はーとふる彼氏感想 奇作乙女ゲー | 司法書士のゲームブログ

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2月のフリープレイで配信されたタイトル。前情報を見ずに始めたのだが、このゲーム、まさかの女性向け恋愛シミュレーション(いわゆる乙女ゲー)、しかも攻略対象は全て鳥である。

 

 

まあ、勘のいいプレイヤーならタイトルの時点で乙女ゲーであることは察せられたかもしれない。しかし自分は何も知らずに始めたのでかなり面食らった。しかも最初に名前を聞かれたときバカ正直に自分の名前を入力してしまうという痛恨のミス。それに乙女ゲーであることには推測できても、攻略対象が全て鳥の恋愛シミュレーションなど誰が想像できるだろうか?ゲームを始めると女言葉で話す自分の名前の主人公と、徐々に親睦を深めていく個性豊かな鳥たち。カオスすぎる。

 

 

終盤のマメンタインイベントでは最も好感度の高い鳥に豆をプレゼントする。「バレンタイン」ではなく「マメンタイン」。鳥相手なのでチョコではなく豆なのだろう。というかイベントの発生日が節分……。

 

 

これを本当に乙女ゲーとして楽しむとしたら、鳥を必死で脳内変換してイケメンの姿に置き換える必要があるかもしれない。一応、プレイヤーが脳内変換しやすいように人間の立ち絵が表示される「擬人化モード」というのも存在し、こちらは普通にイケメンとして描かれている。といっても人間の立ち絵が表示されるのはキャラ紹介のときの一瞬だけで、残りの99.9%は上の画像のように鳥の立ち絵だけが表示される。あるいは、上級者ならそもそもこのモードすら不要なのかもしれない。

 

 

 

さすがに自分も乙女ゲーを遊んだことはない(あったらキモい)が、アドベンチャー自体は好きなジャンルである。話のネタに1回だけ遊んでみるか、と思い藤代嘆ルートをエンディングまで遊んでみたのだがこれが意外と面白い。どう見ても出オチとしか思えない外見だが、意外にも話はしっかりしている。何より(この雰囲気からは想像もつかないが)主人公の周囲を取り巻く少しダークな設定や伏線が見え隠れし、続きが気になる。

 

そこで他のルートも遊んでみたのだが、周回を重ねるごとに隠された設定が明らかになったり、別ルートの謎が他で繋がったりと、周回のモチベが沸きやすい作りになっている。まあ、それでもどのルートでも同じ展開が繰り返される場面も多く(特に序盤)、キャラに思い入れがあるわけでもないので5周、6周と遊ぶとさすがにだれてくるのだが、1周あたりのボリュームがそれほど長くないのでサクサク遊べる。

 

1周するのにかかる時間は長くてもせいぜい4~50分、2周目以降はオートモードを使うので30分もかからない。そうこうしている内に全キャラのエンディングを周回し終わり、気が付けばトロコンまで遊んでしまった

 

そして一定以上のエンディングを達成した時点で解禁される「BBLルート」、これが非常に内容が濃くて面白い。もはや乙女ゲーの「お」の字もないようなストーリーだが、これまで気になっていた設定やキャラクターの生い立ち、学園に隠された秘密など他ルートの伏線が一気に回収される。元値が1000円であることを考えれば密度もボリュームも十分あり、「鳩」と「ハート」を掛けただけの出オチゲーだと思っていたらいい意味で期待を裏切られた

 

 

 

少し無理やりな例えだが、本作の面白さはV字回復ならぬ√(ルート記号)回復を果たしたゲームだったと言える。最初は乙女ゲーなうえに相手が全て鳥という意味不明っぷりでどうにもクソゲーの予感が拭えず、非常にハードルが低い状態で始めたが、1周目を遊び終えた時点で「あれ、意外と中身はしっかりしてる?」と評価を改める。そこから周回を重ねるごとに徐々にだれていったが、最後のBBLルートに突入してからは目が離せないままクライマックスまで持っていかれた。ジャンルは乙女ゲーだが、その枠組みを超えた面白さを持つ作品だと思う。

 

まあ何だかんだと言っても乙女ゲーをトロコンまで遊んでしまった事実には変わりないのだが、そういった小恥ずかしさを忍んでも遊んでしまう魅力が本作にはあったということでもある。最初は「月額制のフリープレイで層が限られる乙女ゲーってどういうチョイスなんだ」と思いもしたが、もし入口の時点で拒絶反応が起きないのであれば1周だけでも遊んでみる価値はあると思う。もしそれで面白いと感じたら、ぜひ最後のBBLルートまで遊んでみてほしい。乙女ゲーといっても相手は鳥なので、遊んでいてそんなに辛くはない。ひょっとしてそれを見越しての鳥ゲーなのだろうか。

