その存在を知りませんでしたが、1920年代にアメリカ文学の
名作誕生に大きく関わった編集者の一人にマックスウェル・
パーキンズ(1884-1947年)という人物がいたそうです。
この1920年代後半から30年代にかけては、「ジャズ・エイジ」
(狂騒の20年代)という呼び方もされて、「ジャズ」が先端の
流行音楽となり、享楽的な都市文化が発達した時代であり、
同時に大量消費時代・マスメディアの時代の幕開けでも
あったようです。
ただ、この流れは1929年「世界大恐慌」をきっかけとして
終焉しました。
そうした時代に、編集者・パーキンズは数多くの作家を
見出して文壇へ送り込みました。 たとえば、
○F・スコット・フィッツジェラルド→「グレート・ギャツビー」(1925年)
○アーネスト・ヘミングウェイ→1954年ノーベル文学賞受賞
○トーマス・ウルフ→「天使よ故郷を見よ」(1929年)
本作は、この作家トーマス・ウルフと編集者・パーキンズの
出会いから処女作「天使よ故郷を見よ」を巡っての文学上の格闘
を経て、そしてついには出版に至る姿を描いています。
二人はさらなる大作に取り組みました。
昼夜を問わず執筆に没頭したウルフは第二作「時と川について」
(1935年)を完成させると、~この本をパーキンズに捧げる~との
献辞を付け足しました。
「編集者が表に出るのは控えるべき」をモットーとしていた
パーキンズは、ウルフのこの行為をよしとせず、強く断ったと
されています。(最終的には受け入れた)
本作の副題部分はこのことを示しています。
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「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」 2016年
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監督:マイケル・グランデージ
コリン・ファース/ジュード・ロウ
出演陣がこれまた豪華絢爛で、編集者・パーキンズ役には、
2010年「英国王のスピーチ」(監督:トム・フーパー)
でAW主演男優賞を獲得したコリン・ファース。
対する才能あふれる新進作家トーマス・ウルフ役には、
2003年「コールド マウンテン」(監督:アンソニー・ミンゲラ)
でAW主演男優賞のノミネートを受けたジュード・ロウ。
女優陣は、ウルフのパトロン兼愛人役に
2002年「めぐりあう時間たち」(監督:スティーヴン・ダルドリー)
で、AW主演女優賞に輝いたニコール・キッドマン。
この女優さんは、美形であるだけでなく、この他にも数多の
映画賞を獲得したキャリアを誇っています。
劇作家パーキンズの、劇作家志望の野心家でもある妻役には、
2003年「ミスティック・リバー」(監督:クリント・イーストウッド)
など、これまた数多くの映画賞を獲得しているローラ・リニー。
そこに、作家F・スコット・フィッツジャラルド役で、
1997年「」L.A.コンフィデンシャル」(監督:カーティス・ハンソン)
の刑事役で強烈な印象を残したガイ・ピアースが加わっています。
監督のマイケル・グランデージは、
英国劇壇随一の芸術監督として君臨する存在だそうで、
本作が映画監督のデビュー作になるとのことです。
アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。
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