三菱東京UFJ銀行マニラ支店はこのほど、恒例の「為替相場講演会」をマニラ首都圏マカティ市のホテルで開き、来年の米ドル/ペソレートについて、「主たるレンジは1米ドル=42〜44ペソ」との見通しを示した。同講演会は、現地日系企業の事業計画の作成支援などを目的に同行が毎年行っているもので、今年は約110人が出席。歴史的な円高が記録される中で、為替相場に対する高い関心が示された。
講演会は2部制で行われ、ペソ相場の見通しについては、三菱東京UFJ銀行マニラ支店為替資金課の善木茂雄課長が「フィリピン経済概況並びに今後のペソ為替相場動向」と題する講演を行った。
善木課長は今年のフィリピン経済を振り返った上で、来年の米ドル/ペソレートについて、「主たるレンジは1米ドル=42〜44ペソ」と予測。◇今年10〜12月—1米ドル=42〜44.5ペソ◇来年1〜3月—同42〜45ペソ◇4〜6月—同41.5〜44.5ペソ◇7〜9月—同41〜44ペソ——との見通しを示した。
ペソは来年3月ごろまで横ばいを続けた後、4月以降に上伸への足掛かりをつかむとの予測。善木課長は講演後にNNAの取材に応じ、欧州債務危機のイタリア、スペインへの拡大といった点をリスクとして挙げつつも、欧州経済が安定した際には、債務危機により流出していた資金が再び新興国に流入し始めるとの見方を披露。フィリピンに関しては、経常収支が黒字である上、来年も外貨準備高や海外出稼ぎ労働者など在外フィリピン人の本国送金が堅調に推移すると予測され、強固なファンダメンタルズ(基礎的条件)を見直す動きが強まるとの見解を示した。
善木課長によると、欧州債務危機を受けた新興国からの資金流出の影響で、マレーシアリンギ、タイバーツといったアジア各国通貨が対米ドル比で前年末から下げる一方、ペソはインドネシアルピア、韓国ウォンとともに前年末比で通貨高を維持している。
講演では、欧州債務危機がフィリピンの銀行に与える影響についても解説。欧州向けエクスポージャー(金融資産のうち価格変動リスクにさらされている資産の割合)を政府債務残高のシェア通りと仮定した場合、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)向けエクスポージャーは、多くとも8億2,000万米ドル(約630億円)程度と推算され、欧州危機の国内銀行への影響は軽微との見方を示した。
■ドル円相場の特性 善木課長の講演に先立ち、三菱東京UFJ銀行金融市場部の内田稔シニアアナリストが「為替相場の現状と展望」と題した講演で、米ドル安円高シナリオの検証などを行った。
内田氏は米ドル/円相場の基本特性として、◇経常収支が日本は黒字、米国は赤字と日米で不均衡が生じており、基本的にドル安円高圧力が加わりやすい◇日本円が低金利通貨となった1995年以降は日米金利差という円安局面が訪れた——と指摘。米ドル/円相場が円高、円安のいずれに振れるかは、日米経常収支不均衡による「ドル安円高圧力」を跳ね返すだけの日米(実質)金利差が開いているか、あるいは開いていくかどうかと指摘した。
米金利に関しては、2013年半ばまで現行の低金利政策を維持する方針が示されており上昇は期待薄としつつも、世界的に利下げの動きが広まっていることでドル安が抑制されると予測。さらに、円建て資産の購入額は1年未満の短期債が最も多く、逆流する局面では円安材料にもなり得る点に加え、日本の対外直接投資の活発化も円高抑制、円安要因にもなり得るとした。
その上で内田氏は、来年9月までの米ドル/円為替相場(中心値)について、◇今年11〜12月—1米ドル=77円◇来年1〜3月—同77円◇4〜6月—同78円◇7〜9月—同80円——との予測を示した。
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