空のブログ[銀小説]

初めまして(^-^)

空のブログ[銀小説]の管理人こと蛭田空です。

今回はこんなブログにお越しいただきありがとうございます><


このブログは管理人の妄想×駄文で出来た銀魂夢小説です。

銀魂、夢小説が苦手な方、中傷目的で来られた方などは

観覧をご遠慮いただきますよう、お願い申しあげます。


そして、リクを全般的に受け付けておりません

まことに私事ですが、多忙なスケジュールでリクが消化しきれていないので、

リクの方をお休みさせていただいておりますことを、ご了承ください。


読者様の誕生日をお祝いする気持ちを込めて、

誕生日小説と言う形でのリクは受け付けておりますが、


・誕生日の2~3週間前後の方(数日のズレは大丈夫です)

・誕生日前にリクを受けても誕生日を1ヶ月ほど過ぎる可能性あり

・小説の内容が誕生日の内容でない(どうしても誕生日の内容がいい方はご相談ください)


以上のことをご了承の方のみ受け付けております。



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↑↑よろしかったら押してください(貼りすぎ。


そして、皆様との輪を広げていきたく蛭田空によるグルっぽ

銀魂+アニメ諸々好き☆大集合 なんて言うことやっちゃってますww

ご興味を少しでももって下さればよろしくお願いします(なんか日本語変w

最近過疎り気味なので「盛り上げてやるZE」って方も募集中ですw

ちなみにほとんど管理人は顔を出していませんwww


では、蛭田空による夢の島へどうぞです(なにが夢の島だ

Amebaでブログを始めよう!
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エンタングル(逆ハー,3年Z組:最終話)

第10話 あとちょっとで終わるこの話・・・・

まだ10話くらいしか書いてないのにとてつもない月日が流れてしまいました・・・。

やっぱ学生の時とは違ってなかなかヒマができないですね><

では、さくっと本題の方へ参りましょうッどうぞ!!


日が伸びてきて、外はまだまだ明るい

生ぬるい空気が大きく息を吸い込むと、肺へと送り込まれた

緊張と、走っているせいで息が大きく切れる


「はぁ・・・・はぁ・・・・」


約束の場所につくと、お目当ての彼の姿が見えず辺りときょろきょろと見渡す


(・・・・あれ?)


