感想など

以前見たジャン・リュック・ゴダール監督の「気狂いピエロ」という映画中でフラー(登場人物)という映画監督が映画「大砂塵」激賛し、「映画とは戦場のようなもの、愛・憎しみ・・アクション・暴力・死・つまり感動」と言わせていました。そんな1954年ニコライ・レイという監督が作った「大砂塵」と言う映画は見たくて探していたのですがなかなか見るチャンスがなかった。このたびBSプレミアムで放映されたので見ることにした。

 

昔から聞いていたペギー・リー歌う主題歌でヒット曲ジャニー・ギター」は馴染んで聞いていたが、内容はまさにフラー氏(ゴダール監督の言葉だろう)の言葉通り「映画とは戦場のようなもの、愛・憎しみ・・アクション・暴力・死・つまり感動」の作品でした。ストーリーは西部劇であり荒唐無稽な面もありますが人間のエゴイズムと闘争心むき出しの中に潜んでいるロマンチズムとダンディズムがチラリのぞかせていてカッコよさが目につきました。

 

この映画の最大の見せどころは、ジョーン・クロフォードの酒場主人と酒場主人を心から憎んでいるマーゼスマッケンブリッジ演じるエマによる女同士の決闘場面であろう。映画は出だしからクロフォードの男勝りで姉御肌の態度に度肝を抜かれる。砂嵐で視界が遮られ右往左往する自然環境の過酷さと建物の中の静寂さ、そのに荒々しい男たちの登場で緊張て映画は進行する。

 

そんな中にギターを背負った渡り鳥スターリング・ヘイドン演じるジョニー・ギターがカッコよく登場。「拳銃は持っていない。ギターで勝負しよう」とギターを奏でるシーンには正義の味方を思わせるのだが、どっこいジョニーもなかなかの食わせ者である。実は早打ちの拳銃名手なのである。後では縛り首の綱を命中させて切ることができるほどの腕前。

 

内容の中で、酒場主人は銀山採掘の四人組ダンシング・キッド一味と組んで鉄道誘致と駅の設置で土地を買い占めていため従来からの大勢の住民(農業・牧畜)達から嫌われ反感を持たれていた。そんな中、キッド一味が銀行強盗を行ったため、エマ達大勢の町民は、酒場主人もグルだと判断し、みんな捕まえて縛り首にしようと追いかけることになる。

 

大砂塵の時は、荒れ狂うが静寂の時の町の山野は自然豊かで美しい場所だ。そんな自然豊かな場所で大勢の住民たちが騎馬隊で脱兎のごとく追いかける場面は、戦場であり、アクション・死に満ちている。実はジョニーと酒場主人は、5年前は恋人同士だった。強盗一味のキッドと酒場主人も5年間は相思相愛で協力していた経緯がある。

 

ギャング一味の一人の裏切りやエマのキッドへの思慕などがいろいろとからんでいて、追い詰められた酒場主人とエマは決闘することで決着付けようとした。決闘は酒場主人によってエマは撃たれ死ぬ。しかし、ジョニーも酒場主人も町民たちの手によって捕らえられるという結末は悲劇だがジョニーと酒場主人は愛を確認して終わるというもの。

 

「気狂いピエロ」「勝手にしやがれ」のジャン=リュック・ゴダール監督やエリック・ロメール監督は「大砂塵」シーンや題名をたびたび引用している。また、日本でも小林旭主演「渡り鳥シリーズ」は「大砂塵」のジョニーの影響下につくられたともいわれている。この映画に特に感動した訳ではないが、たしかに手に汗を握り、飽きもせず、楽しむことができたのは間違いない。

 

「気狂いピエロ」の記事

主題歌「ジャニーギター」ペギー・リー

        

 

        

 

画像

  

タイトル                  ジャ二―が酒場へ

 

酒場の主人                 対立するエマ

  

ギターで勝負と弾く             5年前を話す二人

  

縛り首にされそうになる          キッドの隠れ家に逃げた

  

エマと決闘になる              銃を捨てる二人