AKIBA'S BEAT(アキバズビート)感想 ひたすら単調だが嫌いじゃない | 司法書士のゲームブログ

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12月のフリープレイで配信されたタイトル。欠点を挙げるとキリがなく、良作だったとは口が裂けても言えない。開始直後からジャンプの挙動がおかしくギョッとさせられるのだが、そんな些末な問題点はゲームを始めればすぐにどうでもよくなる。

 

 

 

 

とりあえずゲームの根幹をなす部分において、致命的にまずいと思った点を述べる。まずダンジョン攻略が単調でつまらない。このゲームには「秋葉原」と「妄想宮」という2種類のマップがあり、戦闘は基本的に妄想宮でのみ行われる。つまりこの妄想宮が他のRPGでいうところの「ダンジョン」に当たるのだが、これが非常に直線的かつ簡素な造りになっていて、探索の楽しさというものが全くない。最初からマップも持っているので、フロアに入ったらボタンを押してマップを確認し、出口まで一直線に向かうだけである。

 

例えばこのように、ダンジョン内部は非常に直線的な構造になっている

 

 

 

さすがにこれではゲームにならないと判断したのか、中盤以降の妄想宮ではスイッチのようなギミックが追加される。が、このスイッチが本作のダンジョン攻略を駄目にしている最大の要因で、ひたすらに面倒くさい。東のシャッターを開けるために西のスイッチを押し、シャッターが開いた先で東のスイッチを押し、すると今度は西のシャッターが開き……みたいな行ったり来たりを延々とさせられ続ける。しかも後半になるほどこの傾向が酷くなる。

 

このゲームのクリアトロフィー(1回クリアするだけ、トゥルーエンドではない)の取得率は2018年2月時点でわずか4%。ただクリアするだけで、やり込み勢の上位4%に入ってしまうのである。決して難しいゲームではないのに、あの死にゲー「Bloodborne」よりトロフィー取得率が低い。フリプでインストールしただけの層もいるはずなので単純比較はできないが、このダンジョン攻略のつまらなさが途中で投げ出すプレイヤーを大量に生み出した原因の1つなのは間違いない。

 

しかもストーリー中は過去に攻略したダンジョンに何度も潜らされる。この手のシンボルエンカウントではレベル差が大きくなった時点で敵のほうが逃げ出したり、触れただけで戦闘が終了したりしてテンポが悪くならないようにするものだが、このゲームにはそれがなく、最初のダンジョンに出てくるひ弱な敵も勇猛果敢に立ち向かってくる。もちろんもらえる経験値は雀の涙なので、戦う意味はほぼない。本作をクリアするまでにかかった時間は他のRPGに比べても少なくないが、あまりボリュームがあるように感じないのはこの水増しされたダンジョン攻略で内容が薄められているせいだろう。

 

 

 

ダンジョンは単調だが、戦闘もそれに輪をかけて単調。いわゆるテイルズ風の戦闘だが、戦略性がなく、基本的にボタンを連打していくだけ。ガードやジャンプといった要素もあるのだが、攻撃からガードへの移行が遅く敵の攻撃に間に合わないことが多々ある。そしてジャンプもなぜか1ボタンで出せず、ガード中に×ボタンという仕様。ガードの出が遅いのでこちらも使いにくい。結果、戦闘はとにかくボタン連打でごり押し、ジャンプしたいならエアリアルスキルでということになる。

 

全体的に挙動はもっさり気味だが、それに加えて連携が途切れたときの長めの硬直が入ったり、吹っ飛ばされたときに受け身がとれなかったりしてテンポが悪い。ザコの種類も少なく、全10種しかいない。あとは迷宮ごとに色違いが存在するだけで、どの迷宮に行っても同じ敵が出てくる。そのためどの迷宮でも戦い方は変わらず単調さに拍車をかけているなど、戦闘に関しては問題山積み。

 

 

 

ダンジョンや戦闘が駄目ならシナリオはどうか。やっぱり単調である。妄想が現実になる世界、ループする日常、無気力ニートだが肝心な場面ではイケイケな主人公、普段は勝気なのに手を握っただけで顔を真っ赤にするヒロイン、非人間のマスコットキャラクターなどどこかで見たような要素がズラッと並ぶ。とはいえ、テンプレ設定自体は別にいい。見慣れた人間にとってはコテコテのテンプレでも、そうでない人間にとってはバリバリの王道になることもある。タイトル的にもこのゲームを定価で買う層が何を求めているかを考えれば、この路線は外していない。

 

問題は、キャラクター同士の掛け合いが淡々としていて印象に残らないことにある。部分部分でみれば名シーンと言えるような場面もある(特に自警団関連)のだが、それまでの積み重ねが足りないので唐突に映るし、描写不足なせいで感動のシーンがあっさり流されているように感じる。構成というより見せ方の問題だろう。

