子供の時から、絵は、 まずリンカクを描いてからその中を順番に塗っていくものと思っていた。
透明水彩の場合、それだけでは数ある技法・効果の三分の一も使いこなせないのではないだろうか。
“ネガティヴ・ペインティング”という基本技法を積極的に使うことによって、透明水彩らしさが存分に表せるようになると思う。
明るい色を先に塗っておいて暗い色で塗り残していくのがリスクの少ない方法と言える。
※ネガティヴ・ペインティングとは、簡単に言うと“塗り残し技法”のこと。透明水彩絵具は上塗りしても下の色が見えるので、暗い色の上に明るい色は乗せられない。
今、世界の水彩画の主流は、
間違いなくこの方向だと言っていい。
この時のリンカク線は、中を塗るための境界線ではなく、中を塗らないための境界線といえる。(Out Line ⇒ Boader Line)
ぬり絵ではなく、 塗り残し絵。
私の作品の鉛筆下描きと完成を比較してみると…
白い部分はすべて紙の白の塗り残し。
リンカクは、塗らないためのリンカク。
白い花は陰だけ描いて、後ろの葉や隙間で塗り残した。
いかがだろうか。
不透明の絵具と比べると、文字通り“ネガ”の考え方であり、技法も全く“ネガ”になっている。
これが水彩画の難しさであり、
らしさであり、魅力なんだと思う。
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