グレン グールド:ベートーヴェン ピアノソナタ32番 第二楽章(アリエッタ,アダージョ)

         (1分後には、グールドの写真が現れてきます。)

この二楽章には、次のような書き込みがあります。アリエッタ、アダージョ、モルトセンプリーチェ、カンタービレ。 アリエッタとは、オペラのアリア(歌)からくるもので、小さなアリアということでしょう。。心を込めて歌うように演奏してほしいということですね。

 

そして基本は、アダージョですが、変奏曲ですので、速度は徐々に速まって行きます。すべて聴いてもらえればわかると思うのですが、わずかに「熱情」の」第二楽章を思い起こさせる部分もあるのですが、このような進み行きの音楽、ベートーヴェンはもとより他の作曲からも聴いたことは、ないですよね。

 

最終ピアノソナタの最終楽章。これが、ベートーヴェンが到達した境地なのでしょうか?

例えば、5:00後、ややテンポを速めてちょっとユーモラスな変奏が始まりますよね。その時私の頭の中には次のようなイメージが沸き上がりました。垂れ下がった柳の枝に一匹のカエルが一心不乱に飛びつこうとしている。それをじっと眺めているのが傘を差した平安時代の書家小野東風。

 

懸命にアリエッタ変奏を弾くグールド    柳に飛びつこうとするカエルを眺める小野道風

1970年、大阪万博の際初めてソヴィエトの天才ピアニスト、スヴャトスラフ リヒテルが来日して、TVカメラは、新幹線乗車を本当に喜んでいる2m近い巨人を映し出していました。おそらくNHKの要請でしょう、彼は気軽に快くこの32番のピアノソナタを演奏を承諾してくれました。

 

私は、その時のTVに映し出されたリヒテルを忘れることはできません。このグールドよりもフォルテを強調した驚くべき演奏でしたね。それ以来このアリエッタの変奏の旋律は、四六時中ではありませんが私の頭を離れません。

 

確かに、ベートーヴェンの悲愴~熱情ラインは素晴らしいのですが、私にとって最後のピアノソナタは、絶対外せませんね。特に二楽章。 更に、ハンマークラーヴィアと呼ばれている29番、30番、31番も同じことです。

 

ケンプが弾くピアノソナタ32番の2楽章も聴かれる方は、上の動画の音を切ってから、下記の写真の入った部分をクリックしてください。