額の汗を素手で拭い、彼を探して一歩歩き出した

すると、いきなり横から手を握られ、端っ子のトイレの裏へと引き込まれた

漆黒の髪色に、すらっと伸びた手、嗅ぎなれた煙草のにおいにちょっと安心してしまう


「十四郎・・・?」


トイレの裏に連れ込まれ、一瞬あたしと目を合わせたかともうとぎゅうっと抱きしめられた


「こねェかと思ってた・・・」

「・・・・。試したでしょ?あたしを」

「悪ィ。でもそうでもしなきゃ、心が落ち着かなくてよ」


十四郎は強く、強くあたしのことを抱きしめた

あたしも十四郎の背中に腕をまわし彼のことを強く抱き返す

懐かしい感覚に、懐かしいこの体温、それらがあたしの心をトクンと動かす

だが、十四郎の肩に顔をうずめてから、彼のことを優しく引き離した

十四郎はあたしの名前を小さく呼んで、不思議そうにこちらに視線を送る


「十四郎、大事な話しよう」

「なんだよ」

「・・・あたし」


口の中がからからに乾き、視線さえも定まらなくなってきた

だが、一度深呼吸をしてから、十四郎のことをちゃんと見つめた


「十四郎とは付き合えない。ここに来たのは、ちゃんと、そのことを言いたかったから」


2度も十四郎を振るなんて考えてもなかった

彼はあたしにとって完璧すぎて、理想で、あたしのことをちゃんと想っていてくれてたはずなのに・・・・


「なんでだよ」

「十四郎のこと、今でも好き。でも・・・」


十四郎と一緒にいるとドキドキして、苦しくて、また前みたいに戻れたらなって思う

でも、十四郎といるとなぜか沖田のことがフラッシュバックして、さらに胸がぎゅうっと痛くなる

逆に沖田といる時もドキドキして、苦しくて、ついつい彼に見とれてしまう

以前は十四郎のことも思い出していたが、最近は・・・沖田のことばかり・・・・


「きっと沖田の方が・・・好き・・・なんだと思う」


こんなホイホイ好きな人を変えて、十四郎は振り回されて、本当に申し訳ない

でも・・・だからこそ、嫌われてもいいから、ちゃんと伝えたかった

あなた以上に好きな人ができました、と・・・・

あたしは怖くて、十四郎の顔がみれなくて、地面に生えている草ばかりを見つめていた

なんか言ってほしい、と言う気持ちと、怖いから何も聞きたくない、と言う気持ちがぐるぐると混ざり合う


「・・・・とうしろ」


沈黙に耐えきれず名前を呼ぼうとすると、いきなりぎゅうっと抱き寄せられた

どこかに言ってしまわないように、と思ってくれているのか、強い強い抱擁だった


「俺にしちまえよ」

「・・・・・」

「嫌な思いなんざ、させねぇからよ」


胸がとても苦しい・・・・

こんなに思ってくれる十四郎を振ることも、あんなに大好きな十四郎があたしを想ってくれてることも

胸が苦しくて、潰れてしまいそうな感覚だ・・・・

あたしは、最後に一度だけ十四郎のことを抱き返した


「ごめん・・・。行かせて」


自分でもわかるくらい震えた声だった

十四郎は、数秒待ってからあたしのことをゆっくりと離した


「総悟に・・・」

「ん?」

「総悟にもしなんかされたら言えよ」

「・・・・十四郎」


十四郎はあたしから離れ、木にもたれかかってから煙草に火をつけた

そして紫煙をまき散らしてからあたしの方に視線を送る


「おら、行ってこい」

「・・・うん。行ってくる!」


十四郎の前を通り、沖田から指定された赤い橋の下まで走った

煙草のにおいだけと十四郎のぬくもりが、まだ記憶の中に残っている

ありがとう、十四郎・・・。

本当に大好きだった


―・・・


橋の下に着くと沖田は地面に座り川に小石を投げていた

沖田はあたしの方を見ると、遅ェ、と一言だけ言ってきた


「ごめん」


あたしもなんとなく沖田の隣に座り、近くにあった小石を投げた


「アンタのことだからどうせ土方さんのとこにでも行ってたんでしょう」

「うん。お別れ言ってきた」

「わざわざですかィ?」

「何も言わないで今の状況を終わらせるなんて、できないから」


興味がないことなのか、沖田はふーん、と言ってその会話を終わらせた


「で、俺には何言いに来たんでィ?」

「なにって・・・。沖田が呼んだんじゃない」

「それもそうでしたねィ」


沖田は最後に小石を投げ込んでから、やっとあたしに顔を向けた


「俺ァ、言葉で語るのは苦手なんでねィ。態度で示しまさァ」

「態度?・・・きゃ」


いきなり腕を引っ張られて沖田の方に抱きつくような感じになってしまった

沖田はあたしの背中に腕をまわして、あたしを受け止めた

沖田のにおいが肺にたっぷりと入って、ちょっと息が苦しくなる


「既に土方の野郎が手ェだしたって思うだけで腹が立つ」

「む、昔の話だし・・・・」

「そうですねィ。ま、どうせ俺色に染めてやりまさァ」


沖田はそう言ってからあたしの頭をグッと自分の方に引き寄せた

そして重なる唇と唇・・・・

そのキスは一瞬ではなくて、とても長く感じるキスだった


―・・・


沖田の机に朝作ってきたお弁当をドン、と置いた


「飲み物は自分で買ってね」


それだけ言ってからあたしは自分の席に着く

沖田はあたしが作ったお弁当を鞄に閉まってから携帯の画面を見せてきた


「なに?」

「これ、行きやせん?」

「あー、これテレビでやってたやつじゃん。でもちょー並ぶらしいよ?」


見せてきたのは駅の近くにできたというカフェだった

パンケーキやワッフルなど甘いものはもちろん、サンドウィッチやフライものなどもおいしいらしく、女性だけではなく男性にも人気が高いんだとか


「放課後行ってみてさ、混んでたら違うとこ行く?」

「まぁ、それでもいいですけどねィ」

「じゃー、決まり!昼休みに化粧しよーっと」


放課後デートが決まりルンルンでロッカーから持ってきた、今日の授業で使う教科書を机の中に入れた

すると、十四郎がちょっと眠そうに教室に入ってくる


「おはよう、眠そうだね」

「まぁな」


そういえばさ、と十四郎に話題をもちかけると、沖田はちょっとおもしろくないようであたしと十四郎の間に割って入ってきた

その光景がちょっとおもしろくて思わず笑いがこぼれてしまった

ぐるぐるにほつれてしまっていた3本の糸

今はほつれがとれて、ちゃんとみんなまっすぐにのびているだろうか

きっと伸びてるよ、なんて思ってしまったのは以前よりも幸せだと思えたから。





にほんブログ村 ↑↑もっと長くなるかと思ってましたがまさかの11話目で終了!!!そして最後はなかなか速足で終わってしまいました・・・。すみません。最後にエピローグ書きます!!是非見に来てくださいッではポチリお願いしますッ