 

 

 

【欠点について】

 

予想に反して楽しめた本作だが、いくつか欠点がある。もちろん「相手が鳥なので乙女ゲーっぽくない」というのはそこが本作の肝であり持ち味でもあるので欠点だとは言わない(というか、遊んでいけば分かるがこの「攻略対象が鳥」というのもちゃんと意味のある設定である)。それより遥かに深刻な問題として、誤字・脱字があまりにも多すぎる

 

まず序盤の時点で「なんか誤字脱字が多いな」と気付くレベルなのだが、後半や隠しルートに進むとさらにこれが酷くなる。「字が違う」「/(スラッシュ)や_(アンダーバー)など関係ない記号が混じる」などミスの種類も多いが、中でも目立つのが「文節の頭の漢字抜け」。「遊んでみた」が「んでみた」、「中でも」が「でも」など漢字が抜けている文章が頻出する。ルートによっては冗談抜きで2~3回ボタンを押すごとにミスが出てくる。シリアスなシーンや大事な場面でこれが出てくるとガクッとなる。文章を読ませるゲームでこれは致命的。

 

意味不明な文章。文脈から考えると恐らく「そして貴様は躊躇無く肯定した」だろう。さらのこの後「それが?」「ましい」と続く(恐らく「羨ましい」の間違い)。唯我独尊な銀朔夜が主人公のことを認める非常に重要なシーンであるにも拘わらずこのミスは、脱力感がハンパない。

 

 

まあ、これぐらいならまだ頭を無理やり働かせればどうにかこうにか読めなくはない。しかしルートによってはこの漢字抜け以上に目立つミスがある。それは文章が改行されずに枠からはみ出るという現象。脱字と違って文章まるごと隠れるのでもはや元の文章を推測することすら難しい。

 

これぐらいならまだ想像可能か。文脈や岩峰の性格から考えて「そうでもありませんが」「そう不都合はありませんが」などの相手を突き放す台詞なのだと思われる。

 

 

ここまでくるともう解読不可能。しかも食料?を食と間違える脱字も同時に犯している。直前の文章も併せて考えると「登校前に買い出しに行ってこよう」的な内容の文章がくるのが自然か。もはや想像力のゲーム

 

 

文字のはみ出しだけでなく、このように文章が途中で途切れてしまうこともある。アンヘルの独特な語り口も相まって、何を言おうとしたのかさっぱり見当がつかない。いずれにせよ、文章のゲームでこの誤記率は大減点である。

 

 

 

もう1つ致命的な欠点としてバックログがない。アドベンチャーでバックログ機能がないなど前代未聞なので自分が見落としたのではないかと思ったが、どれだけ探してもそれらしい機能が見当たらない。周回を重ねるごとにオートモードを使う機会も増えてくるが、一見既読だと思ったシーンも実は既読でなかったということが割とあり、見逃してしまうと後から読み返すことができない。

 

その他、文章を読んでいて妙にレスポンスが悪いなと思ったのだが、しばらく遊んでいて合点がいった。普通はボタンを押したときに台詞が進むものだが、このゲームではボタンを離したときに台詞が進むので感覚的に一瞬遅れる。選択肢の直前で1ボタン余計に押さなければならない仕様といい、若干気になる。また、英語版である「Hatoful Boyfriend」を元にしているためか、×ボタンで決定、○ボタンでキャンセルというボタン配置が洋ゲーに慣れていないと戸惑う。まあこの辺は些細な問題というか、やっている内に慣れるレベル。

 

また欠点ではないが、上で少し述べたように若干暗めの展開というか、グロい描写が混じることがある。どれぐらいキツいと感じるかは人によるが、一応、元の絵が絵なので視覚的にキツいものを見せられるというわけではない。

 

 

 

【攻略メモ】

 

自分がどの順番でトロフィーを集めていったかのメモ。選択肢の大部分は1学期~夏休みの間に終わり、そこから先はそれまでに好感度を上げたキャラとの各イベントに分岐する。7月に七夕イベントが発生するが、ここで短冊に書いた願い事を見られる相手が現時点で好感度の高いキャラなのだと思われる。選択肢ごとの意味合いはっきりしており、難易度は高くない。

