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回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

エーイチ、アッキョ、タケシ、そして俺。


4人組で過ごした5年間は、
また少しだけ青春が戻ってきたような時間だった。
4人して、高校の頃みたいにバカ話をして笑っていた。


50オヤジの青春そのものだった。


でも——
あの夜の“崩壊”を境に、
4人組の形は音もなく崩れ落ち、
エーイチはふっと姿を消した。


フェードアウトしたわけじゃない。
喧嘩したわけでもない。


ただ、あの日を境に、
少しずつ距離を置くようになっていった。


そしていつの頃からか、
エーイチから連絡が来なくなった。
うちにも寄らなくなった。


そして1年が経過しようとしていた。


どうしたものかと思い、
ある日、俺のほうから電話をした。


理由は聞いた。
でもそれは、俺とエーイチだけの話でいい。


電話を切る前に、
エーイチがぽつりと言った。


「生きてりゃ、そのうちまた会うこともあるだろう」
「その時までお互い元気に長生きしようぜ」

 

あいつらしい、
強がりとも優しさともつかない言葉だった。


あいつはどこかへ旅に出たんだと思う。
昔からそういう男だった。
突然現れて、突然いなくなる。
でも、必ずどこかで生きている。
そんな気がしてならない。


青春の終わりと同じで、
大きな音なんて立てない。
気づいたときには、
もうずっと前に幕が下りていた。


エーイチの旅は、
1年で終わるのか、2年なのか、
5年なのか、10年なのか——
俺にはわからない。
エーイチ自身にだって、
きっとわからないんだと思う。

 

 

 


あれから10年。


気づけば俺たちは60歳になった。

 


エーイチの旅は、
まだ続いている。


そして俺たちの青春もまた、
どこかでまだ、
静かに続いているのかもしれない。


果てどなく