「オッペンハイマー」を見ました。

 

最近のノーラン映画は、長くて訳わからなくて辛いなぁ、と思ったら。

コレは3時間あるけど、映画として面白くて、たまげた。

 

ほとんど会話劇ですが、神話の英雄譚(しかも破滅型)が好きなノーランらしく。

原爆を開発したオッペンハイマーを、人類に火をもたらしたギリシャ神話のプロメテウスになぞらえ。

 

どこか浮世離れした、不思議ちゃんのオッペンハイマーが、軍と政治家と、なによりも自分が生み出した核兵器に翻弄され、「神」から「苦悩する一人の人間」になっていく様を描いています。

 

不思議ちゃんの科学者と、すぐ「殺すぞ」と言う、ゴールデンカムイに出て来そうな軍部が、駆け引きしまくった末に原爆を作ったら、全部、政治家の掌の上でした、みたいな映画。

 

原爆の完成前からグン!とテンションのギアが上がり。

実験成功、実戦投入、終戦、終わり!と思ったら。

 

そこから、また一時間、法廷劇みたいなのが始まったのに、たまげました。

「ダークナイト」で、ヒロインが死んで映画が終わったと思ったら、トゥーフェイスが出て来て映画が続いた様なもんだ。

 

実は、映画のキモは、この後半。

ああ、こういう反戦の描き方もあるのかと思いました。

 

終盤に、ダダダダダっと、今までの全ての事象が集結して行く。

 

ノーランだから、例によって時系列を入れ替えたりして、さらに登場人物の説明なんかしないので、予習動画や予習サイトを見るのが推奨されてるけど。

 

俺みたいに予習しないで見に行って「な、何事!?」と思って。

終盤「あーっ、そういう事だったのかー!」と、ビックリするのもアリよ。

 

あたくし、84年のオリジナル第一作はもちろん。

 

89年の「2」。

2016年のリブート版。

そして21年の「アフターライフ」と、全て劇場で見るくらいは、『ゴーストバスターズ』好きでして。

 

前作の『アフターライフ』でボロ泣きしたので、期待値あげて行って来ましたわよ。『フローズンサマー』。

 

なんかイマイチだったなぁ。

特に前半が、眠気との戦いで。

前の席の人が、豪快に船を漕いでいて、時々ハッ、と我に帰っていたから、俺だけではないのだろう。

 

お話は、前作の田舎から、ニューヨークに出て来た、新生ゴーストバスターズの活躍を軸に

 

⚫︎15歳のヒロイン、フィービーと、母のキャリーや義父のゲイリーとの確執

⚫︎全てを凍らせる最強のゴースト、カラッカが封印された球と、それを持ってる男性の因縁

⚫︎84年の一作目から因縁がある市長による、ゴーストバスターズ潰し

⚫︎フィービーと謎の少女の友情

 

と、複数のプロットが絡み合いながら進んでいくんだけど。

 

とにかく、新生バスターズ周辺が、「友達の友達」みたいな奴が絡んで、やたら人数が多い上に。

 

84年のオリジナル版のキャストに出番を与える為に、寄り道するから、1時間55分の上映時間の割には、なんかモッサリしてるというか、情報の未整理感があるんだよねぇ。

 

つまらなくないし、盛り沢山なんだけど。

 

「84年版のキャストやマシュマロマンが見られて嬉しい!」ってのは、前作のアフターライフ、下手したら2016年版でもやったので。

 

もう少し、新生バスターズの活躍も見たかったなと。

 

あと、タイトルの「フローズン・サマー」(原題はFrozen Empire)が、出オチというか、凍るの最後だけかよ!みたいな。

氷河期になって困ってウロウロするとか、そういう話ではないのね。

なんか凍るシーンは、結構、予告編で見たなあ的な。

 

まあ面白かったんですけどね。

→嫌な感想だなオイ

 

ゴーストバスターズって、実は難しいコンテンツで。

「繰り返される怪奇現象が次第に盛り上がって行って、ラスボス戦にクライマックスが来る」が一番成功してるの一作目なんですよ。

あんなにギャグの出来がいい2016年版も、途中のゴースト捕獲が単調なの。

それ以降はゴースト捕獲が少ないし、難しいよね。

 

期待より出来の良い映画に出会うと、嬉しくなる。


と言う訳で、『アイアンクロー』を見て来ました。


 「鉄の爪」と呼ばれ、プロレスでも、実業家としても成功した偉大なる父、フリッツ・フォン・エリック。
日本でもジャイアント馬場のライバルとして、また劇画「プロレス・スーパースター列伝」でお馴染みですが。


80年代から90年代にかけては。
世界チャンピオン・レベルのエリート・プロレスラーに育て上げた、五人の息子が。
一人は日本遠征中に病死
三人は自殺し
「呪われたエリック一家」と呼ばれています。


ちなみに映画では「観客が悲惨すぎると思ってしまう」という理由で、六男のクリスを存在ごとバッサリとカット。


つまり、エリック一家の息子は、映画では「四人、プロレスラーになって若いうちに三人死んだ」ですが。
現実では「五人、プロレスラーになって、若いうちに四人死に、三人自殺」なのです。