 

 

・ 1周目 藤代嘆エンド(夢の終わり)

・ 2周目 銀朔夜エンド(夜の荒野へ)

・ 3周目 七姫一明エンド(不確定未来論)

特に問題なくクリア。キャラに対応した選択肢が豊富に用意されているため、それを重点的に選ぶようにさえしていれば勝手にそのルートに進む。夏休みイベントで手に入る「ソウルに刻め!Love☆Blaster!」も1周目で獲得。ステータスは各キャラに対応していそうなもの(藤代嘆と七姫一明なら知力、銀朔夜ならセンス)を重点的に上げるようにした。

 

 

 

・ 4~5周目 岩峰舟エンド(くるりころころ)

ここで初失敗。途中で七姫ルートに逸れる。岩峰は他のキャラに比べて序盤の選択肢が少ないので好感度を上げづらい。初回は岩峰が嫌がりそうな選択肢をなるべく避けるようにしてしまったが、例え嫌がられても積極的に首を突っ込んでイベントを起こすようにしたほうが良いかもしれない。なんとなく相性がよさそうな知力を優先的に上げてしまったのも良くなかった。2回目は岩峰が登場しないイベントでは極力選択肢でバラバラの相手を選び、岩峰以外の好感度が分散するようにした。

 

 

 

・ 6周目 緋紅アンヘルエンド(緋紅アンヘルエンドに到達)

おこさんルートに進むため極力おこさん関連の選択肢を選ぶようにしていたところ、七夕イベントでこれまでになかった「我は願う、紅き天使の狂想歌を」という新たな選択肢が出現。岩峰エンドを迎える、もしくはひたすら体力を鍛え続けるのがフラグか。ともかくこの選択肢を選ぶことで隠れキャラの緋紅アンヘルが現れる。そこから先はほぼ緋紅イベント一色になるので好感度上げも十分間に合う。おこさんルートは跡形もなく消え去った

 

 

 

・ 7周目 尾呼散エンド(2011年プリンの旅)

今度こそおこさんルートを選択。今回は知力のみを鍛えたが「我は願う、紅き天使の狂想歌を」の選択肢があったのでやはり岩峰エンドが条件か。また、6周目の七夕はおこさんの短冊だけだったが、今回は七姫の短冊もあったため、やはり知力の上昇が七姫の好感度に結びついているのだと思う。最後に重要そうな選択肢が用意されていたので、予めセーブを取っておいたほうがよかったかもしれない。

 

 

 

・ 8周目 華原涼太エンド(限られた時間の中で)

恐らくメインの攻略対象なのでイベントも豊富でとても簡単。

 

 

 

・ 9周目 坂咲優夜エンド(先輩は二度死ぬ)

重要そうな選択肢が2回あったのでそれぞれセーブを取っておき「それは悲しいことだ」「最終決戦は回避された」のトロフィーも併せて獲得。「最終決戦は回避された」では隠れキャラとのルートに進めるのだが、ここでは文章のはみ出しが極めて高い頻度で起こる。隠しルートについてはデバッグが行われていないのかもしれない。

 

 

 

これで一通りキャラのEDは取得できたはずだが、未だに解放されていないトロフィーが4つほどある。そのため、ここで攻略情報を解禁した。

 

 

 

・ 10周目 銀朔夜エンド(何も知らない鳥の歌)

・ 11周目 尾呼散エンド(先生の次回作にご期待ください!)

・ 12周目 岩峰舟エンド(相思相愛)

・ 13周目 小柴アザミエンド(ソウルに刻め!文鳥道)

銀朔夜ルートの12/24の選択肢で「欠席する」を選択し「何も知らない鳥の歌」を取得。尾呼散ルートの9/3の選択肢で「プリンは滅びぬ!何でもるさ!」(恐らく「何度でも蘇るさ!」の誤字)を選択し「先生の次回作にご期待ください!」を取得。知力を高めた状態で岩峰舟ルートに進み「相思相愛」を取得。体力を高めた状態で「姐さんの必殺キックについてつっこむ」を選択し「ソウルに刻め!文鳥道」を取得。

 

 

 

・ 14周目 BBLエンド(僕はここで、待ってる。)

最後にとっておいたルート。ゲーム開始直後の選択肢で「約束を果たす」を選択。エンディング後にエピローグも見られたので「明け方に」のトロフィーも同時に取得し、トロフィーコンプリート。