第2回:さっそく洗礼 | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

入学して三日目の昼休みのこと。

建築科の不良どもがやってきた。

 

「おっ、いたぜ、こいつだよ」

 

いきなり胸ぐらをつかまれて、廊下に引きずり出された。

その野郎曰く──「さっきガンくれただろ」。

おい、おい、おい。さっきはねぇだろ。

気に入らなきゃその場でかかってくりゃいいのによ。

わざわざ仲間を引き連れてくるなんて、情けない奴だ。

 

しかしまあ、そんな理不尽は当たり前の世界だった。

5、6人に囲まれてボコボコ──いわゆる袋叩きにあったんだ。

参ったよ。

 

「ああ、この糞がっ、いつまでやってるんだ、こん畜生め」

 

耐え忍んでいると、マンドウ君が登場。

 

「俺に免じて、それぐらいで勘弁してやってくれ」

「お前も詫び入れて、誠意見せろ」

 

……くう~、かっこいいね。

なんて思うわけねーじゃん。こいつらアホだ、馬鹿野郎だ。

そうは思いつつも、詫びを入れて解放されたのでした。

ちゃんちゃん。

 

でも、マンドウ君、ありがとね。

 

画像はイメージです