私がワインを飲み始めたころは、ネットもない時代で当然好きな作り手を選んで注文することはできず、お店にあるものを飲まざるをえないような状況で、サンセールも、ボルドーの白はもちろん、近くのプイイ・フュメに比べても随分繊細で軽いという印象しかありませんでした。
しかし最近はネットでいろいろな作り手の情報が手に入り、その中から興味のある作り手のワイン選んで飲めるようになったのは本当にすばらしいことです。
音楽でも食べ物でそうですが、最高とは言わなくてもそれなりの上位の演奏家や作り手のものでないと、その本当の味わいは知ることが出来ないものです。
サンセールでの有名な作り手というと、今なら、メロ、コタ、ヴァシュロンなどいくつかあがりますが、このブルジョワはどうなのでしょうか。
ラベルは一見シンプルで地味に見えますが、よく見ると控えめな色調の中で非常に繊細な図柄であることがわかります。
後ろのラベルには、2~4年のうちに10度ちょっとで冷やしてのむように書かれています。
栓はスクリューのタイプで熟成の必要はなさそうです。
回転方向が記されたキャップですがHとBの文字はしゃれています。
色は淡い黄色で、抜栓直後はグラスに少し泡が付くくらいの微かな炭酸味があり、後ろのラベルに書かれていたとおり、レモンなどの柑橘やパッションフルーツの香りと樽香が混じったような香りがして、そこそこの酸味とミネラル分を感じようなものでした。
時間が経つと柑橘やパッションフルーツ、樽香に加えて、パインナップルや青リンゴ、さらに弱めの蜂蜜の香りがし、酸味や強めのミネラル感に加え微かな苦みを感じるようなこくのあるような後味の長い果実味を感じるようになりました。微かに苦いとは言っても雑味や力強さを感じるものではないので、やはり肉料理と言うよりは魚やホタテの料理によく合うように思います。
やはりプイイ・フュメのシレックスやバロン・ド・エルと比較してしまいますが、プイイ・フュメのものの方がもっと香りや酸味ともすっきりした透明感があるのに比べ、こちらはカルシウムっぽいミネラル感が強く、後味もニュージーランドものにありがちな重さを感じるように思いました。サンセールも、石灰岩土壌とシレックス土壌の畑があるようですから、土壌の違いなのか、是非試してみたくなりました。
しかしながら、安物にありがちな薄さや軽さ、水っぽさとは無縁で、さすがにソーヴィニオン・ブランとしての一角をなす味わいを感じることができました。