高校時代編は一度締めたつもりだったけど、どうしても書き残した話があった。
記憶の底に沈んでいたエピソードが、ふとした拍子に浮かび上がってきたのだ。
これはそんな“抜け落ちていた記憶”たちの話。
高校1年の頃、
エーイチは幕張から西千葉の学校まで、毎日自転車で通っていた。
もちろん学校は自転車通学禁止。
見つかれば停学だの学長訓告だの、面倒ごとになるのは目に見えている。
なのにエーイチは平然と“もぐり”で走っていた。
理由は単純で、
通学定期代を最初から小遣いとして使い込んでいたからだ。
当時の高校生なら誰でも一度は考える裏技だけど、
実際にやるやつは少ない。
でもエーイチは迷わずやるタイプだった。
そんなある日、放課後にエーイチの家へ遊びに行くことになった。
「俺、自転車だからさ。後ろ乗ってけよ」
深く考えずに荷台にまたがったのが、今思えば間違いだった。
西千葉から稲毛、新検見川、幕張へと抜ける最短ルートは、
道が狭いうえにアップダウンが激しい。
登り坂ではエーイチが立ちこぎを始めるたび、
振り落とされないように必死で荷台にしがみついた。
そして下り坂。
エーイチはノーブレーキで突っ込んでいく。
風を切るというより、風に殴られているようなスピード。
もし転んだら二人ともただでは済まない。
生きた心地がしなかった。
あの時、
エーイチの無鉄砲さと、どこか底知れない怖さを
初めてはっきり感じた。
それ以来、
エーイチの自転車の荷台に乗ることは二度となかった。
そんだけ(笑)
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