青春時代の果てに④やられたっ | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

エーイチとアッキョと家呑みだけのつもりだった。
なのに気づけば、俺は顔を腫らして帰ってきた。
あの夜の出来事は、今思えば青春の“痛い授業料”だったんだよな。

 

仕事を終えて家に帰り、部屋の電気を点けた瞬間、
ベランダの窓をドンドン叩く音がした。
見るとエーイチとアッキョ。
ここマンションの2階だぞ。
よじ登ってるところ誰かに見られたら通報されるって。


「いやー、どこか窓開いてないかと思ってよ」
「したら全部閉まってんじゃん」
「降りるの危ねぇだろ」
「1時間も待ってたんだぞ」


ほんと、いい年してお馬鹿さん。無茶しやがる。
そのまま車で酒の買い出しに行ったんだけど、


エーイチが

「戻る前に行きたいところがある」って言い出した。


連れて行かれたのは、市川港の倉庫街。
 

昔働いてたらしくて

「ワン公どもに会いたくなってさ」なんだって。


倉庫の敷地内に可愛がってた犬がいるらしい。
エーイチはひょいっと門を越えて中へ。


俺とアッキョは外で待ってたんだけど、
しばらくすると中から何やら揉めてる声が聞こえてきた。

しょうがないから様子を見に入ったら、
エーイチが倉庫の連中に囲まれて、
いきなり殴られてるとこだった。


エーイチも引かない、必殺技炸裂。

ポケットからハーモニカを取り出し殴りつけてやんの。

 

そうなるとあっという間にヒートアップ。
最初は一対一みたいな雰囲気だったのに、
そのうち周りの連中も加わってエーイチが袋叩きになる。


エーイチがやられてるのを黙って見てるわけにもいかない。
こうなったらしょうがない、俺とアッキョも加勢したけど、
多勢に無勢ってやつで、
気づけば俺もアッキョも散々な目に遭っていた。


服は破けるし、顔は腫れるし、血は出るし、
ボコボコだよ、いやもう、完全にやられた。


家に戻って自棄酒。


「畜生、仕返しに行ってやる」
「今度はフクちゃん連れて行くべ」


まったくもって不毛な会話。

 

翌日、顔を腫らしたまま出社。
そりゃ誰が見てもわかるよな。
“ああ、喧嘩だよな”って。
アホだと思われただろうな。わはは。


いい年して情けない。
でも、あれも確かに青春のひとコマだったんだよな。

 

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