エンタングル(逆ハー,3年Z組:第10話)

第9話 の続きになりますッ!!本当に更新が遅くて申し訳ないです・・・

もうこの長篇が終わったら少しの間休止しようかな、なんて考えてる空です・・・。

とりあえずこの長篇、大いに盛り上げていきますよっ!どうぞ


「え?ノート?」

「おう、見せてくれィ」

「いーよ、ちょっと待ってね」


沖田に数学のノートを見せてくれ、と言われてロッカーまでノートを取りに行く

大方居眠りでもしていてノートをとってなかったのだろう


(あれ、ないな)


なんでも詰め込んでしまうあたしのロッカーの中は、満員電車のようにキュウキュウに物が詰まっている

無理矢理手を物の間にねじ込みノートを探していると、バサバサと教科書やらノートやらが床に落ちてしまった


「あーあ・・・もう」


自分に呆れる声とため息とが一緒に口から洩れた

すると、沖田が床に落ちたそれらを拾ってロッカーの棚の上にドサッと置いた


「アンタ入れ過ぎなんでィ」

「ついつい・・・」


苦笑をしながらノートを引っ張りだすと、神楽に落書きされまくった数学のノートが出てきた


「あった。はい、これ・・・・」


振り返りながら渡そうとすると、すぐ後ろに沖田が立っていて言葉が詰まった

腕をまわせば抱きつけるほどの距離に、一気に鼓動が高鳴る

言葉が出なくて、至近距離でなぜかお互い見つめ合ってしまった

そのあたしの反応を楽しんでか、沖田がニヤリと口角をあげてもう一歩あたしの方に距離を詰めた


「意識してんのか?」

「ちがっ・・・!!もお、どいて!」


沖田のことを押しのけて、ノートを無理矢理渡してから逃げるように小走りでその場を後にした

図星だった・・・やけに沖田のことを意識して・・・・図星だよ


「きゃ」

「うわっ」


廊下を走っていると、教室から出てきた誰かとぶつかってしまった

どしん、と床に尻もちをつけば、制服を挟んでヒンヤリトした温度が伝わってくる

鈍い痛みを我慢していると、ぶつかった相手があたしの方に手を差し伸べてきた


「ったく、廊下走ってんじゃねェよ」

「なんだ、十四郎か」


その手につかまり立ちあがってから、制服のスカートをぽんぽんと払った

十四郎の手は温かくて、とても落ち着く


「あ、ちょっと動くなよ」

「え?」

「一回、目潰れ」

「う、うん」


十四郎は、あたしの顔に手を伸ばし、まつ毛の辺りをサラッと優しく触れた

目の近くに触れるからか、緊張しているのか、心無しだが彼の手が震えているような気がした

触れられたとこからジンワリと熱くなって、同時にトクンと心臓が揺れる


「埃、ついてたぞ」

「うん、ありが・・・・」


目を開けると、目と鼻の先に十四郎の顔があって言葉が詰まるのと同時に顔が一気に赤くなってしまった

あたしと十四郎はお互いちょっと距離をとってから、照れ隠しで笑いあった


「恥ずかしい・・・」


顔に手を当てながらそう言うと、十四郎があたしの指に指を絡めてきた

あたしはその手に導かれるように、さっき広げた距離を縮め、2人で壁に寄りかかった


「学校じゃなかったら、続きしてやったのにな」

「え?」


いつもなら顔を赤くしてるくせに、唇を歪ませて、いつも見せない表情であたしの心をかき乱した

面白いくらいに上がって行く体温に耐えられなくなり、絡ませ合っていた手を自分からほどく


「あ、あたし、自販機にジュース買いに行ってくる」

「俺も行く」

「だめ!一人で行くの!」


また逃げるように十四郎の前から走り去って、彼のことを置いてきた

変だ・・・。最近のあたしは変すぎる・・・・。


―・・・


(てゆーかあたし・・・・沖田と見つめ合ったり、十四郎と手ェつないだり・・・。恋人じゃないのに何してんだ)


