黒い羽根 -32ページ目

もう十分かも


これ以上求めたら


本当に罰が当たるかもしれない


「彼」と一つになれた


「彼」が「私」の名前を呼んでくれた


それだけでも十分かも


「彼」が隣で寝息を立てている


「彼」の左手と


「私」の右手は


繋がれたまま


「私」は


ぼんやりと彼の顔を見ながら


彼の手をギュっと握った


このまま時間が止まればいい


そう思いながら


眠りについた

「彼」は


突然の「私」のその言葉を聞いて


一瞬びっくりした顔をしたけれど


「私」の顔を見つめて


そして相変わらず私の髪の毛を撫でながら


今まで見たことのない


男の子の顔で


こう呼んだ


「さや」


それは


「彼女」の名前ではなく


「私」の名前だった

「彼」は間違いなく酔っていたし


「私」も酔っていたからこそ


大胆な行動に出たのだけど


酔っていたからこそ


お互い


今の素直な気持ちだけで


求めあった


「彼」のすべてを


「私」は受け入れる


「彼」はその間もずっと


「私」の頭や髪の毛を撫でた


「彼女」とそっくりの


「私」のストレートの長い髪の毛


ねえ


似てるよね


「私」と「彼女」


「私」は精一杯



「彼」の温もりを感じながら



こう言った



「彼女の名前で呼んでいいよ・・・」