出口雄樹(イデグチユウキ)さんの個展が、6月12日から19日まで、横須賀かさぎ画廊で開催されます。
私が出口さんに初めて会ったのは、三菱商事主催の若手アーティストを応援する”アートゲートプログラム”のオークション会場でした。 その時は東京芸術大学大学院の初々しい学生でした・
絵は不思議と覚えていませんが、出口さんの雰囲気にただならぬものを感じて声をかけました。
出口さんは現代アートについて、小さなメモを見ながら一生懸命説明してくれました。マルセル・デシャンという人が、『泉』と題して便器を大きな展覧会に出品して美術界に衝撃を与えたことなどを教えてくれたのを今でも覚えています。
そのころは、こんな日本画を描いていました。
グループ展に出品してもらいましたが、下記の様な宇宙的な絵をかさぎ画廊に預け、たちまちのうちにニューヨークに旅立っていきました。
これらの絵は宇宙や輪廻を描いただそうです。青年の青臭ささはありましたが、強いエネルギーに共鳴しました。。
宇宙を飛び回る龍、スペースドラゴンと命名しました。
この絵はニューヨークに飛び立つ前に、私の元部下の女性が買ってくれました。かさぎ画廊で最初に売れた出口さんの作品だったと思います。
赤や黄色の人魂の様なものが宇宙を漂う様子が印象的です。
渡米してから暫くは音信も途絶えがちでした。
当時は英語も覚束つかず、知人友人もいないニューヨークで
は随分苦労したはずです。
での彼は絶対弱音を吐きませんでした。
次第に頭角を現し。欧州や中国などにも出品したり、精力的な活動をしていることを時々報告してくれました。
アメリカでの個展では、注目されマスコミからインタビューを受けることも知りました。
再び出口さんにお会いできたのは、2018年に年かさぎ画廊が
ニューヨークで開催したNEXTJAPANというグループ展の時でした。
出口さんは現地から出品してくれました。
『竜宮の使い』という迫力のある魚の絵であり、出口さんの進化を確認できた力作でした。
ちょっとグロテスクだったので、保守的なかさぎ画廊のお客様には買って頂けなかったのが残念でしたが・・・
出口さんは波も好きです。
波と惑星と暗黒の宇宙です。
海外生活にも慣れ、風貌も逞しくなっていきました。
NYでは日本画材の入手が困難だと聞いて、上野の徳応軒という専門店で画材を買って送ったこともあります。
最初の荷物は途中で盗まれてしまい、出口さんが家賃の安いスラムのようなところに住んでいるのではないかと心配しました。
でも画材を盗んだ泥棒は使い道がないものだったのでがっかりしたと思います。
二度目に送った画材で、掛け軸の絵を描いて送ってきました。
一時帰国の際には、横須賀で懇話会を開き、NYでの武者修行の報告を聞きました。
この絵は、『邂逅』というタイトルの雄雌ペアの作品です。
NYから香港のアートフェアに出品され、のちに横須賀歯科大に寄贈され、もう一方は私のアメリカ駐在時代の元部下が買ってくれました。いつの日か日米の海を越え、二匹のクジラが再開する日を望んでおります。
当時、私は出口さんに飛魚の絵を描くように提案しました。
飛翔するイメージを出口さんに描いてもらいたいと思いました。
今まで飛魚を題材にした絵描きが少ないのもその理由でした。
これに応え、いくつかの飛魚群翔図が完成しました。
クジラの魚体(?)を鮮やかなオレンジで描き、海中を
ラプスラズリーでフラットに描いたクジラシリーズには、
日本画の現代アートの一つのスタイルの完成を見ることができました。
かとすると、この『ガルーダ』のように架空の生き物を描いた作品も多く生まれてきました。
ガルーダはインドネシアの国鳥ともいわれ、インドネシア航空の
マークにも使われています。
ガルーダはヒンズー教の神様の一つでありますが、イスラム教徒が多いインドネシアでもバリー島はヒンズー教の地であり、全国民から宇宙を飛ぶ神様として人気があります。
出口さんはとても親切な人なので、『みんなが幸せになる絵を描いてください』とお願いしたら、”縁起尽くし”と云うこの絵を描いてくれました。
洋の東西を問わず、絵の大家は何でも描けるのです。
この絵は、お茶会などで使われる風呂先屏風に、コテコテの日本画材を用いて描かれた飛魚群飛翔図です。
前述の同じタイトルの絵と比較してください。
かさぎ画廊は、インドでグループ展を開催したことがあります。
2020年にはインドのアートフェアに出展する予定があって
描いてもらった、堂々たる”ガネーシャ”です。
私は絵をトランクに積んでインドに持ち込みました。
しかし、コロナのまん延によってアートフェアは中止となり、アートも暗黒の時代に突入してしましました。
この為ガネーシャは日本に里帰りし、今回の個展に展示されます。
今回の横須賀での個展には、珍しい掛け軸作品が3点展示されます。
これは”石橋”と云う作品で、架空の動物獅子(ライオン)の群像が描かれているとても縁起の良い絵です。
よく見ると、背景には絵を描いた当時の新聞記事が見られます。
次代を絵に刻みたいという表現なのでしょう。
次の絵は、横18メートルの壁画的な大作です。
マカオの富豪がコンサルダント会社に世界NO.1の若手アーティストを探させ、出口さんが選ばれて制作した絵です。
折しも出口さんは前トランプ政権のイミグレーション規制の高まりで帰国を迫られておりましたが、この絵が売れたおかげで、渡航費用と日本での居住にかかる費用を賄うことができました。
同じ頃に、人気ア俳優の星野源さんが、出口さんの絵を気に入り、最新のアルバムに起用した作品です。
出口さんの名前は若年層にも拡がっていきました。
これは、今回の横須賀での個展の目玉作品です。
クジラが潜水する瞬間をとらえた勢いのある美しい絵です。
燕子花(かきつばた)も今回の個展の目玉です。
”サブリミナルフラワー”、つまり”潜在意識の花”というタイトルですが、見る方向により様残な色合いを発信する技法を用いた
現代の日本画です。
出口さんは、タウンニュースのインタビューで、皆様に
ご挨拶し、6月12日方始まる個展に是非いらしてくださいと
お願いを申しあげました。
同日神奈川歯科大のジャカランダ祭りにて、講演会と、ワークショップを行います。
出口さんと同期に神奈川歯科大の特任教授になられた元横綱貴乃花の花田光司さんは、ちゃんこ鍋を振舞います。
是非神奈川歯科大のキャンパスにお越しください。
そして、19日までかさぎ画廊(ホテルニューヨコスカ隣り)で
開催する個展をご覧ください。
よろしくお願い申し上げます。
以上です。
https://www.kasagi-garo.com