 

脚本も上手くなく、いちいち勿体ぶった言い方をするせいでテンポが悪い。しかも勿体ぶってハードルを上げる割には大したことのない内容だったりすることも多く、「なぜそこですぐに説明しない?」「それってつまりどういう事?」と思わずにゲームを進められることは恐らくない。

 

そもそも物語の軸となっている「妄想」の設定からして、妄想宮は人の目に見えないのに妄想宮の中のものは見えたり、妄想主を倒しても記憶を失ったり失わなかったりなどご都合主義全開の代物。いちいち整合性を考えているとキリがないので、その場のノリと勢いだけで読んだほうが精神衛生的にはよい。

 

 

 

クエストも恐ろしいほどに単調。全てのクエストが「○○を何体倒せ」というハント系で、それ以外のバリエーションは一切ない。確かにRPGの「クエスト」というのは得てして作業になりがちなものだが、それでも前後にストーリーを織り交ぜたり特殊イベントを発生させたりして作業感を減らすのがゲームというものである。しかし本作では前後のストーリーも特殊イベントも一切ない。そもそもクエストを発注するのが全て同一人物であり、クエストの内容も文字で簡単に説明されるだけ。作業ゲーであることを一切隠そうとすらしない。

 

そしてサブイベントまでもが単調である。ごく一部のイベントを除いてダンジョンには潜らないので、「次は○○に行け」と言われたらその場所に行ってイベントを発生、というのをひたすら繰り返す。しかも次の目的地はマップにマーキングされているので、マップを開いたら目的地にワープするだけ。清々しいほどのお使いイベントだが、これを全部こなさないとトゥルーエンドは拝めない。

 

終盤はダンジョンに潜るサブイベントも出てくるが、そもそもダンジョンと戦闘も単調なので面倒なことには変わりなく、むしろ手間が増えただけ。全てを根本から作り直さないとこの単調さは覆すことができず、つまりどうしようもない。ついでに言うとBGMも単調で、街を歩いていると眠くなる。

 

 

 

と、ここまで散々に酷評してきたが何だかんだで最後までプレイできた。上記の問題点のほとんどはゲームを始めてすぐの段階で気付いていたにも拘わらず、である。まあ自分は「後々面白さが分かってくるかもしれないし、とりあえず続けてみよう」と思ってしまう性質なので、フリプでも一通りは遊んでみることが多いのだが、それでもプレイ時間は80時間を超えている。本当に超絶クソゲーならこんなに続かないだろう。最後までクリアできずに投げ出したフリプもいくつかあるので、アキバズビートにはそれらに勝る何か美点があったということになる。それは何か。

 

まず難易度が高くないこと。フリプを途中で投げ出す原因のほとんどは難易度の高さによる挫折だが、このゲームはいつでも(ダンジョン内でも)難易度をイージーに下げられる。どのみち連打ゲーなのでノーマルでもイージーでもやる事は変わらず、難易度を下げるデメリットは全くない。難易度変更など許さないストイックなゲームもいいが、フリプをやるときは「無料だしちょっとやってみるか」程度の軽いノリで遊ぶことが多いので、これぐらいの負担度のほうがサクサク進めてストレスがない。

 

これで難易度がガチだったら、ダンジョンの単調さと相まってすぐに投げ出していただろう。プレイヤーが常にハラハラするような冒険やヒリつくような緊張感を求めているとは限らず、ゆるゆるダラダラ遊べるゲームを求めることもある。最近はゼルダの伝説BoWをはじめ濃厚なゲームをたて続けに遊んでいたこともあり、全くタイプの違う新作を1つ遊んでみたい気分だったのかもしれない。同じPS4でモンハンワールドを買っていながら、こっちを優先して遊んでいたのも多分それが理由だろう。

 

戦闘は確かに単調だが、エフェクトはけっこう派手で爽快感がある。見た目が派手なお陰で戦闘の作業感も幾分かは軽減されている。普段のBGMは退屈だが、イマジンモードに突入したときのボーカル曲はさすが目玉システムに据えているだけの事はあり、良曲も多い。ボタン連打でもクリアできるバランスだが、スキルを組み替えてダメージを増やしたりエアリアルコンボを繋いだり、色々工夫して楽しめないこともない。ただ、戦略性のあるバトルを楽しむにはAIが不完全すぎて味方が思うように動いてくれないのだが。

 

キャラも立ち絵に関しては普通に可愛く描かれている。ここを軽視しかなぐり捨てたようなゲームも多い(特に海外)が、ゲームを続けるうえではやっぱりモチベに影響する。ただし性格に関しては癖が強く良心的なのはりっぴょんぐらいしかいないので好みが分かれる。正直自分は苦手なタイプなのだが、80時間も遊べばさすがにどのキャラも多少は愛着が沸く。ここが早々に受け入れられればストーリーも楽しめて、評価も上がるのではないかと思う。

