ダグラス・アダムス「さようなら、いままで魚をありがとう」 | アルバレスのブログ

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1984年発表。
文庫1冊、280ページ
読んだ期間:3日


[あらすじ]
アーサーが地球を旅立ってから8年。
宇宙船をヒッチハイクしながら降り立った星はどうみても消滅したはずの地球。
何でもヴォゴン人の宇宙船は出現してすぐに消えてしまい、それから半年ほど経ってるらしい。
とりあえず自分の家がある方に行こうとヒッチハイクしたところ、アーサーは運命の出会いを果たす。
その車に乗っていた(寝ていた)のはフェンチャーチと言う名の女性。
彼女に一目ぼれしたアーサーは、この地球がどうしてしまったのかもさることながら、彼女に再び会えないかと探し始める。

一方、フォードも地球に関する異変に気づいていた。
「銀河ヒッチハイク・ガイド」の改定の時期が近づき、地球の項目もなくなってしまうとガッカリしていたにも関わらず、項目削除が行われなかった。
これは地球が存続している事か?
これは行って確かめなくては!


本シリーズの4作目が本書。
タイトルの「さようなら、いままで魚をありがとう」と言う言葉は、1作目で地球が消滅する直前に逃げ出すイルカたちが人類に向けて送った言葉。
そして本書はアーサーの恋物語が中心のちょっとシリアス風味のお話になってます。
なので大半がアーサーと彼の思い人フェンチャーチの話で、少しフォードがからみ、さらに少しマーヴィンがからみ、もっと少しだけゼイフォードとトリリアンがからみます。
と言っても後ろの2人はフォードのセリフに出てくるだけで、どうやら一緒になって子供も出来たとか。
ちなみに本書のヒロイン、フェンチャーチは、1作目の「銀河ヒッチハイク・ガイド」の冒頭で、”世界を善にして幸福な場所にする方法を思いついた”瞬間に地球と共に吹っ飛んでしまったはずの女性。
こういう意外なつながりが本シリーズの面白さの一つです。


で、本書ですが、ハチャメチャぶりとSF色は抑え気味。
だから逆に読みやすい、理解しやすい話になってます
とは言え、変な話はそこそこ入ってます。

著者の実体験らしいクッキーをめぐるアーサーとあるビジネスマンの戦いとか、雨に好かれ行く先々で雨に降られる自分では全く気付いてない”雨の神”とか、内と外を逆作った家に住みたまに天使が訪れてくると言う”正気のウォンコ”とか。

あと、いくつか心に残る文章もありました。
「生き物は愛するものをしばしば傷つけるもの」とか、「お客さまに申し上げます。当機はロサンゼルス行き121便でございます。今日はロサンゼルスに行く予定がないというお客さまは、このチャンスにお降りくださいますようお願い申し上げます」とか。

しかし、一番素晴らしいのは、前作で暗示されていた”神が最後に残した言葉”が「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」だったところかな。

残念なのは超根暗ロボット、マーヴィンの昇天。
神の言葉を知って満足して機能停止したとはいえ、一抹の寂しさがあります。


そして本シリーズも残すところあと1冊。
これも一抹の寂しさが…