残像|番外編|ジンとの遭遇 | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

過去の残像を追いかけていたら、思わぬところで“本物”に出会った。
25年前の暴力教師──ジン。
あの日の再会は、残像の続きにふさわしい番外編だった。


あの頃、何かと言うと理不尽にぶん殴ってきた暴力教師──ジン。
高校時代編では何度も登場する“あのジン”だ。
当時はそりゃ恨んだし、根にも持った。
でも気づけばもう25年。
風のウワサじゃまだ現役で教師をしているらしい。
懐かしいような、会ってみたいような、そんな気持ちになっていた。

 

画像はイメージです(ジンとにらみ合う俺)


そんな折、我が母校の野球部が夏の甲子園出場を賭けて、マリンスタジアムの決勝戦へ。
仕事も休みで暇だったので、ふらっと球場へ向かった。


「誰か知ってる奴いねーかなー」


スタンドをフラフラ歩いていると──いた。ジンだ。
25年経ってそれなりに老けてはいたが、
ポケットに手を突っ込み、肩を怒らせ、鋭い眼光で辺りを見回しながら歩く姿は、
昔とまったく変わらねぇ。


「ジン先生!」


迷わず声をかけた。
教師やってりゃこういう声かけは日常なんだろう、驚きもせず落ち着いた口調で、


「そーだが」


と返すジン。

 

俺にとっては“一人の先生”だけど、
ジンにすれば何千人も送り出してきた卒業生の一人にすぎない。
名乗ったってわかるわけねぇよな……と思いつつ、


「フチ〇〇です、わかりますか!?」
と聞いてみたら、


「わかるよ」
だってさ。


なんか嬉しかったねぇ(恥ずかしいけど)。
よく考えれば、そりゃ覚えてるはずだ。


入学1ヶ月で退学者1名、停学4名を出した“問題クラス”。
学長に「前代未聞だ!」と怒鳴られたあの事件の当事者の一人だもんな。
印象に残ってたんだろう。


ジン「フチ〇〇君か、ウワサには聞いてるよ」
俺「……??」
ジン「まさか君がそんなコトしてるとは思わなかったよ」


えっ……まさか……
このサイトで好き勝手にジンの悪口書いてるの、バレてるとか!?
焦って話題を変える。


俺「あっ、まーそーなんですよ。せっ、先生はまだ現役なんですか?」


そんなこんなでしばらく会話し、最後は握手して別れた。
それだけの話なんだけど、なんか胸に残った。

 

画像はイメージです

 

【PS】
人の縁って面白い。
昔よく通ってたスポーツ用品店の店主と世間話してたら、
店主の息子が俺の母校の生徒だとわかった。
「じゃあ、ジン、知ってる?」と聞いたら、
息子の部活の顧問が仁だという。
店主は部活のサポートに熱心で、ジンとはしょっちゅう会っていたらしい。
そのときに俺の話題が出たようで、
俺の情報がちょこちょこ仁に伝わっていた──というのが真相。