時は過ぎ、もう時間は4時半であたしはもう帰宅して自分の部屋にいる

毎日毎日学校であった事を思い出す度、自分の部屋で赤面している日々が続いている


『アンタ、俺と付き合いやせん?』

『より戻さねぇか?俺達』


二人から言われた言葉がぐるぐる頭の中でリピートされている

あんなにかっこいい男子2人から想われているなんて、とても幸せなことだ

でも、今の状況のまま、2人とも付き合ってないのに仲良しなんて、そんな状況のままずるずるいくなんて、ひどい話だよな・・・

ボフン、とベットにねっ転がり、近くにあったぬいぐるみを2つ抱きしめた

付き合っていた当初、十四郎があたしに買ってくれたぬいぐるみと、

前沖田と遊んだ時にゲーセンでとってくれたぬいぐるみ・・・。


「・・・・・」


二つを見つめて、あたしはまた両方抱きしめた


―・・・


【ここからは第3者目線です】


「土方さん、ちょっと時間いいですかィ?」


そう呼びとめた沖田は、土方のことを学校近くの公園へと呼び出した

今も想いを寄せている元恋人と、下校途中に数度立ち寄ったことのある公園だった


「なんだよ」


沖田とは一緒に下校することがほとんどだが、こうやって呼び止められることはそうそうなかった

公園の遊具の鉄棒に寄りかかり、足元にあった石を蹴る様子を見ると、土方は少し機嫌がよくないようだ


「アンタも、思ってるんでしょ?アイツは今俺と土方さんの間に挟まれてる」

「だったらなんだよ」

「惚れた女に他の男が寄りついて、いいと思う男なんていねェでしょ」

「はっきり言ったらどうなんだよ。『アイツから手ェ引け』ってな」


土方は迫力のある視線で沖田のことをにらむが、沖田はその視線にひるむことはない

逆のその視線が気に入らないのか、沖田の機嫌は悪くなるばかりだ


「そう言ったところで、引く気なんてねぇんでしょ?」

「あたりめぇだろ」

「一回手放しといて、随分都合のいい話じゃねぇですかィ」


あざ笑うかのように土方に言ってやれば、土方のライバル心に火がつく


「お前ェに関係ねぇだろ」

「そうですねィ。どっちにせよ今度は俺がアイツもらう気なんで」

「・・・・笑えない冗談だな」


沖田は制服のポケットから携帯を取り出し、それをいじりだした


「そろそろこの状況も終わらせていいんじゃねぇですかィ?」

「どうやってだよ?どっちかが手ェ引かなきゃ無理だろ」

「アイツに決めてもらうんでィ」


携帯で、ずっと話題に上がっている彼女のアドレス帳を取り出し、土方に見せる


「それぞれ同時に、アイツを別々のの場所に呼び出すんでさァ。それでアイツが来なかったやつは、素直に手ェ引くってことで」

「それじゃアイツを試してるようなもんじゃねぇか」

「試してるんでさァ。こうでもしねェと、この状況はいつまでたっても変わらねェ」


土方は少しためらい、数秒悩むように眉間にしわを寄せた

その間、蝉の鳴く声だけが2人の間に流れ、少しの時間が流れた


「分かった」

「意外ですねィ。絶対反対されるかと思ってやしたが・・・。自信があるからってことなんですかィ?」

「勘違いするな。自信があるわけでも、お前の案に乗ったわけでもねェ」


いつもの鋭い視線が沖田に向けられた

きっとその視線には嫉妬の心も混じっているだろう


「俺ァ、ただ確かめてぇだけだよ。アイツの本心を」


意味深に土方は答えるも、沖田は深くつっこまず、ふーん、とだけ返していた

自分のことだけ考えているのだろう


「じゃぁ、土方さんはこの公園で、俺はあっちにある赤い橋の下にでも呼び出しまさァ。時間は・・・5時くらいでいいですかねィ」

「何で橋の下なんだよ?思い出でもあんのか?」

「別になにもありやせんが、ひとけが無い方がいいじゃねぇですかィ」


ニヤリと口角をあげながら、片手をあげてその場を立ち去って行く沖田

その意味深な発言に呼びとめて説教しようと思ったが、伸ばしかけた手が止まった

止めたところで、もし彼女が沖田の方へ行ってしまえば、彼女はもう沖田の女になるも同然

自分が止める権利なんて、無いに等しいのだから・・・・


―・・・


台所に置いてあった蒸しパンケーキを食べ、録画していたドラマを一気見していると携帯が震えた

2件メールが入っていて、どうせメルマガだろうと軽い気持ちで開けると十四郎と沖田から1件ずつ入っていた


【十四郎】

2人でよく寄った公園にいる。きてほしい


【沖田】

アンタの家の近くの赤い橋の下にいるから来なせェ


「・・・・え?」


2人からの呼び出しメールにびっくりして手から蒸しパンを落としそうになってしまったほどだ

あたしは蒸しパンをお皿の上に置き、もう一度2人のメールを読み返した


「これって・・・・」


(絶対どっちにくるかって・・・試されてるよね・・・・)


