整体コラム❻  内臓自動力の機序…その五「小腸・大腸の自動力」の発生源と効率的な手技について | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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整体コラム❻ 
内臓自動力の機序…その五「小腸・大腸の自動力」の発生源と効率的な手技について


前著“整体コラム❺ 内臓自動力の機序…その四「膵臓の自動力」の発生源と効率的な手技について” に続く第五弾として、次は小腸(空腸・回腸)と大腸について考えていきたい。
・まず、オステオパシーでは小腸および大腸の自動力を次のように教えている。
エクスパー=小腸・大腸全体の時計回転
インスパー=元に戻る半時計回転
これらエクスパー⇔インスパー交互運動も、胃および肝臓その他の臓器と同期して生じている、と述べられている。
・原始腸管における中腸は、十二指腸の後半部分そして空腸・回腸(以下小腸)および盲腸~上行結腸~横行結腸2/3までを形成する。そして後腸が残りの消化管、つまり2/3以降の横行結腸~下行結腸~直腸および肛門管の前半部分までを形成する。これらの分子的制御はレチノイン酸濃度勾配により発現するPDX1,CDXC,CDWA,HOXなどの転写因子によって開始されるが、不明な部分も多い。
・ところで中腸は特徴的な解剖学的発達過程を示す。それはその旺盛な細胞増殖に伴う急激な腸の伸長と共に、上腸間膜動脈を軸とした中腸回転(☚十二指腸空腸曲部を起点として270度におよぶ半時計回転を約5週間かけて回転する)をしつつ一次腸ループを形成し、そのループの頂部において狭小な卵黄腸管(臍腸管)を通して卵黄嚢(胚外胎腔)と連絡している事である。この卵黄嚢は急激に伸長して胎児腹腔内に入れきれない長大な中腸を、一時的に胎児外に脱出させて卵黄嚢の内部に収納することで、長く長大に成長した中腸腸管の収容能力を発揮する(☚生理的臍帯ヘルニア)。
・やがて胎児腹腔の容積が拡張すると、一旦卵黄嚢に納まっていた中腸が空・回腸ループをいくつも形成しながら腹腔内に引き戻される。この中腸ループの引き戻し過程は発生5週頃より開始され10週頃に終了するが、この分子的制御・機序については不明な点が多く、その仮説として肝臓の成長減退や中腎の退縮などにより実際の腹腔容積拡張が脱出していた中腸ループの腹腔内復帰に関係している、と言われている。しかし、これらの因子だけでは、脱出していた長大な中腸の全部(☚十二指腸後半分~横行結腸2/3)が腹腔内に復帰するには、少しエネルギー的に無理があるのでは、と思われる。
・おそらく、その中腸ループの腹腔内復帰に関しては別のエネルギーが追加されているのでは、と考える。その一つの仮説として、いわゆる精巣下降における「精巣導帯」様の組織が、空腸・回腸ループ復帰にも関与しているのでは、と推測する。
・精巣導帯とは、精巣の尾側端に起始して陰嚢内に停止している細胞外基質に富んだ細長いひも状の間葉組織であるが、その精巣導帯の退行的短縮(☚精巣導帯の細胞や結合組織のアポトーシス・融解によって次第に精巣導体自体が短くなる)によって、発生8週頃まで上腹部に位置していた精巣が10週頃より同導帯の短縮によって引きずり降ろされ、29週には鼠径管を下降し、33週には陰嚢内に到達する。これが精巣下降である。
・中腸ループ復帰について上記精巣導帯様に空腸・回腸を腹腔内に引っ張る役目を果たす組織は、トレイツ靱帯(筋)ではなかろうか。
・トレイツ靱帯(筋)とは、十二指腸水平部~上行部より起始して十二指腸空腸曲部を挟む三角形状の筋組織を含んだ靱帯で、同靱帯は十二指腸空腸曲を体幹後壁に固定する作用がある。この靱帯の筋線維の延長は左横隔膜脚から食道裂孔に伸びている部分があり、また上腸間膜動脈や腹腔動脈起部周辺の結合組織にも連続し、さらに腸管縦走筋にも連結している。この様な解剖学的連続性は次の様な推測を成り立たせる。それは胎児期に、同靱帯にも前記精巣導帯様の退行的短縮により発生する牽引エネルギーが生じ、中腸ループ復帰が達成されるのでは(背側腸間膜自体の退行性短縮もありうる)。また、トレイツ靱帯内の平滑筋による反時計方向への収縮が270度反時計回転の中腸回転のエネルギー減になっているのでは、との推測である…(A)。
