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回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

蒸し暑さがまとわりつく初夏の夜。
ただ呑んでいただけのヒッチコックのカウンターに、
突然“スター”が降臨した。
金髪にサングラス、革ジャンに革パン。
場違いにもほどがあるその男──アッキョ。
この夜、俺たちはまたしても“キング☆アッキョ”の伝説を目撃することになる。

 

蒸し暑さが本格的になり始めた初夏の夜。
エーイチとヒッチコックで呑んでいると、
あの馬鹿野郎がやって来た。
金髪、サングラス、黒光りする革ジャンに革パン。
店の扉を開けた瞬間、場違いな“スター”が登場したかと思ったら──
アッキョだった。


「なんだそのカッコは! ぎゃはは」


聞けば今、アッキョはいわゆる“モテ期”らしい。
若い女ができたって得意満面で、
仲むつまじく写るツーショット写真を見せびらかしてくる。


それがまた本当にイイ女で、
正直、羨ましいというか、腹立たしいというか。
でも話を聞いてると、やっぱりなと思う。


イイ女を繋ぎ止めるには金だよ、金。
いい歳してフリーターのアッキョには、
その金を工面するのが本当に大変なんだろう。


来る日も来る日も、早朝から深夜までバイト、バイト。
もうゲッソリ痩せちまって、頬はこけ、目はショボショボ窪んでる。
汗水流して稼いだわずかな金は、
全部、彼女とのペアのアクセサリーやらバッグやら財布やら携帯やらに化けてる。
可哀相というか、なんというか。

 

▼アッキョの携帯(ナルシスト全開)

 

そんでよ、アッキョの野郎め、
俺の安っぽいピアスやネックレスを指差しては、


「君の安物と違うんだよ。
君もブルガリぐらい身につけられないようじゃ、どーしょーもないね」

 

なんてぬかしやがる。
この阿呆が。


俺やエーイチからすれば阿呆の極みなんだけど、
若いフリーター連中ばかりのバイト先では、
それが羨望の眼差しらしい。
馬鹿も極めれば大したもんで、
連中の間では“キング”と呼ばれてるんだと。


キング☆アッキョ☆万歳。


そんだけ。

▼金髪に革ジャンのキング☆アッキョ


【オマケな話】
俺「おいアッキョ、そんな革ジャン着てちゃ暑いだろ。脱げばいいじゃん」
アッキョ「君わかってないな。真のスターには“暑い”って言葉は無いんだよ。いつでもクール」
エーイチ「君もアッキョの家の蒸し暑さ知ってるだろ。あんな灼熱の中で暮らしてるんだから、革ジャン着たぐらい涼しいもんだよ」
──そういうことだったのか。