ハリケーンとガス
南の方ではハリケーンの影響がかなり深刻らしい。まるで津波に襲われたインドネシアのようだった。ニュースでみるとハリウッドの描くアメリカと大違い。少し気になったのは、インタビューで「家をなくしてしまった。」とか「家族が見当たらない。」とか、人によっては「家が助かったと思ったら根こそぎ中の物を盗まれた。」などと泣きながら訴えている住民はほとんど黒人で、白人はそれでも割ときちんとした身なりで、「いやあ、びっくりしたよ。」「明日から仕事に困るよ。」と結構余裕かましていることです。やはり、貧しい地区が一番被害を受けたんだろうなと思い、どうして辛いことや厳しいことは余裕のある人に起きず、起きたらしんどい人にばかり起きるんだろうとしみじみ考えてしまいました。
、、、とまあ、北国からそれこそ他人事のように、こんな助けにもならないようなことを偉そうに考えていたら、今日ハリケーンの影響でトロントのガソリンの値段がリッター$1から突然$1.20に飛び上がりました。「あ~、昨日満タンにしといて助かった。」などと、かなり自己中なことをまず考えてしまった。偉そうなこと考えていても自分に降りかかるとなると、$0.20でも一大事。北米の低所得者の待遇とか、社会システムとかいった思いは吹き飛びます。本当に身勝手なもんです。
それにしても私が免許を取得した遠い昔、ガソリンは長いこと1リッター$0.45前後でした。ところがここ5年であれよあれよと値がつりあがり、とうとう$1を超えてしまったんです。私の車を満タンにするのに倍かかるんです。これは車社会のカナダには大打撃。ここは他の大都市ほど公共の交通機関が発達していない+国が広い(つまり一箇所から一箇所への距離が大きく取ってある。)=車が絶対に必要。例えば知り合いのジェフ君は仕事に行くのに毎日100キロ走っています。それでも混んでなければ片道30分です。車が無かったら、、、そうですねえ、2時間かけて通えるかどうか。10回ぐらい乗り継ぎして。もっと田舎に住んでる人はどうするんでしょう。
ヨーロッパや日本に比べたらまだまだ安いガソリン。それでも大型の、ガソリンをがんがん消費する車がまだまだ多い北米ではぶっ倒れそうな値段です。これを機にディーゼル車やハイブリット車が売れるだろう、という言葉をここ5年のうちに何べんも聞きました。それでも毎年一番売れた車を発表するとミニバンだったり、トラックだったりする。ちっとも学んでないのか、楽天主義者の集団なのか、それとも頑固者達なのか。まあ、たぶん保守的な人が多いので、急な変化についていけないのでしょう。願わくば早くアトムの世界になって、ガソリンなんてものに頼らなくてもいい乗り物がびゅんびゅん宙を飛ぶようになり、石油の為にいらいらしたり、戦争したりしない世の中になってほしい。ああ、でもそんな世の中になっても、H2のような乗り物に乗リたい人ってのはいなくならないと思う。そうじゃなきゃ人間じゃない。
マハラジャの魅力
インドの話。
ウダイプールの街は美しいレイクパレスホテルで有名だけど、そのホテルの中を見たことのある市民はごく限られているはず。ボートでしかホテルには入れないし、その船着場にはもうホテルの係員がいて、「不審者は絶対入れないぞ!」とがんばっているから。市民は湖に浮かぶ白いパレスをごみごみした下町から眺めるのみ。このホテル、パレスというぐらいだから当然元々はウダイプールのマハラジャのお城。マハラジャさんが「今日はちょっと暑いな~。湖の上で寝たい。」と思ったらすぐ行けるように建てられている。よって、自分ち、つまりメインのパレスから目と鼻の先。ホテルのバルコニーから本家が思いっきり見える。
「湖の近くに家があるんだから、十分涼しいだろ!」と庶民の私は思うんだけど、違うらしい。おまけにこの人、別宅ひとつじゃ足りなくて近所に後二つか三つ建てている。
砂漠の暑さを耐えながら僅かな賃金の為に働いていた人達にとってはさぞ腹立たしかったでしょう。まあ、これも昔の話。今では市民も、観光地となった故郷のお城に来る金持ち外国人相手に商売して、中に入れなかろうと大して気にはしていない。
ところで、このマハラジャさんちの子孫はどうしているかというと、実は知り合いがマブダチでお互いお呼ばれしたりされたりしている。で、この子孫さん、今ロンドンにウン十億の家があり、アンティークショップもSotheby'sの近くにあり、気が向くと本家に帰ってきたり世界中にある別送に泊まったり。そんなことをしながらも、ホテルとして使わせてるパレスの権利金が毎年がっぽがっぽ入ってくるという、羨ま悔しい生活をしている。
