オンラインカジノ運営業者を逮捕 全国初…国内運営と判断
http://www.sankei.com/west/news/160610/wst1606100039-n1.html
オンラインカジノについて「胴元」の逮捕事案がはじめて出た。
過去ブログでも書いたとおり,海外にサーバーがあるオンラインカジノについては,胴元を日本の刑法で処罰できないのが原則である。
本件業者も,報道ではキュラソーでの合法的なライセンスを取得しているようだが,当局は,実質的には日本人が日本国内で胴元をしているのと同様である,という判断をしたのであろう。
逮捕者は「事実と異なる」と容疑を否認しているようである。
当局がいかなる証拠をもって実質的な運営が国内であると判断したのは報道を見る限りは分からない。
「サポートが日本語しかなかった」ということが報道であげられていたが,さすがにこの事実だけをもって形式が覆るとは思えない。
他にも多くの証拠があるはずで,その立証構造は専門家として非常に気になる。
容疑者からすると,海外での合法的なライセンスを取得しているという形式は,相当程度しん酌されるのが原則だ。
賭博罪は風紀罪であり,違法性の程度には公然性が影響する。
海外でのライセンス取得という”形式”は違法性の程度にも影響を与えるはずである。
ただ,海外法を利用しての”形式具備”は最近のパナマ文書の問題と共通するところもあり,丁度昨今批判の対象にもなっているところだ。
まさか京都府警はそこまで計算に入れたのだろうかw
いずれにせよ,容疑者はさしあたり否認しているようであるし,賭博罪を専門とする弁護士としても,弁護材料となる要素は多数ある事件に思える。
事件の推移に注目したい。