だってこう言う場面、前ドラマでみたことあるもん・・・

でも、こうでもしないとあたしの気持ちが固まらず、もやもやした気持ちで過ごしてしまう

あたしはぼろぼろのTシャツに、ラフな布地のショートパンツから、カジュアルなTシャツとダメージのはいったショーパンに着替えた

サンダルのストラップをとめる手が、緊張のせいからかちょっとだけ震える


(ここでけじめつけろ、あたし・・・)


深呼吸をして生温かい空気をいっぱい肺に送り込んだ

携帯と鍵とお財布だけ持って、待ち合わせ場所へと速足で出かけた




にほんブログ村 ランキング4位に浮上中!!!!ホントこんな腐れブログにありがとうございます><あぁ、もう嬉しくて涙・・・!!さて、ヒロインちゃんはどっちに行くのかな!!?あー、早く続き書きたいッ!では、ポチリお願いしますッ

エンタングル(逆ハー,3年Z組:第9話)

第8話 の続きになりますッ!!また前回から間が開いてしまったァアアァァァァアアァ!!!!

本当にすみませんッ!!もうあたしはクソ野郎です!できそこないですゥウウゥウウ!!!!

でも、今はちょー盛り上がってるとこなのでッ気合い入れていきますよー!どうぞ


ドアを開けると冷房で冷やされた空気が外に逃げるようにあたしたちにふわっとかかった

急いでドアを閉めれば、奥から店員さんが出て来てくれてあたしたちを席へと案内してくれる


「久しぶりにここのファミレス来た」


席に座りながら言えば、十四郎は、そうか、と小さな返事を返してくれた

メニューを開いて何を頼もうか悩むふりをして、ちょっとだけ十四郎の顔を盗み見した

相変わらず整った顔立ちに、通路を挟んで隣に座っている女子高生たちもチラチラとこっちを見ている


(十四郎・・・・いきなりなんだろう・・・・?)