 

最初から主人公に友好的な態度で接し、ストーリー上での失態も少ない唯一の良心

 

 

 

また、そこまで到達できる人間が何人いるかはともかくやり込み要素もそれなりに充実している。裏ダンジョン、隠しキャラ、闘技場、収集要素など。収集要素はトレーディングカードという秋葉原らしさを残しつつ攻略にも役立つアイテムになっており、集めがいがある。また、余った所持金を注ぎ込んでお気に入りキャラをどんどん強化していくという、RPGのツボを押さえた要素もある。ただこのトレーディングカード、引くたびに長めの演出が入り、装備するときもソートや絞り込みができず、いちいち切り替えるのが面倒だったりと快適性を損ねる仕様になっているのが惜しい。

 

ちなみにタイトルの通りダンジョン以外のマップは秋葉原しかないのだが、これの再現度はなかなかに高い。テクスチャは安っぽく人々はシルエットのみ、しかもほとんどの建物は入れないので「秋葉原シミュレーター」と呼べるほどのクオリティではない(その割にはマップが細かく区切られており移動の度に読み込みが入る)のだが、店の配置まで細かく再現されており、秋葉原の街並みを知っていれば「そういえばここにはこんな店があったなあ」と楽しみながら探索できる。

 

拠点マップは秋葉原の街並みがパロディ的に再現されている

 

 

ダンジョンマップも構造は直線的で単調だが、雰囲気は悪くない

 

 

 

以上、クソゲーと言われればその評価に何ら異論はないのだが、その一言だけで断じるには勿体ないと思える要素も持っていたのではないかと思う。少なくとも、理不尽なバランスや進行不能のバグでまともに遊べないというレベルではなく、最低限ゲームとして遊べるつくりにはなっている。フリープレイは普段遊ばないタイプのゲームを遊べるのが最大の利点であり、自分の感性では絶対に買わないであろうゲームに触れることができたのは良かった。

 

 

 

 

【攻略メモ】

 

攻略といっても、上で述べた通り難しいと感じたら難易度を下げてしまえば済む話なので行き詰まることは少ない。ただ、多少工夫を凝らすことによってもう少しゲームを快適に進めることはできる。

 

 

 

■味方の作戦を「集中攻撃」に

細かい指示が出せずあまり役に立たない作戦AIだが、最低でも「ターゲット」の項目だけは「集中攻撃」にしておくのがおすすめ。ボス戦以外は基本的に多対多であり、敵からのダメージを減らすためにも各個撃破できる集中攻撃命令が使いやすい。

 

 

 

■戦いやすいスキル配置を考える

スキルのコマンド(ニュートラル・上・左右・下)は自由にカスタマイズできる。直感的に戦いやすくするため上方向にエアリアルスキル、左右方向に全方位攻撃スキルをセットするのがおすすめ。特に、ザコ戦では複数の敵に囲まれることが多いので、メインで使うキャラには全方位攻撃を1つセットしておきたい。全方位攻撃は下方向でもいいのだが、終盤使うEXコンボスキルを左右に設定すると、ニュートラルが化けて誤爆しやすい。そのため全方位攻撃は左右にセットがおすすめ。

 

 

 

■ザコ戦でイマジンゲージを溜め、ボス戦でイマジンフィールドを発動

ボスは体力が多いので戦闘が長引きやすい。さっさとケリをつけるためにもボス戦ではイマジンフィールドを使って一気に体力を奪うのがおすすめ。そのためにも道中のザコ戦では計画的にイマジンゲージを溜める必要がある。といってもゲージは溜まりやすく、普通に戦闘をこなしていればボスに辿り着くまでにゲージはMAXになる。イマジンフィールドはサビで攻撃倍率が跳ね上がるので、ここでSPを全投入してスキル連打がおすすめ。ただし同じスキルを連続で使っていると威力が減衰していくので、複数のスキルを織り交ぜていくのがよい。

 

 

 

■パフューム、エスケープキーを常に持ち歩く

パフュームは敵に気付かれなくなり、エスケープキーは迷宮から脱出できるアイテム。どちらも店買いでき、値段も高くないので多めに携帯しておくのがおすすめ。後半は一度クリアしたダンジョンに再び潜る機会が増えるが、経験値的な効率が悪く戦闘に入るのは時間の無駄。パフュームを使えば全てのザコ敵をスルーできる。経験値は貰えないが、節約した時間を使って闘技場で戦えば1発で取り戻せる。エスケープキーは終盤のサブイベントで必須。