第37回:ミサの寝息と眠れぬ夜 | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

バイト帰り、ロイホで語らう4人。
その夜、俺のアパートで布団を分け合った。
笑いとざわめきと、ほんの少しのときめきが混ざった、
甘酸っぱい夜の記憶。

 

バイトのシフトで、フジモンと女子大生のヒトミ、
それに同学年の女子高生ミサと一緒になることが多かった。

バイトが終わると、よく4人でロイヤルホストに行って、
コーヒーをすすりながら夜遅くまで他愛もない話をしていた。


そんなある日のこと、
「じゃあ、俺のアパートに行こうよ」という流れになった。
4人でちょっとだけ酒を飲みながらおしゃべりしていたんだけど、
そのうち「そろそろ寝ようか」という話になった。
俺の部屋には布団が一組しかない。
敷布団とマットレス、掛布団と毛布に分けて二組にし、
フジモンはヒトミと、
俺はミサと同じ布団に入った。


電気を消して真っ暗になってしばらくすると、
「フジモン、ダメだよ。みんないるんだから」
とヒトミの声が聞こえてきた。
「ああ、フジモンめ。ヒトミにちょっかい出してるな」
と俺もミサも思わずクスッと笑った。


その笑いのせいか、
二人ともどこか妙な空気になり、
俺がそっとミサの手を握ると、
ぎゅっと握り返してきた。
自然と唇が触れた。
けれど、調子に乗って手を動かすと、
「ダメだよ。それ以上変なことするなら帰るよ」
とミサがぴしゃり。
そこで終了。

 

しばらくすると、ミサはかわいい寝息を立ててすやすや眠ってしまった。
俺はその隣で、胸の奥がざわざわしたまま、
眠れぬ夜を過ごした。


甘酸っぱい青春の一ページだった。

 

画像はイメージです