「ケンとメリーの旅、時代を超える」
誕生背景
日産スカイライン2000GT-R(KPGC110)は、1973年に登場した。この車は、1969年にデビューした初代スカイラインGT-R(PGC10)の後継として企画された。初代GT-Rが国内のモータースポーツで圧倒的な強さを見せたことで、日産はその高性能イメージを次世代にも受け継がせることを目指した。KPGC10型(2代目)の成功後、さらに進化した高性能モデルとしてKPGC110が開発された。
時代背景
1973年の日本は、高度経済成長期の終わりに差し掛かり、自動車産業は急速に発展していた。しかし、同年には第一次オイルショックが発生し、燃料の大幅な値上がりとエネルギー危機が社会を襲った。この時代の変化は、自動車メーカーにとって大きな試練となり、燃費の良い車や排出ガス規制に対応した車の開発が急務となった。スカイライン2000GT-Rは、この困難な時代背景の中で誕生した。
開発について
KPGC110型の開発は、先代モデルのレーシングテクノロジーをさらに発展させることに重点を置いて行われた。軽量化、エンジンの高性能化、空力性能の向上が主な開発テーマだった。特に、S20型エンジンの改良には多大な努力が注がれ、最大出力160馬力、最大トルク18㎏を実現。また、車体のデザインも空力を考慮して設計され、高速走行時の安定性が向上した。
車両の開発者について
KPGC110型GT-Rの開発チームは、日産の最も経験豊富なエンジニアとデザイナーから構成されていた。チームリーダーは、日産のモータースポーツ部門に深い関わりを持つ人物で、先代GT-Rの開発にも関わった経験を持つ。このチームは、GT-Rのレガシーを継承しつつ、新たな技術革新を目指してプロジェクトに取り組んだ。
車両の性能詳細
エンジン: S20型 2.0L 直列6気筒 DOHC
最大出力: 160馬力
最大トルク: 18㎏
トランスミッション: 5速マニュアル
駆動方式: 後輪駆動
サスペンション: 前後独立懸架
ブレーキ: 前後ディスクブレーキ
この高性能エンジンと軽量化されたボディ、そして空力性能の向上により、KPGC110型GT-Rはその時代において最高峰の走行性能を誇った。特に高速域での安定感と、鋭い加速力がドライバーから高く評価された。
日産スカイライン2000GT-R(KPGC110)'73は、自動車史上において特別な位置を占めるモデルである。その短い生産期間と限られた生産台数にも関わらず、日産の技術力とスポーツカーへの情熱を世界に示した。オイルショックという時代の逆風の中でも、性能とデザインの両面で妥協を許さなかったその精神は、今日の自動車開発にも引き継がれている。KPGC110型GT-Rは、単なる車以上の存在として、多くの人々に愛され続けている。