムやバームクーヘン、イチゴ大福なども販売。今後イチゴ以外にもチャレンジ予定。

栽培面積は40a(20a×2)


タカミヤ 

大手建設足場メーカー。足場の技術を生かした農業用ハウスが特徴で、将来はハウスの営業につなげたいそうです。約80aのハウスは最新のオランダ型、さらに中では最新技術を使ってキュウリやミニトマトを生産。主にECサイト、キャッセ羽生、市内スーパーで販売しています。

 

ポタジュガーデン

日本有数のハーブの生産法人でハーブの他にイタリアン野菜を生産出荷しています。5.6haの他に井泉地区にも2.5ha圃場があり、市内で合わせて8ha強 の農場で生産を手掛けています。羽生の特産にまでなっています。

 

取組の経過

おまけ

羽生市議会議場 黄色い椅子が明るくていいです!

 

 

羽生防災ステーション

 

羽生防災ステーションには道の駅が隣接しています。駐車場にはトラックがたくさん止まって休憩していますが、道の駅は平日だったせいか寂しい感じでした。吉川市でも防災ステーションが作られる予定で、その周辺地域の利活用について地域の方々・防災・商工・観光関係の方々と協議会が立ち上がり、検討が始まろうとしています。