ゲーム後進国日本 -5ページ目

カプコンVSバランス


小野P謝罪、『スパ4AE』ユンヤン下方修正を発表
http://ceron.jp/url/blog.esuteru.com/archives/4206752.html
(アフィブログ注意。まともな情報元が見つからなかった)

最初にこの話を聞いた時は、事の大きさを理解していなかった。強キャラがいるから修正する。ただそれだけのことで、どこのゲームでもやってる普遍的な出来事だと思っていた。
だがよくよく調べてみれば恐ろしい全貌が見えてくる。なんとこのストリートファイター4というシリーズ、2008年に稼働開始してかれこれ3年もやっているのに、パッチによるバランス調整が一切行われていないというのだ。スパ4、AEといった新作(新作と言うのもおこがましい内容だが、他に適当な言葉が思いつかない)が出る度に全体的に修正されるだけで、実際のバランスやプレイヤーの意見などまったく反映されない。これには驚きだ。いや、自分が無知だっただけか。申し訳ない。何しろこういった対戦ツール、それも世界大会が催されるようなタイトルが、パッチによるバランス調整をしないなんて可能性を微塵にも考えていなかったからだ。そういえば昔サガットが強い強い言われていて、じゃあ何故修正されないんだ?と不思議に思っていたが、こういうことか。

例えば今最もホットな対戦型RTSであるStarcraft2。このゲームは全てのプレイヤーの全ての試合で事細かくデータが採られ、それを集計し、さらに多くのテスターやプロゲーマーの意見を聞き、調整の必要性が発生次第、修正パッチが配信される。ここまでやってもなお、ユーザーからはバランスが悪いと批判される部分もある。しかしそれは当然だ。完璧なバランスを目指すには過酷で長い道のりがある。それに対してスト4は制作側が勝手に決めたバランスで完成ということらしい。

上級プレイヤーというものは常に学び、挑戦し続ける。そんなユーザを相手に流動的なバランス調整無しで文句の付け所が無いものを作れるとでも思っているのだろうか。これだけの人気対戦ゲームを作った以上、メーカーはその人気が廃れるまでバランス調整に付き合うのが義務であり、しなければ信用問題に関わる。バランスの崩壊はバグと同じなのだから。

それにしてもなぜこの小野プロデューサーという人は謝罪しているのだろうか。パッチで修正してこなかった事ではなく、ユンヤンが強すぎるということを謝罪しているようだ。だが強キャラなんて存在して当たり前である。例えばスト3 3rdは稼働開始当初、非常に優れたバランスとして好評だった。だが時が経つにつれ上級ゲーマー達が究極を突き詰めていった結果、春麗ユンケンという3強が出来上がった。当然である。バランスというものはプレイヤーのレベルが上がるにつれ、わずかな振れ幅が看過できない大きな振れ幅となるのだ。その上スパ4AEのキャラクター数は39名。先ほどのStarcraft2が3種族でバランス調整に手間取っているのだから、こんなゲームで完璧なバランスなんて夢のまた夢である。そんな不可能なことをできませんでしたと謝罪するのは、ユーザをつけあがらせるだけだ。

とはいえカプコンとしては、完璧なバランスを取ることなんて不可能と分かりきっているし、興味も無いのだろう。それにパッチで調整するより新作を出して調整したほうが稼げるのだから。格ゲーユーザというのはなんでこんなバカバカしいゲームに夢中になれるのだろうか。

キャラクターの威を借る

なんとと言うかやはりと言うか、ロックマンDASH3開発中止。会議を通す目処となるはずだったプロローグ版ですら延期したまま日の目を浴びずといった形だ。カプコンに稲船がいない今、もうこの先ロックマンDASHシリーズの新作を見ることは無いだろう。


しかしカプコンのこの決定も仕方ない。確かに開発も決定していないものを発表し、ユーザー参加型という形でファンを抱え込んだ上での開発中止というのはフォローのしようがないのだが、このタイトルに開発リソースを割くのは是か非か?と問われると開発中止は妥当と言える。要は仮に発売してもまったく売れないだろう、ということ。