・前著「整体コラム❷ 内臓自動力の機序…その一「胃の自動力」の発生源と効率的な手技について」では、そのエクスパーのエネルギー源として、胃-食道接合部付近の平滑筋の持続的右回転収縮である、指摘したが、十二指腸空腸曲部にある平滑筋自体にも(ひょっとすると同曲から続く腸間膜根の弾性力も加わって)、胃-食道接合部平滑筋と同様の持続的回転収縮力が働いている可能性があり…(B)、それがトレイツ靱帯の回転作用と協調して中腸回転のエネルギー源を担っているのでは、と考える。
・これらトレイツ靱帯内の平滑筋=Aあるいは十二指腸空腸曲付近の平滑筋の反時計方向への回転性収縮=Bは、胃-食道接合部平滑筋と同様に生後も持続している可能性があり、それが小腸の自動力のエネルギー源になっているのでは、と考える。つまり、腸間膜根内を走行している上腸間膜動脈を軸として反時計方向に270度回転する結果、この回転方向は裏返って”時計方向への回転”となり、このA,Bの時計回りの収縮エネルギーこそが冒頭に掲げた小腸のエクスパー運動のエネルギー源になっているのである。
・ところで腹膜の腹部後壁の接着部は次の通りである。
「1腸間膜根➡2回盲部➡3上行結腸部➡4右結腸曲下部➡5横行結腸間膜部➡6左結腸曲部(横隔結腸ヒダ)➡7下行結腸部➡8 S状結腸間膜➡9直腸上部」
ここで1~9の位置を結ぶ線を描くと、下記の様な平仮名=形状を示す。
「の」
「の」の字の「ノ」の部分が1腸間膜根にあたり、それ以外の「の」の円周部が上記2~9の大腸との接触面で、この2~9円周部は小腸塊の外周部に接している。従って、小腸がエクスパー運動の時計回転をすると、その時計回転エネルギーはこの2~9の小腸接触部を通じて大腸全体に伝わり、大腸は時計廻りに回転する。それはすなわち大腸のエクスパー運動である。
これにより小腸と同期して大腸もこれら腹膜接触部に引っ張られてエクスパー時に時計方向に回転する事になる。
・このエクスパー運動の結果、上記1~9の組織が引っ張られまたは捻じれ、あるいは1~9以外の組織にも、例えば盲腸ヒダや胆十二指腸間膜なども引っ張られる事になり、これら組織の弾性による位置エネルギーが生じる。この位置エネルギーこそが小腸・大腸のインスパーのエネルギー源になるのであろう…C。
従って
(A+B)>C=小腸・大腸の時計回りのエクスパー運動
(A+B)<C=小腸・大腸の反時計回りのインスパー運動
といった交互運動が生じる事になる。
・ただ、胃や十二指腸などのエクスパー⇔インスパー運動と、小腸・大腸のそれが同期する理由は指摘しにくいが、あえて言うなら「胃-食道接合部の右回転➡幽門-十二指腸球部➡十二指腸の右回転➡十二指腸空腸曲部の右回転」と直列的にエネルギーが伝達する事で、同期してエクスパー運動が生じているのでは、と推測する。
・臨床的観点からすると、オステオパシーの教える一般的な回盲部や左右結腸曲の解放あるいは自動力の誘導法だけではその自動力回復あるいは自然治癒力増進にはつながりにくい、と考える。それは小腸や大腸は広範囲に渡って位置し、多種の臓器(あるいは腸管同士)と複雑に接しているので、その数々の接着面で癒着可能性が高まるからである。
・従って、以下の様な施術を必要に応じて追加する方が、当該臓器の自然治癒力の回復・増進に効率的かつ有効である、と考える。
a,下部食道括約筋解放テクニック
b,胃-幽門部平滑筋テクニック
c,十二指腸平滑筋テクニック 
d,十二指腸空腸曲/回盲部解放テクニック
e,胆嚢-総胆管マニピュレーション
f,小腸・大腸平滑筋テクニック
g,腸骨はがしテクニック
h,腸間膜根解放テクニック
i,門脈解放テクニック
j,上・下腸間膜動静脈解放テクニック
k,腰・腸リンパ本幹解放テクニック
l,胸管解放テクニック
必要に応じて上記手技を追加する事で胃と十二指腸空腸曲の右回転力(エクスパーエネルギー源)を回復させ、ひいては小腸・大腸の自動力も回復させる。十二指腸空腸曲や回盲部での糜粥うっ滞を解放し、胃~十二指腸~小腸・大腸の平滑筋疲労と緊張を緩和させ、そして胆嚢の胆汁排出能力改善と胆嚢(および肝臓内部)のうっ滞を解消させて消化吸収能力の向上を図り、消化管各部位への血流の確保と静脈還流およびリンパ還流を促進する事で消化管全般のうっ血を解消し、ひいては細胞再生=新陳代謝を促進し、小腸・大腸の自然治癒力の確保とその機能改善を目的とする。

 

 

 

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