校門であたしのことを待っててくれた十四郎は、あたしの手を引っ張って歩き出した


『十四郎?』

『ちょっと、時間いいか?』

『う、ん』


そのままこのファミレスにたちより、今に至る状況だ


「決まったか?」

「あ、うん。クリームパスタ食べる。きのこの」


あたしがそう言ってクリームパスタを指差せば、十四郎がフッと鼻で笑った


「なに?」

「それ頼むと思った」


十四郎は口元を歪めてそう言ってから、呼び出しボタンを押した

あたしはさっきの十四郎の顔が頭から離れなくて、彼の顔を見つめたままだ

十四郎は注文を済ませると、ドリンクバーを取りに立ちあがって行ってしまった

目の前から彼がいなくなり、あたしは携帯を開いてメールの確認をする

相変わらずメルマガしか入ってなくて、ちょっと寂しいあたしの携帯だ

すると、コトン、と目の前にオレンジジュースのはいったコップが置かれる


「これでよかったか?」

「うん、ありがとう」


あたしの好みもちゃんと把握してくれてる十四郎は、氷もいっぱい入れて来てくれた

それに口をつければ、オレンジの風味が口いっぱいに広がる


「前・・・」

「ん?」


オレンジジュースから口を離し、十四郎のことをみれば、彼はこっちをまっすぐ見つめていた

あたしもそれにならって、コップをテーブルに置き、十四郎のことを見つめ返す


「前、聞いたよな。『なんで別れようって言ったんだ』って」

「うん」

「その答え、聞かせてくれよ」


緊張で喉がからからになってしまって、さっき置いたジュースをまた口に含んだ

だが、口の中が潤っても、なにも声がでてこない

黙り込んでしまったあたしに、十四郎が小さな声で聞いてくる


「俺のこと、もう好きじゃなくなったのか?」

「違うよ・・・。そんなんじゃ」

「じゃぁ、なんでだよ」


冷たいコップの側面には水滴ができていて、その水滴がコップをもつあたしの手を濡らす

熱くなるあたしの手の熱をを、それが少しだけ冷ましてくれた


「・・・嫌になった。十四郎はあたしのこと好きじゃないんじゃないかって、毎日不安になるのが」

「好きじゃないって、いつ俺が言ったんだよ」

「言ってない。でも、逆に『好き』も『会いたい』も連絡だって、全部あたしからして・・・。あたしばっかり好きな感じがして、不安ばっかり大きくなって」


徐々に徐々にかすれて弱弱しくなっていくあたしの声

十四郎も、何も言わずにあたしの言葉だけを聞いてくれた


「別れようっていったら、もしかしたら十四郎が『いやだ』って、『好きだ』って言ってくれるかなって・・・思ってた」


別れたい、なんて本当は思ってなくて、不安から言ってしまった言葉だった

そこであたしが言葉をとめると、十四郎も黙り込んでしまって沈黙が流れた

アイスコーヒーを口に含んで、数秒待ってから今度は十四郎が口を開く


「お前の好きなようにさせてやりてェと思った。お前が会いたいなら会って、お前が行きたい場所いって、それでお前が喜ぶならって」

「・・・・うん」

「『別れよう』って言われたときだって、お前がそうしたいなら・・・お前が別れたいなら別れたほうがいいんだろうって思ってよ」

「うん」


十四郎はそれからまたちょっとの間黙って、あたしのことをじっと見つめてきた

付き合ってた頃と何一つ変わらない、あたしが好きな瞳だった

十四郎は顔をみるみる赤くして、一瞬目をそらしたが、またあたしのことを見た


「その・・・・俺、お前の好きなようにさせてやりたくて・・・」

「それさっき聞いた」

「だから・・・・俺」


結果的には顔全体が赤くなってまただまり、ぎゅうっと拳を強く握りしめていた

十四郎は何が言いたげにしては、口を閉じ、またちょっと口を開けては閉じ、を繰り返す

今ここで十四郎の答えを聞かなきゃ損する、そう思ってあたしは「なに?」と彼の言葉を催促した


「だから・・・!俺、お前に、惚れてっから。惚れた女がしてぇこと、さしてやりてぇって思うだろ」


耳まで赤くして言ってくれた、必死な必死な十四郎の答え

それを聞いた瞬間涙で視界がちょっとだけかすんだ


「いつから?」

「は?」

「いつから好きだったの?あたしのこと・・・・」

「付き合う前から」

「うそ・・・・」


付き合ってるときは本当にクールで、あたしのこと好きなのかな、って何度も何度も不安になって

キスもしたし、スキって1,2回は言ってくれたし、でも、本当はどうなんだろう・・・・

そんな風に何度も悩んでたのに・・・・別れて、今になってやっと確認するなんて


(馬鹿すぎる・・・・)


すると、丁度そこに料理が運ばれてきて、コトン、と目の前にパスタが置かれた

湯気が立っていて、クリームのにおいが空腹をより刺激させる

店員さんが下がって、あたしと十四郎はなんとなくどちらも動かず黙っている


「食うか」

「うん」


やっとそこでお互い動き出し、パスタに口をつけた


「なぁ」

「ん?」

「もし・・・・」

「うん」


まだ大事な離しなんだろう、とフォークとスプーンをお皿の上に置くと、十四郎があたしのことを見つめる

テーブル一つ分の距離が開いているというのに、なぜだか心臓がドキドキする


「やっぱなんでもねぇ!」

「え、なに!?気になるッ!!」

「なんでもねぇって・・・!!」


十四郎はぐさっとハンバーグにフォークをつき刺し、口の中にいれた

だが、予想以上に暑かったらしく、水で口の中を冷やしていた


(変なの・・・)


あたしもパスタを口の中に入れると、クリームの味に満たされ緊張が一気にほどけた

十四郎は口の中が冷やされたらしく、息を吐きながらコップをテーブルにコトン、とおいた


「やっぱり、言ってもいいか?」

「ん?」

「より戻さねぇか?俺達」

「・・・え」

「お互い・・・その、好きって分かったんだし、また前みたいに」


なぜだろう・・・。十四郎の言葉がとてもうれしくてたまらないのに、素直にうん、と言えないのは

なぜだろう・・・。十四郎にそう言われた瞬間に沖田の顔が浮かんでしまったのは・・・・


(どおして・・・・)


