新聞の折り込み広告に新潟県のアンテナショップ ネスパスのチラシがあった。
これまで知らなかったが、表参道にあり新潟の酒や料理も楽しめるようだ。
行ってみようと思った。
新潟県には、仕事や観光で数回行ったことはあるが、住んだり長期滞在したことはない。
ただ、かつて一緒に仕事をした職場の後輩のMが新潟の出身だったのでとても親しみを持っている。
Mは、仕事もとても良くでき、上の者の評判も良く、東京で活躍するものと周囲も期待していたが、その後彼は地元に帰った。
彼は、新潟大学を卒業するまでずっと地元で暮らし、結婚したのは実の妹の親友とのことであり、また旧家で先祖の墓も守らなければならないとも言っていた。
Mは、細身だが筋肉質で運動神経がよく、酒も強くいくら飲んでも酔ったそぶりを見せなかった。そんな彼が、新潟の酒やへぎ蕎麦、栃尾の油揚げなど新潟の食べ物を教えてくれた。
原宿駅で降りて、歩いてネスパスに向かった。この駅は山手線でよく通過はするが、数年前に改築されて以降下車したことはなかった気がする。
表参道の通りは、相変わらずのものすごい人出で、それも若い人がほとんどで、我々年寄りはなんだか肩身の狭い思いがする。
かつての同潤会アパート(今は表参道ヒルズ)の裏にネスパスはあった。
あまり、あか抜けない店づくりで、この辺のような気取った店ではないのがありがたい。
入るとすぐの一階に立ち飲みのバーがあり、新潟の酒の3種飲み比べというのがあり、昼食前だが飲んでみた。
村上市の大洋酒造の本醸造、純米吟醸、純米吟醸生酒の3種だった。
いずれも新潟の酒らしくとてもすっきりしたものだったが、生酒はやはり重みのある味わいだった。
つきだしとして出されたのが、豆の入った生地を煎餅状に揚げた「豆天」(写真右隅、後で店内を見て回って分かった)だった。
近年は、日本酒が純米や吟醸など高級化して、味も香りもすっきりしたものになった。
そうした酒も良いとは思うが、私は長くなじんだ本醸造という安いつくりの酒が好きだ。
地下に飲食店があり、予想していたよりも広かったが、満席で少し待たされた。
豚のタレカツ丼とへぎ蕎麦のセットを食べた。甘いたれのカツが素朴で嬉しくなる味だった。
Mは、毎年新潟から年賀状をくれるが、20年ほど前に新潟に行ったとき短時間会ったきりだ。
新潟の料理を食べると彼に会いたくなった。