PIZZICATO,ARCO(op.11)
いつも眉を上げまっすぐに進む
すれ違う時、かすかに瞳だけが動く
シレファラドミと軽やかに駆け上り
ソミドラファレとアレグロで降りてくる
何を怒るのか
何を破壊するのか
何を目指すのか
何を築くのか
仕事の後は運河沿いの道を歩いた
黙って並んで歩いて帰った
君は時折メロディーのかけらをもらした
運河の合流点まで来ると別れた
遠くからの激情は打ち寄せる高波
太い肩の肉
膨れあがった憧憬は吹きすさぶ疾風
少年時代に鍛えた脚
締め付ける思いは灼き付ける陽光
行く先を計りがたい議論
君の指はまだ、私の弦をはじき
君の弓はまだ、私の弦を鳴らし続けている
pizzicato:弦楽器の弦を指ではじいて鳴らす奏法。
arco:弦楽器の弦を弓の毛で擦って鳴らす奏法。