逆流性食道炎/食道裂孔ヘルニアの症例研究 ① | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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逆流性食道炎/食道裂孔ヘルニアの症例研究 ①
患者Aさん:40才-男性-会社員の症例より

 

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病歴
・主訴=胸(みぞおち)と喉が常時痛む (逆流性食道炎/食道裂孔ヘルニア/バレット食道)
・3年前に逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニア(下段参照)に罹患している事が、某病院での内視鏡検査で分かった(食道裂孔ヘルニアのタイプについては不明だが、その大半を占める「滑脱型」を想定する)。
さらにバレット食道(下段参照)も併発していた。

・症状はみぞおちと喉の焼けるような痛み(胸やけ・喉やけ)で、制酸剤と粘膜保護剤による投薬治療を続けていた。しかし最近は薬が効かなくなってきたそうである。
そんな時、胸と喉の痛みで夜中に目が覚める事が増えてきたので、投薬以外の治療法を探している時に、当院の本症に対する記事を目にして来院された。
・食道裂孔ヘルニアに対する手術治療の予定は無い。

 

 

 

 

注1) 食道裂孔ヘルニア
腹腔内にある胃の一部が横隔膜を超えて胸腔にまで飛び出た状態。猫背、腹圧が亢進した状態などが原因。進行例は手術によるが、軽度の場合は経過観察。逆流性食道炎を併発している場合は制酸剤などの処方で様子をみる。

 

 

 

 

注2) バレット食道
食道粘膜は「扁平上皮細胞」で覆われていますが、それが胃粘膜である「円柱上皮細胞」に置き換わった状態。逆流性食道炎が長期間続くと起こるとされている。欧米では食道癌との関係が深いとされるが、日本では必ずしも発癌するとは言えない、とされる。但し、内視鏡による定期的な経過観察が必要である。

 

 

 

 

問診
・便通は毎日あるが軟便である。
・食材は好き嫌いなく何でも食べ、食通(グルメ)である。
・胸やけや喉やけが強くなって本症と診断されるまで、暴飲暴食が常だったそうである。
・接待で酒席があった夜の就寝後、胸やけ-喉やけが強くなり目がさめる。
・パソコン仕事が多く、その時の姿勢は「猫背」になっているそうである。
・吐血、下血は無い。
・その他、目だった随伴所見は特になし。

 

 

 

 

診察
・身長は170cm、体重は70kg。2-3年前まで75kgを超えていたが、ダイエットで体重を落とした。
・貧血傾向は認められない。 
・T8~10に圧痛あり。
・腹部膨満であるが、波動検査は陰性。
・腹部の血管雑音は認めなかった。グル音は1回/10s前後であるが、弱かった。
・腹部全般に打診上鼓音であった。
・腹部での腫瘤感、抵抗感、筋性防御は特に認められなかったが、圧痛点(平滑筋の緊張)は数か所あった(盲腸部、回盲部、腸間膜根、十二指腸空腸曲、噴門部(下部食道括約筋)、左肋骨弓下部など)。
特に左肋骨弓の下部(おそらく胃体-胃大彎部)の平滑筋の緊張と圧痛は著明であった。
・内視鏡検査時における胃についての情報はAさんから確認されていないが、おそらく多少の胃粘膜びらんor炎症、あるいは潰瘍、ピロリ菌の存在などの病変がある可能性がある。

 

 

 

 

整体治療
・腹部消化管の平滑筋テクニック
 (盲腸部、回盲部、腸間膜根、十二指腸空腸曲など)
・胃体~胃大彎部の平滑筋テクニック
・下部食道括約筋の平滑筋テクニック
・食道の牽引テクニック
・胃の蠕動運動亢進テクニック

・猫背姿勢の改善指導
・暴飲暴食と食通(グルメ)のリスクについての説明

 

 

 

 

結果
・喉の痛みは残存しているが、胸の痛みは全く解消した。
・食道裂孔ヘルニアに関しては1回の施術で多少改善する事はあっても、完治するとは考えにくい。バレット食道についても同様。☚精査が必要