日本でいえば戦国武将の子孫が街中にいくつもすごい地所を持ち、おまけに世界中にも家があって、そんなすごい金持ちだもんだから、地元で武将まんじゅうや戦国そばとか作っちゃって観光客とか見に来ちゃう。といった感じでしょうか。
人間自分よりもちょっと幸福な人は憎たらしいけど、あまりに桁外れだと逆に地元だっていうだけで嬉しくなっちゃうもんですよね。ウダイプールの市民にマハラジャさんのことを聞くと、「ものすごいビジネスマンだ!」「世界有数の金持ちだ!」「彼の先祖は優秀なマハラジャで、イギリス人に負けなかった。」と嬉しげに話してくれます。例え彼らの住んでる村がマハラジャの家より小さくてもそんなことはいいんです。何度も何度もおうちが砂嵐で埋もれそうになっても、綺麗なレイクパレスが月の明かりで光ってるのをみれば、疲れが吹き飛ぶんです。マハラジャの魅力って偉大なんです。
警備員の真実
Jさんはコンドミニアムの警備員さん。年齢は50前後で出身はラオス。最初はちょっとアクセントが強いおしゃべりなおじさんだと思っていただけ。でも親しくなった最近色々新しい発見があった。まず、彼は日本に留学していたことがり、日本語が少ししゃべれる。趣味はハンティングで、週末になると射撃の練習に励む。
戦争おたくで、十字軍から日本の戦国武将、ナポレオンや世界大戦など、名前や年号はおろか「これは知られてないけど」と前置きをして、「一体どこでそんなこと調べたんだ!」というような裏話を披露してくれる。
比較文化や心理学の勉強を大学でしてきたらしいが、警備員になる前は警察になろうと思っていた、、、が、英語が下手すぎてだめだったとか。
この人自分が警備してるコンドミニアムとは違うコンドミニアムに住んでいるのだが、部屋に銃や刀、そしていくつかの甲冑と鎖帷子飾って幸せに浸っている。銃撃ちに誘われているこのごろですがミステリアス過ぎてちょっと迷っています。
親知らず
じょうじが親知らずを抜いた。本当は4本まとめて抜くはずだったのに、週末の間に弱気になって手術前に先生に懇願。結局ひどい方の2本を抜いた。全身麻酔のせいか術後何度も何度も同じことを繰り返したり、異常にしゃべりまくったり、最後には看護婦さんに「術後説明が出来ないから黙りなさい。」と怒られた。
それにしても「日本では4本まとめて抜くなんて、そんな乱暴なことはしない」と母は言うが、15年以上前その母の付き添いで私はその乱暴な行為を強要された。やはり全身麻酔のせいか、記憶が所々抜け落ちてあんな恐ろしい思いをしたことはない。口からたらたらの流れる血よりも、2倍に膨れ上がった顔面よりも、顎から首にかけて医者の手のひらの形の内出血よりも、そう何よりも自分が何故気づいたら別の部屋にいたり、車に乗っているのか理解できないのが怖かった。
乱暴かどうかはともかく、カナダの歯科治療の技術は世界でもトップクラス。おまけにどの歯医者も以上にやさしい。らまるでサンタクロースのような慈悲の微笑みを浮かべ、こっちがどんだけ年をくっていようと小さな子供に接するように甘やかしてくれる。治療中退屈しないよう上からフラットスクリーンのテレビがあって、好きな番組を見せてくれる。おまけに歯のクリーニングにつかう磨き粉のようなものはストロベーリー、バブルガム、ヨーグルト、ミントと味が選べる。個人的な体験では、麻酔注射のとき看護婦さんが手を握ってくれていた!ここまでしてくれると、少々乱暴でもいいかということになるのかな。ちなみに私の歯医者は乱暴ではありません。乱暴どころか、治療中に死んだ犬のことで泣き出して、私が慰めてあげなくては治療再開出来ないくらい繊細な中年のおじさんです。唯一の欠点は私の見ているテレビのニュースについて必ず一言物申し、私にもコメントを求めることです。治療中ディスカッションは出来ません。
嵐
8月19日金曜日
トロントはひどい嵐。30年ぶりだそう。滝と化した道を呆然と眺める人々。そこを車で渡ろうとして失敗する車。あふれる下水。生まれて初めて見る景色でした。夕方探検に出たら太い木の枝が道のあちこちに落ちていて、その凄さを物語っていた。そして、あちこちに打ち捨てられた車、車、車。何故だ!この車のオーナーたちは雨の中わざわざ歩いて帰ったのでしょうか?嵐に屈して捨てられた車達。世話が面倒で捨てられたペットを思わせる。
ちなみに知り合いの会社は雨漏りで机もコンピューターも、そして当然書類もびしょぬれ。はんぱじゃない雨漏りだったって。それなのに、街の反対側にいた私はほとんど雨を見なかった。移動中にうまくよけて通ったみたいで、行く所はひどい有様なのに実際に体験できなかった。ちょっと存した気分。

