第36回:フジモンと250ccと、夜の港 | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

ロッテリアのバイト帰り、
ふざけた後輩と無免許バイクで夜の港へ向かった。
若さって、危なっかしくて、でもどうしようもなく楽しい。

 

ロッテリアのバイト仲間に、フジモンというかなりふざけた奴がいた。
一つ年下なんだけど、なぜか妙になついてきて、いつも俺の後ろをついて回っていた。
フジモンは250ccのバイクでバイトに通っていた。
話を聞くと、ロッテリアに来る前は、バイクを買うために時給のいい肉体労働をしていたらしい。
やっとの思いで念願のバイクを手に入れたので、きつい仕事はやめてロッテリアに流れてきた、というわけだ。


ところが、実はフジモンは免許を持っていなかった。
すでに無免許運転で捕まったことがあり、将来もし免許を取っても、いきなり免停からスタートになるんだと、へらへら笑いながら話す。
そんな馬鹿げた話を笑って言うような奴とは普通なら距離を置くところなんだけど、俺も若かったし、つい面白がってしまった。


ある日のバイト後、
「俺もそれ乗ってみたいな」と言ったら、
「いいっすよ、乗ってみますか」とフジモンが言う。
そのままフジモンのバイクの後ろに乗って、船橋港まで行った。
そこでフジモンに手ほどきを受けて、バイクを運転させてもらった。


今思えば、危なっかしいことをしていたよなと思う。
でも、あの頃の俺たちは、そんなことを深く考える余裕もなくて、
ただ夜風の中を走るだけで楽しかった。

 

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