黒い羽根 -30ページ目

コーヒーを淹れながら浮かんできたのは


とても現実的で


「私」の手を震わせた


マグカップにさえ きちんと注げなくなるくらい


「彼」に抱きしめてもらえば


この手は落ち着くのに


「彼」は自分からそれをしてくれる事はない


今日の夜ご飯は


ちょっと高級なくし揚げ屋さん


お昼のランチは来たことあったけど


夜は初めて


ついつい食べ過ぎ


ついつい飲みすぎ


二人ご機嫌で


普通に「私」の家へ帰ってきた


少しフラつく足元に気をつけながら


約束通り


アロマミストにラベンダーオイルを入れて


枕元にセット


少しスイッチを入れてみて


二人で「やっぱりいい匂い!」と顔を見合わせる


と なんだか急にシーンと静かになって


妙な空気・・・


「そ・・・そうだっ シャワーどうぞっ・・・」


なんだか変に上ずった声が出てしまった


「うん・・・」


と「彼」はクスクス笑って


さっきファミリーマートに寄って買った


無印の下着とTシャツを持って


シャワーを浴びに行った


一人 部屋に残った「私」は


まだ22時過ぎだったので


コーヒーでも淹れようと立ち上がった

「彼」の決めたお店に予約の電話をして


その時間まで街をブラブラすることにした


歩いているとき


ちょっと欲張って


そっと


「彼」の左手に触れたら


ギュっと握ってくれた


夢みたいな


「彼」と手を繋いでの買い物


以前より少し距離が縮まって


改めて


「私」より20cm身長の高い「彼」を見上げる


新しく買ったアロマミストに入れる


アロマオイルを買おうと思って


雑貨屋さんに入る


「彼」も


真剣に選んでくれる


決めた香りは


やっぱりラベンダー


「私」は何気に


でも恐る恐る言ってみた


「今日はこれをミストに入れて寝てみようよ」


「彼」はにっこり笑って


「いいね ゆっくり寝れそう」


と言った


今日も泊まってくれるんだ・・・


どんどん欲張りになっていく「私」