337「ヴェニスの商人」→ユダヤ人差別 | 映画横丁758番地

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生きているうちに一度は(何度でも)観ておきたい映画について、変幻自在・巧拙緻雑・玉石混淆で書いています。

もちろん、シェークスピア(1564-1616年)の「ヴェニスの商人」を

映画化した作品です。

原作の詳細については知識が不十分ですが、まあ「ユダヤ人の金貸し」

シャイロックに対する、当時の人たちの偏見・反感を描いたものといって

いいのでしょう。

 

キリスト教徒からすれば、キリストを処刑に追いやった「ユダヤ人」と

いうこと自体がすでに偏見の対象であり、その上に、金を貸して

利息を取る「金貸し業」もまた、軽蔑すべきものでした。

つまり、シャイロックは二重の意味で、偏見・軽蔑の対象だった

わけです。

 

この辺の意識は、原作者自身もバッチリ植え付けられていたようで、

「オセロ」では黒人を同情的に描いたさすがのシェイクスピアも、

「ユダヤ人」に対してはそれを脱し切れず、その意味では16世紀と

いう「時代の子」であったとも言えそうです。

 

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 「ヴェニスの商人」  2004年 監督:マイケル・ラドフォード
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アル・パチーノ/ジェレミー・アイアンズ/ジョセフ・ファインズ

 

そうした古典的名作は動きが少ないだけに、役者さんの演技力が

出来を左右するものです。

その点、本作は文句なしの名優が重厚に演じています。

ユダヤ人・シャイロックをアル・パチーノ

アントニオにジェレミー・アイアンズ

どちらもアカデミー主演男優賞を獲得の経験を持った名優です。

 

さらには、バッサーニオ役にジョセフ・ファインズ

この俳優さんも、「恋におちたシェークスピア」(1998年)

「スターリングラード」(2001年)、「マンデラの名もなき看守」(2007年)

などで、渋い演技を披露していることはご存知の通り。

 

 

アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。
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