 

 

 

 

考察
● 治療目標
・Aさんは元々暴飲暴食であった。つまり暴飲暴食による胃内圧増加が下部食道括約筋の疲労を招き、胃液の食道内への逆流を促していたものと推定される。
また接待時には酒量が増えていたようである。胃酸の逆流だけでなく、アルコールによる食道粘膜への直接刺激、そして肝臓での解毒時に生じる毒素(アルデヒド)による刺激も加わって、逆流性食道炎が進行していったものと推定される。

 

 

 


・さらにAさんは普段から「猫背姿勢」であった(☚パソコン仕事による)。この姿勢も腹圧の亢進を招き、胃液の食道への逆流を促進させる因子として働く。


・恐らく「ガスの増加」による腹部膨満も腹圧を上げている因子の一つであろう。


・本症と診断されるまで、Aさんの体重は75kgを超えていた(身長170cm)。これも腹圧を上げる因子として働く。


・従って下記の7つの因子を除去していく事が、症状の改善につながると考える。
① 下部食道括約筋の疲労(噴門の開口)
② アルコールの多飲(直接-関節刺激)
③ 猫背(腹圧上昇)
④ ガス増加による腹部膨満(腹圧上昇)
⑤ 肥満(腹圧上昇)
⑥ 暴飲暴食の食習慣
⑦ 好き嫌い無しの食通
⑧ (ピロリ菌の存在、アルデヒド、自律神経失調などについては、今回は考慮せずに進めた)

 

 

 

● ②アルコール多飲、⑤肥満について
・Aさん自身、②のアルコール多飲と⑤の肥満については、接待時以外は酒量を控え、定期的なジョギングなどでダイエットを継続していることなど、本症との因果関係を意識しているので、改めて指導する事はしなかった。

 

 

 

● ③猫背について
・しかし③の猫背が本症のリスクファクターである事は知らなかったので、これについては猫背姿勢と腹圧の因果関係を説明し、以後不良姿勢に注意してパソコン仕事をして頂く事を指導した。

 

 

 

● ⑥暴飲暴食について
・⑥の暴飲暴食について、現在は「腹八分ん目」の食習慣にしているため、改めての指導では無く、「胃が膨満する事による下部食道括約筋の緊張⇒疲労⇒噴門開孔⇒胃液の逆流」についての説明をしておいた。

・従って①の食道下部括約筋の疲労(噴門の開口)と④のガス増加による腹部膨満(腹圧上昇)に対して、具体的な整体治療の目標として施術する事にした(⑦の食通については後述)。

 

 

 

● ④ガス増加による腹部膨満(腹圧上昇)について
・④の腹部全般の打診上の鼓音について、まず「どの様な理由で鼓音(大量のガス発生)が生じているのか?」であるが、それは精査が必要である事は言うまでもない。最悪のケースでは消化管の腫瘍性疾患なども視野に入れないといけないだろう。
・しかし整体師レベルでの触診で腫瘤感(抵抗感)は確認できなかったので、とりあえず「腫瘍説」は後ろに回し、一般的な原因である「腸内異常発酵(腐敗)」⇒「動物性蛋白質の食べ過ぎ」を考慮した。それにより腸内細菌による発酵が増加し、大量のガス発生となっていると推定した。
・事実、Aさんは元来「暴飲暴食」かつ「好き嫌い無しの食通」であるから、上記推定を支持するものと考える。さらに腸内細菌は盲腸部に一番大量に存在するので、同部の著明な圧痛は同部での「発酵が亢進」という閾を超え、「腐敗の亢進➡ガス発生増加」まで進展しているのではないか、と推定される。
・その結果、盲腸部の消化管膨張による消化管平滑筋の物理的刺激、あるいは腐敗による化学的刺激も相まって、同部の圧痛亢進が起こされたのでは、と推定される。
・同様の事が他の消化管全般で生じる事で、腹部全般的な「ガス発生⇒腹部膨満」となり、腹圧上昇の要因となっていると推定される。
上記について⑦の「好き嫌い無しの食通」と関係するので、Aさんに説明しておいた。つまり、あまりグルメになりすぎると「腸内異常発酵(腐敗)」となり、腹圧上昇⇒逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニアの要因になるリスクである事を。
・よって④の「ガス増加による腹部膨満(腹圧上昇)」に対する整体法として下記の二つの整体テクニックを使用する事にした。
1)腹部消化管の平滑筋テクニック
 盲腸部、回盲部、腸間膜根、十二指腸空腸曲
2)胃の蠕動運動亢進テクニック
上記テクニックによって残存する残留便=及び便内に滞留している腸内細菌の排泄を促進させ異常発酵を減少させる事で、腹圧の低下を期待した。さらに同テクニックで消化管静脈にうっ血している静脈血の流れを回復させ、それによる腹圧低下も期待した(☚グル音低下=筋肉ポンプ低下)。