なお長男は幼児の時に事故死。
まさに「呪われたエリック一家」。


たがしかし。
この映画、兄弟四人の、青春ドラマの側面が強い。


美しいテキサスの自然の中で、アメフトやバンド演奏を愛する、70年代の青春が描かれ、あまりにも眩しくて泣けてくる。


お父さんのフリッツも、日本のスポコン漫画の様なスパルタ親父ではなく。
愛情豊かながらも、実業家、経営者の冷淡さで、息子たちの才能を測ってしまうのが悲劇を呼びます。


そして、令和の日本人には予想出来ない、70年代のテキサスのマッチョイズム。


「男は男らしく」
「戦いは勝たねばならない」
「無冠だった父の無念を晴らすべく、チャンピオンにならねばならない」


そして、一番最初に王座に手が届きかけた、三男デビッドが遠征先の日本で急死すると(当時のニュースを覚えている)。
父と、地元の人々からかかる、「お前がデビッドの代わりにチャンピオンになるんだ!」というプレッシャー。
それが静かに、しかし確実に、エリック兄弟のメンタルを削って行きます。


辛い結末の映画ですが、物語は躍動感にあふれ。


エリック一家の番頭役だったブルーザー・ブロディや、ライバルだったテリー・ゴーディなど、日本でも有名なレスラーが(役者さんが演じて)続々登場。
チャンピオンでは、ハーリー・レイス、リック・フレアーが登場。


特にリック・フレアーは「これ本人じゃないか?」と言うほどソックリで、美味しい見せ場をさらいます。


プロレスの見せ方も上手かったなー。


地元で、ブロディ達、身内とやる時は、「俺がタックルするから、かわしてトップロープからの攻撃でフォールしろ」と「筋書き」の打ち合わせを描いて。
ヨソの地区から来たチャンピオンと戦う時は、ガチ勝負っぽく描いているのは、映画の温度として上手いと思いました。


全部「筋書きあり」だと、エリック兄弟の「無冠の父の代わりにチャンピオンに」が、霞んじゃうもんね。


パンフレットも、プロレスに詳しい人が書いていて、いいんだよ。


映画はプロレス映画とは言い切れないけど、背景にアメリカのプロレス興行システムや、テレビ時代になりマーケットが変化した事が描かれてるから、そういう事に詳しい人たちが書いてる。


と言う訳で「男に生まれて、良かったなー」という気持ちと、「男は強くあれ、って危険だなー」と思う気持ちが交差する『アイアンクロー』。


ネットで「マッチョイズム版『ミッドサマー』」という評がありましたが、まさに言い得て妙。


おすすめです。
 

 

実写映画版 『ゴールデンカムイ』を観ました。
 

原作設定に忠実に、結構、細かく「実写アクション大作」に調整されていました。
 

特撮とアクションが凄い!
アクションは下村勇二さんだから、凄いとは思っていたが。
世界観を邪魔しない程度の、クンフー的な殺陣と、パルクール的アクションが良い!
 

監督が「ハイ&ロー」で、脚本が「キングダム」って、いいスタッフを押さえたなWOWOW!
 

クライマックスの、馬と馬車を飛び移るアクションは、ほんと、どうやって撮影したのか、わからなかった。
 

冬の北海道の野獣と、変態軍人軍団に立ち向かえ!
 

物語的には、序盤で終わりますが、物足りなさはなく、お腹いっぱい。


こりゃ続きのテレビシリーズ見たくなるわ。
WOWOW入ろうかなあ、と思わせた時点で勝ちですね。

テレビのウルトラマンブレーザーは。
 

①地球を守るはずの組織の、偉い人たちの陰謀
②怪獣が、ただ暴れるだけでなく、地球の環境を作り変える的な、何かガイア的な動きをする
③主人公ゲント隊長の妻子や、エミ隊員の父親などの、家族の絆


と言った3本柱のテーマがあり。
 

これがガッツリ噛み合えば超傑作!
外したら、底抜け凡作!
 

になると心配してましたが。


テレビは、ちょっと後者になっちゃったなあ。
「うわ、傑作になりそうなのに、勿体ない」みたいな「スカし」が沢山ありました。

 

でもキャラクターの描き方が良かったから、実は、そんなに嫌いなシリーズではないのです。
あと、特撮は凄かったしね。

で、劇場版。


やっぱしか!
やっぱし、いい感じのSFセンスのアイデアを、ベタなヒューマンドラマで潰すのか!


つか、今時
「軍事産業の社長のパパが、忙しくてかまってくれないから、パパがこっそり研究しているデビルガンダム細胞で、怪獣になっちゃえ!大人は汚い!だから霞ヶ関の国会議事堂を壊します」
なんて、やる?


でも特撮は凄いんだ。
あたし、悔しい!
国会議事堂も大破壊するし!
 

あと脚本が中野貴雄さんだからか、ギャグがゲラゲラでした。


「子供は、あっという間に大きくなりますから」「身長50メートルになるとは思わないですよ!」とか。
ゲント隊長が、ブレーザーの悪口を言うたび、ポケットの中のブレーザーストーン(変身アイテム)が熱くなって「あっつ!」というテンドンギャグとか、劇場で声出して笑いました。


意識高い系を狙って滑っている!
なのに嫌いになれない!
それがウルトラマンブレーザー!


あと、幼体と称して、人間大の怪獣がワラワラでる「エイリアン2」みたいな感じも良かったです。


嫌いになれない!
それがウルトラマンブレーザー!