朝日新聞にインタビュー記事が掲載 | 麻雀プロ弁護士津田岳宏のブログ

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麻雀の話とか法律の話とか

先週の金曜日,朝日新聞に私のインタビュー記事を載せていただいた。

 

 

賭博罪の撤廃をという,私が以前から主張している話をまとめた内容であるが,これだけ大きなメディアに大きく取り上げられたのははじめてなので,反響も大きかった。

ツイートをいくつか紹介する。

 

 

朝日新聞に出てきた京大卒の弁護士にしてプロ雀士の津田岳宏氏の発言が面白かった。「パチンコ店と自衛隊ってよく似ていると思うんですよ。パチンコは賭博じゃないという建前は、自衛隊は軍隊じゃないという理屈とそっくりじゃないですか」

— soyuki@日光 (@soyuki10) 2016年5月20日

 

賭博罪の存在についてもっとも問題なのは,現実の状況と矛盾しているということだ。

現実と矛盾している法律の放置は国民の混乱を招くのであり,明確性の観点からも非常に問題がある。

臭い物には蓋をしてなかったことにする,というのは日本人の悪い欠点だ。

今の日本で賭博が盛況なのはまごうことなき事実である。その現実から目を逸らさずに法律のあり方を考えるというのは,賭博の問題に限らず,日本の政治や社会を成熟させていくことにつながると私は考えている。

この点に関連し「パチンコ店と自衛隊は似ている」と説明したのだが,これは分かりやすいと評判だった。

 

 

 

『自由民権運動には、ばくちを生業にする博徒が多く加わっていました。そこで政府は、1884年に「賭博犯処分規則」を制定します。(中略)運動に加わっている博徒を厳しく取り締まることで、みせしめにしようとしたんです。』by 津田岳宏インタビュー(朝日新聞5月20日朝刊)

— トムトム1124 (@1124tomtom) 2016年5月20日

 

日本における賭博は古来より禁止の対象であったが,今の日本で賭博は大悪だという考えが持たれていることには「賭博犯処分規則」が関連している。

法律と民意の関係には,鶏が先か卵が先かといえる部分もある。法律は民意に基づき制定されるものであるが,法律の存在によって民意の如何が影響される部分も大きい。

自由民権運動は,明治新政府の悩みのタネだった。反政府運動は抑えたいが,封建社会からの解放を大義名分にしていた明治新政府が,議会の設立等の民主主義を掲げた運動を弾圧するのは自己矛盾してしまう。困った政府が目をつけたのが自由民権運動に博徒が深く関わっていたことだった。

博徒を捕まえ,必要以上に重く処罰して見せしめにして,運動を弱めようとしたのだ。そのためにつくられた「賭博犯処分規則」はあまりにも非人道的な法律だったので,制定からわずか5年,大日本憲法制定と同時に撤廃されることになる。

しかし「賭博犯処分規則」のインパクトは強烈で,以降現在に至るまで,賭博は大悪だというイメージは民の間で持ち続けられている。

この話は,色々なところで書いたり話したりしているが,はじめて聞く人にはおおむね評判が良い。

 

 

 

 

津田岳宏氏はまだ若く社会の隅々まで知らない。「賭博解禁」の言い分は社会の裏を知らない青二才の考える事だ。この様な人間が弁護士として存在する社会の方がおかしい。賭博は多くの害があっても一理の利も無いこれ程社会は狂っている

— 飯綱三郎 (@hutagoza614) 2016年5月20日

 

賭博罪を撤廃せよ,などという主張が大きく取り上げたのであるから,当然反対意見も多い。というか,やはり数で言うと反対意見の方がかなり多いのかもしれない。

ただいつも思うのが,この手のものへの反対意見は一刀両断過ぎるというか・・何というか・・

「青二才」「弁護士として存在する社会の方がおかしい」「社会は狂っている」

単なる意見を言っただけで,これだけの感情の爆発を受けるのって逆にすごいなw

ただこのような,反対というよりは“拒絶反応”というべき反応をする人が世間に多いのは事実であり,道の遠さを痛感せざるを得ない。

 

 


賭博に関する法律の改正。

それは困難なことではあるが,私はそれがこの国にとって大きなプラスになることだと信じている。

今回は何しろ大きく取り上げられたことが有難かった。

強い反対意見も多いことが明らかな私の主張を取り上げてくれた朝日新聞と担当記者の英断には改めて深い感謝の意を表したい。

これからもチャンスがあれば,この曖昧きわまる法律の問題点を色々なところで話したい。

反対を受けるのは承知,まずは問題点と主張の存在を広く認識してもらわないと何もはじまらない。

皆さま,オファーお待ちしております m(_ _)m