 

 

 

● ①下部食道括約筋の疲労(噴門の開口)について
・最後に①の「下部食道括約筋の疲労(噴門の開口)」に対する治療であるが、直接的には「下部食道括約筋の平滑筋テクニック」が有効であるが、ただAさんについては、下部食道括約筋よりも胃体~胃大彎の方が著明な緊張と圧痛があった。従って、Aさんに対しては後者への施術の方に時間を割いて施術した。ちなみに胃体~胃大彎の緊張感は、粘土の様な硬さであった。
・時間をかけて丁寧に「胃体~胃大彎部の平滑筋テクニック」を施術すると、最初Aさんはやや疼痛を感じていたが、「嫌な痛み」でなく「効いてそうな痛み」と仰ったので、そのまま施術を続けた。すると次第にほぐれだしAさんも安堵-陶酔の表情に変わっていったので、適当なところで施術を中止した。
・食道裂孔ヘルニアに対しては胸腔内に脱出した「胃」を腹腔内に引き戻すために「食道の牽引テクニック」を施術した。しかしどこまで食道を牽引できたかは精査が必要である。
・施術の結果は「喉の痛みは残存しているが、胸の痛みは全く解消した。」であった。
喉の痛みが残存している事は予想通りである。おそらくのどの痛みの原因は胃酸が食道上部まで到達し、その食道粘膜への腐食刺激によるびらんが疼痛の主因であるだろうから、施術により瞬間的にびらんが解消するはずが無いからである。
・ところが胸(上腹部)の痛みについては違っていた。痛みが解消していたのだ。
いつも不思議に思う事であるが、逆流性食道炎の整体治療で上腹部-胸の疼痛は、今回の様に、施術により瞬間的に減少-解消するケースが圧倒的に多い。喉のケースの様に考えれば施術しても食道のびらんは瞬間的に元に戻らないはずでだから、胸の痛みが取れたのはびらんが解消したからではないはずである。
・と言うより、元々の上腹部-胸の痛みの原因自体が「胃酸によるびらん(化学的原因)」が原因でないのでは、と考えざるをえない。すなわち、そもそも上腹部-胸の痛みの原因は化学的原因でなく、物理的原因であることの方が多いのかもしれない。つまりその物理的原因とは「胃体-胃大彎(小弯)-胃底-下部食道括約筋(横隔膜)」といった「一連の消化管平滑筋の緊張」が主因である可能性が高いのではないだろうか。でないと、平滑筋テクニックで痛みが解消するはずが無いであろう。

 

 

 

 

 

結語
1. 逆流性食道炎による上腹部痛の解消には、同部への整体治療が瞬間的な効果がある。
2. しかし喉の痛みに対しては、瞬間的な効果は無く、時間が必要である。
3. 従って逆流性食道炎による上腹部痛の主因は、びらんより一連の消化管平滑筋(胃体-胃大彎-下部食道括約筋)の緊張によるものの方が多いと考える。

 

 

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