アタラクシア ピノ・ノワール ヘメル・アン・アード・リッジ 2014 | 瓢箪仙人のブログ

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ネットで調べてわかったこと、自分が飲んだワインの感想の備忘録としてのひとりごと。自分自身の備忘録となるとともに、読者の皆様の参考になるような情報提供となるよう、努めていきたいと思っています。('21.11.12. 東京都小金井市 ジュウガツザクラ)

Ataraxia Pinot Noir 2014 Hemel-en-Aarde Ridge

南アとしては高級な方で、6500円近いワインです。ブルゴーニュの村名ものが買えるような値段ですが、

売り手の言葉を引用すると、「なんとも夢見心地のピノ・ノワール」「、磨き上げられたエレガントさとこの上ない洗練度を奥に隠した格調の高さ」とのことで、ブルゴーニュものよりこちらを選ぶメリットがあるかどうか、興味深いところです。

しかし、同じ売り手の言葉の中で具体的な表現を探すと「コケモモやアメリカンチェリー、柘榴」はまだしも、「枯葉や鉄観音、湿樹や生肉など熟成した複雑な香り」「紅茶に湿土などの多彩な味わい」と、カビ臭いのか生臭いのか、あまり進んでは嗅ぎたくない香りのオンパレードで、新鮮な果物の甘い香りは期待できそうもありません。

 

 

変わった図柄で、シャガールでも思い起こします。でも足のつま先の向きを見ると仰向けで飛んでいるのでしょうか。ケヴィン・グラントが造り手とのことです。

 

 

裏ラベルの記述からすると、若い畑から作られ、活気がある若いワインで、ピノノワールの理想的なテロワールということですが、売り手の言葉が正しければ、そうは思えません。

 

 

gesertifiseerを調べてみると、アフリカーンス語とのことで、この言語を調べてみるとオランダ語から派生した言語とのことです。英訳はdiplomated、ディプロマをもらっている、学位から能力が保証されるという意味らしいです。右側にあるcertifiedと似たようなものです。Wine & Spirit Boardが保証しているということなんでしょう。

 

 

キャップシールはラベルと同じ図柄で、穴は2個です。

 

 

6500円近いワインのくせに、なんと集成材の圧搾コルク、長期熟成は期待しない早飲みワインということです。実際グラスに注いだ色は写真の通り、煉瓦色で、4年も経っていないワインとは思えない熟成した色をしています。コルクへの色付は年月にしては濃いめですが、澱はありません。

 

 

開栓時の香りは少な目で、干したプルーンのような熟成したワインの香りがする程度、甘い干し葡萄やはちみつ系の香りはありません。

時間が経っても、香りの傾向は変わらず、全体的に香りは弱めで、若いピノ・ノワールらしいイチゴやキイチゴ、あるいはプラム系の香りはほとんどありません。口に含めば、かろうじてサクランボかバラの香りを感じることができます。

味の方は、熟成した色にふさわしく、たかが3年ほどしか経っていない若いワインからは思いもよらない、10年以上たったかのような熟成したワインの味がし、タンニンは弱く微かに苦みを感じるくらい、酸味も弱めで、旨味の中に微かに甘みを感じます。カビ臭さはないものの、長期保存した古酒のワインが、抜栓後、時間が経って、いろいろな要素が抜けてしまった時の味を思い出します。

 

古臭い果実味はあって、薄いという感じはしないのですが、ミネラル感も弱めの石灰か塩気かというような味はしますが、鉄っぽさはありません。少し雑味があるのか舌を刺すような感触もありますが、後味の持続はほとんどなく、しばらく経つと、むしろ低硬度のミネラルウォーターを飲んだ時のような、無味を後味で感じるくらいです。

 

古酒でもないのに熟成感を味わえるワインで、果実味もあって決して安いっぽい感触はなく、恐れていたネガティブな香りもないので、早飲みのワインとしては普通でなくおもしろくはあります。

しかし、新世界のワインとしては、ちょっとお高く、南アのワインにはもっと低価格でフレッシュなものがたくさんあるので、そちらの選択の方が正解である気がします。

南アというとミヤルストのワインも似た傾向でしたが、ミヤルストの方が安くて、よりバランスが良かった気がします。似たようなワインで、ハミルトン・ラッセルのものも手持ちにあるので、そのうち比較したいと思います。