その作品は殆どが水彩画であるが、驚くべき共通点はどの絵もつい最近描きあげた絵のように、みずみずしく新鮮な色彩を保っていることであった。それらの絵は最低でも90年以上は経過しているのにもかかわらず・・・
笠木は猟師、農夫、漁師、機織り女など働く人々を好んで描いたが、どれも働く人の尊厳や、家族への愛情が滲みでる誇り高い作品ばかりであった。
しかもそれらの人物の手の指、足のくるぶしや筋肉の描写が的確なため、生身の人間の活動が自然に伝わってくる。後方の背景は、青味がかり靄にかすむ様にうっすらと描かれている。
当時の欧州絵画に観られる空気遠近法をどこかで習得したものと思われる。着ている服装は質素なものであるが、着古した綿の風合いまでがリアルに描かれている。
男性のモデルは不明だが、当時の男の面構えがいい。
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