―・・・


じめじめとした気温のせいで制服が肌にはりつく

机にうつぶせてそのあつさにやられていると、ポコン、と何かで頭を叩かれた


「十四郎、おはよう」

「おはよう、じゃねぇよ。ぶっ倒れてるのかと思ったわ」

「失礼な」


十四郎はあたしの頭をぶったであろう、ペットボトルのジュースを数口飲んでからあたしの方に差し出してきた


「のむか?」

「うん。珍しいね、どうしろうがこのジュース飲むなんて」


炭酸がちょっときつめのレモンサイダー

あたしは夏になると無性にこれがのみたくなり、この季節からよく買っている


「お前も飲むかとおもってよ」

「・・・ありがとう」


さりげない優しさは、前と比べて一段と感じられるような気がした

あたしは先ほど十四郎が口付けていたボトルに、自分の唇を重ねた


(あ・・・間接キス・・・)


ちょっとドキドキしながらジュースを飲んで・・・間接キスでこんなにドキドキするなんて、ちょっと子供っぽいかな・・・・

シュワシュワトした感覚が、一気にあたしの目を覚まさせた


「ありがとう。生き返ったぁ」


ヘラっと笑って十四郎にジュースを返せば、彼が口元に手を当てた


「十四郎?」

「いや、なんでもねぇ」

「え、なに?なになに?」

「なんでもねぇって!引っ張んな」


ちょっとそむけられた顔は、暑さからなのか、別の理由なのか・・・・ちょっと赤い

十四郎は、じゃぁな、とちょっと冷たく言ってから自分の席へと戻ってしまった


「仲いいアルな。戻ったアルか?」


十四郎が言ってからすぐ神楽がやってきてあたしの隣の席に座った


「んーん。戻ってないよ、まだ」

「ふーん」


『返事は、あとからでもいいからよ』

この間、ファミレスで十四郎にそう言われてうなずいた

ずっと待っていた言葉であり、ずっと待っていたその瞬間

なのに・・・胸の中にあるモヤモヤがいつまでたっても取れない・・・・。





にほんブログ村 ↑↑今回はちょっと甘いのが少なくなってしまいました>< ですが、これからもっと修羅場になりそうですねぇwww そしてランキングが5位に浮上><!!ありがとうございますッこれからも頑張りますのでポチリお願いしますッ

エンタングル(逆ハー,3年Z組:第8話)