自分はこのシリーズの大ファンだが、このDASH3が発売してもほぼ確実に買わなかっただろう。理由は四つ。一つ、プラットフォームが3DSであること。このゲームのために買うほど魅力を感じられない。二つ、まったく進化が見られないこと。今更あんな前時代的な3Dアクションをやらされても困る。それも操作性の悪い携帯機で。三つ、DASH3開発室と称したユーザーの開発参加。ヒロインの投票から敵キャラのデザイン募集だの小ネタ募集だの、ユーザーに寄り添った姿勢が鬱陶しい。面白いゲームは制作者のエゴから生まれるものだ・


そして四つ目。主人公キャラクターの変更。


DASHシリーズの主人公といえばロック、ヒロインといえばロール。DASHシリーズどころかロックマンシリーズお決まりの配役だが、DASH3では主人公とヒロインを変更する予定だったのだ。それも全く毛色の違うキャラクターに。もちろんロック自体は登場するし、ロックを使う場面や後半はロックに交代ということもあっただろう。だが恐らくこれを見て多くのファンは落胆したに違いない。ロックマンDASHといえばロック&ロールというイメージがあまりにも根付いており、あわよくばこの二人で全編通してもらいたいというのが本音だろう。


先ほど「面白いゲームは制作者のエゴから生まれる」と言った。それはそのとおりで仮にこれを「皆さんの投票でロック続投か変更か決定します」なんて言い出したらそれこそ最悪だ。本当にDASH3が作りたいのかと正気を疑う。それに2のエンディングから繋げるには、たしかに無関係なキャラクターを挟むほうが良いとも思う。だがそれでもこの変更は大失敗だ。キャラクター変更による面白さを活かせるほど、ロックマンDASHは面白いゲームではないからだ。DASHシリーズのウリは何か?3Dで作りこまれた街?フリーランニング?残念ながらそれらはこの2011年においては何の価値も無いものだ。今ウリにできるものなんて、シリーズの世界観とキャラクターのみである。それも古参ファンに対してだけの。DASHの新作を作るとして一番ベストなのは、既存のキャラクターがワイワイ慣れ合うだけという、ギャルゲーのファンディスクのような毒にも薬にもならないゲームだろう。


日本のゲームはこういうキャラクターで売ってるゲームがあまりにも多すぎる。特に国内売り上げ10~50万本レベルのゲームは、どれもこれもキャラクターの魅力を抜けば何も残らないようなゲームばかりだ。キャラクター大国日本に対して、ゲーム後進国日本。流石に分が悪すぎるのだ。日本のゲーム業界はキャラクターにおんぶ抱っこされて生き延びているのが現状である。


だが制作側はそれを理解していない節がある。素直にキャラクターに特化して何も考えない白痴ユーザに媚びまくり下らない安牌ゲームを作りまくって市場を縮小させまくって自滅すればいいのに、ゲームメーカーはたまに人気キャラクターの更迭という愚行を行なう。例を挙げれば、逆転裁判4、MGS2、スト3、ゴエモン新世代襲名、DmC等々。これらのゲームの評価や新キャラクターのその後は散々たるものである。キャラクター一新で新規ファンの獲得や、重みのあるストーリーを構築したいという意欲は感じられる。だが自分たちに人気キャラクター抜きで人気ゲームを作る技量が無いということを自覚して欲しい。新しいことにチャレンジしたいなら、いつまでも人気タイトルにすがらずに新作でやってくれ。


逆に人気ゲームを作る技量は有り余っているのに、人気キャラクターがいないので人気ゲームが作れないのが、海外産ゲームだ。いやもちろん日本国内での話。海外産ゲームはこのところ大人気キャラクターが次々と出現しているしそれを大事にしている。しかし日本の場合、どうしても日本人向けの日本風キャラクターに敵わないのだ。まあ、そのおかげで日本のメーカはいつまでも中身空っぽのゲームを作り続けられる訳だが。


