よくビジネスの教訓として『鳥の目、虫の目、魚の目』という比喩が使われる。
この喩えは、ビジネスに限らず、何にでも有効だろう。
私は、絵を描く時も “鳥の目”と“虫の目”が特に重要だと思っている。
もちろん、“魚の目”も必要だが、あまり時流を気にしすぎると “自分” の置きどころを “探る” ことになって、絵にはどうもふさわしくない。 ただし、水彩画の場合、“手順”という意味なら “魚の目” もとても大切ではある。
絵を描く者にとって、ディテイルの観察眼も、俯瞰からの客観的視点も両方持ちあわせることが大切だと思う。
“大きな関係”を意識しながら細部を描いていくことで、明暗・遠近・主従・質感…いろいろな“差異”が明確になってくる。
“描き込み”とはそういうことではないだろうか。
特に、水彩画の“描き込み”とは、決して全てに筆を入れて何度も塗り重ねることではないと思う。
描けば描くほどいろいろな差異が明解になること。
当然、何度も重ねるところと絶対に触らないところがハッキリと別れるはずだ。
全てに同じように筆跡を残すことを“描き込み”と思っていると、描けば描くほど“差異”が無くなりメリハリが無くなっていく。 しっかり“描き込み”をするためにも“鳥の目、虫の目”がとても重要な見方といえるのではないだろうか。
静物・人物・風景… 一枚の絵を描いて行く過程で、両方の視点・観点がフル活用されなければ、完成度のある絵にはならないと思っている。 決して筆数や時間ではないのだと思う。
展覧会の お知らせ
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■2019年4月2日(火)~4月8日(月)
第11回 横浜画塾展 (教室展)
■2019年4月18日(木)~4月24日(水)
笠井一男 水彩画展 (個展)
書籍のお知らせ
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作品集
『ウォッシュから始める水彩風景 劇的に絵が変わる7つの方法』 (グラフィック社刊)
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