余談だが、たまにゲーム系ブログやネット掲示版などで、「WoWが日本に来れば他のMMOは終わる」とかみたいなことをのたまう馬鹿ユーザが存在する。WoWが日本で売れる?あるわけない。それはどこの日本だ。キャラクター依存症の日本のゲーム市場の中でさらに極端にキャラクター一辺倒のMMO市場において、あの確実に日本ユーザに受け付けないWoWのキャラデザインが受けるわけがない。

稲船の遺産

ロックマンDASHというシリーズがある。いや、あった。独特な世界観に魅力的なキャラクター、小気味良い演出、ユーザビリティなシステム周りと操作性。海外のゲームには無い、日本製ゲームの良さをふんだんに盛り込んだ名作。日本のゲームがまだ世界を圧巻していた時代の「大いなる遺産」である。


そんな名作シリーズだが、2000年発売の2を最後に続編の話はまったく無くなった。それは何故か。答えは簡単、売上だ。内容の良さや未だ語り継ぐファンの多さを考えるとあまり実感がわかないが、実はこのシリーズ全然売れてないのだ。第1作の鋼の冒険心が、64版、PSP版含めて20万本ちょっと。次回作のトロンにコブンはたったの3万5千本。正当続編の大いなる遺産も、PSP版含めてやっと10万本に達するという情けない数字だ。


そしてロックマンDASHを作ったカプコンは変わった。ガチガチの成果主義企業となり、ゲームの開発を経営陣主導で行なうようになった。要は面白さでなく売れるか売れないかでゲームを作るのだ。「どんな判断だ」「金をドブに捨てる気か」という名言が飛び出したカンブリア宮殿のカプコン特集を見ればわかるとおり、ゲームの開発に踏み切るには、社内で何重もの会議を経ることになる。そんな経営方針になった結果、バイオハザードの三上氏、デビルメイクライの神谷氏、そして件の稲船氏までカプコンを去っていった。


まあユーザーの我々にとっては全く関係無いし気にする必要もない話だ。ただこんな状態でロックマンDASHの続編が出るわけない、ということはわかる。しかし発表されたのだ。ロックマンDASH3が。


自分もファンの一人として、DASH3の発売には大喜びした。出来によってはこれ一本のために3DSを購入しようとも考えた。しかし残念なことに、このDASH3というゲームは、前述したカプコンの経営陣と開発陣の骨肉の争いの渦中に放りこまれたゲームだったのだ。


順を追って説明しよう。まず20010年9月、DASHシリーズプロデューサーの稲船氏によりDASH3発表。そして10月末、その稲船氏がカプコンを辞任。そして翌年2月、開発ブログにて「社内会議の結果、試作品の開発期間の延長をもらえた」とか言い出す。つまりどういうことかと言うと、DASH3はまだ開発できるかどうか決まってなかったのだ。なんであの成果主義のカプコンがDASHの続編の開発なんか踏み切ったのか不思議に思っていたら、単に稲船氏がゴリ押しして、経営陣に有無を言わせぬために公式発表してしまったのだ(この辺自分の想像だが)。しかし稲船氏という後ろ盾を無くしたDASH3開発陣はどうすることもできず、4月22日のブログにて「会議の結果、本編に先立ち発売されるプロローグ版の売上を見て、本制作承認の判断をする」というバカバカしい結果となった。プロローグ版とはすなわち、稲船氏がデッドライジング2でも行った「有料体験版」である。


ファンは今まで何年も続編を待ち続けた。それがこの結果である。「続編欲しけりゃ誠意を見せな」ということだ。単に宣伝のための言い回しだとしても、それはそれでタチが悪い。一度発表したものはちゃんとストレートに発売するべきだ。なぜ我々が企業内のゴタゴタに巻き込まれなければいけないのか?別に有料体験版が悪いとは言わない。デッドライジング2のそれは概ね高評価だ。価格も200円と非常に安い。だからといってこんな、ファンの気持ちをまさに弄ぶような行為ができるのだろうか。


さて、ここまで見るとロックマンDASH3開発陣が可哀想で、経営陣はクソくらえ、といった感じだが(まあ実際そうなのだが)、DASH3開発陣にも一言言いたいことがある。それはまた次回。というか今回、日本のゲームがどうとかいう話じゃなかったね。単なるカプコン批判記事でした。