第7話 の続きとなっておりますッ!!前回から大分開いてしまいました、すみませんッ

最近いろいろとバタバタしてましてパソコンにもあまり触れず・・・くぅ

今回こそは10話構成でいこうと思いましたが、いつものごとく10話を越しそうですwwでは、本編へどうぞ


ゲームセンターのガチャガチャとした音が、すごく遠くから聞こえているような気がする

かわりにあたしの耳の中で聞こえるのは、あたしの大きな鼓動だった


「え・・・?」


『アンタ、俺と付き合いやせん?』


頭の中でぐるぐるしている沖田の言葉が、あたしの思考回路を重たくしていく

数秒の間が開いてから、あたしはかっちこちに固まってしまった顔に無理矢理笑顔をつくった


「何言ってんの?からかうのもいい加減にしてよー」


ドン、と沖田の肩を押しながらヘラっと笑って見せた


『あれ?バレちまいやした?』


きっとそんなことをいいながらいつものあのケロッとした顔であたしのことを小馬鹿にするのだろう

そんなことを思いながら沖田の方を見てみれば、くりっとした目から真剣な視線があたしに刺さる


「からかってなんかいやせんよ」

「ちょっと、芝居はもういいから」


もうやめてよ、なんていいながら沖田の横から歩き出そうとした

だが、腕をぎゅっとつかまれ前に出した足がとまる

沖田はそのまま何も言わずあたしのことを引っ張って歩き出した

強くつかまれた腕から、沖田の体温がジンワリと伝わってくる


「ちょっと、きゃっ」


プリクラ機の中にドン、と押し込められ沖田も一緒にプリ機の中に入ってくる

顔を明るく映すためのライトが、中の温度を上げていて入ってするに背中が汗ばんできた

沖田は、まだあたしの腕を離してくれない


「おき、た?」

「どうしたら信じてくれるんでィ?」


やっと腕を離してくれた沖田が、ちょっとかすれた声でいってくる

沖田もあついのか、額の汗をYシャツのそでの部分で拭っていた

Yシャツのからチラッと見える、首筋から鎖骨のラインがあまりにも綺麗すぎて見とれてしまった


「聞いてんのかィ」

「きゃ」


ドン、とプリ機の背景部分の壁に腕をついた沖田

あたしは沖田と壁の間に挟まれ、身動きが取れず身体を縮こめた

身長差から、あたしのことを上からまつ毛を伏せてジッと見てくる

その視線と距離に耐えられず、あたしは下の汚れを見るばかりだった


「こっち向けよ」

「やだ・・・」

「なんででさァ」

「近いよ」


消えそうな弱弱しいこの声と、このバクバクとうるさい心臓の音は、きっと全部沖田に聞こえてる

おでこに沖田の吐息がかかりそうなほど、近い


「顔、あげろ」


そう言われて、ためらったもののゆっくりと顔をあげて沖田の方を見た

目があって5秒ぐらいどちらも何も言わず視線を絡めていた

反射的に沖田の制服をつかんでしまい、沖田はそのあたしの手を握った

そこからまた数秒見つめ合ってから、沖田の顔が徐々に徐々に近づいてきた


(え・・・・ちょ、待って・・・!!)


むぎゅうっ!!


目をつむっていた沖田は思っていた感触と違うものが唇に当たったので、眉間にしわを寄せながら目を開いた

近づいてきた沖田に心臓が耐えきれず、あたしはさっき沖田からもらったぬいぐるみを彼の口元に押し当ててしまったのだ

沖田はそのぬいぐるみを口元から引きはがすと、あたしとの間に2歩分ほどの距離をとった


「ぶち壊しやがって」

「ごめん・・・。だって・・・」


いきなりキスされるなんて思わなかったから・・・・今回は未遂だけど・・・

沖田はポリポリと頭をかくとため息をついてからプリ機の中から出て行ってしまった

あたしはまずい、と思って彼の後を追って隣に並んだ


「気分が盛り下がりやした、アンタのせいで」

「ごめん。クレープおごるから許して」

「あとジュースもな」

「それくらいは自分で買ってよ」


沖田は、何事もなかったかのような平然とした振る舞い

ねぇ、さっきキスしようとしたこと忘れてる?

あたしばかりドキドキして、振り回されて・・・・


(付き合ってっていったの・・・・嘘なのかな・・・)


コロコロ態度が変わる沖田には、こっちまでため息がもれてしまった


―・・・


「何それ、聞いてない」

「聞いてないお前が悪い」


沖田とのことがあってから2日が過ぎた放課後、場所は国語準備室である

銀八に呼び出され何かと思ったらこのあいだ半分ぐらいしかやらずに提出したプリントを全部やれ、とのこと

クラスのほぼ半数も半分くらいしかやってなかったらしいが、みんな一度プリントを返され家でやってきてまた提出

そのことに関してあたしは、遅刻したのか、寝ていたのか、保健室にいたのか・・・・

どの理由なのかはわからないが、とりあえず聞いてなかったらしい


「仕方ねェ、神楽のプリント貸してやるからそれ書きうつしてとっとと帰れ」

「それ教師がやっていいこと?」


(ま、楽にプリント終わらせられるしいっか)


銀八から借りた神楽のプリントを移そうと思ったが、問1の答えに酢昆布、と書いてあってとりあえず銀八に返した


「違う人のにして。あのこの脳内はあたしも分からないから」

「仕方ねェな」


そう言って提出されたプリントの山の一番上を紙をあたしに貸してくれた

見覚えのある字に名前を見ると十四郎のプリントで、一瞬手が止まってしまった


(十四郎・・・やっぱ字きれいだなぁ)


そのプリントをじっと眺めていると銀八が紫煙をまき散らしてからあたしの方に身体を向けた


「お前ら、なんで別れたんだよ」

「なんでって・・・別に」

「お前、あんなにマヨ野郎に愛されてたじゃねぇか」

「・・・・愛されてなんかなかったよ」


ボツ、とそう言ってからプリントに向き直りうつし書きをした

銀八はそれである程度悟ったのか、ふぅんと言うだけでそれ以上何も聞いてこなかった

十四郎はあたしのことなんてきっと好きじゃなかった

告白したのも、デートに誘うのも、電話も、キスもほぼほぼ全部あたしからだ

十四郎はいろんな人に告白されていて、他の人の告白はみんな断っていた

だが、あたしの告白だけは一言目でOKを出してくれた

今思えば、彼女が欲しかっただけなのかもしれない

だって、あたしが告白するまで十四郎とは席が一度隣になっただけであまり関わりはなかった


(本当は・・・・賭けだったんだよな)


別れよう、と言ったのは本当は賭けでもあった

それで十四郎が引き留めてくれたら、きっと・・・いや、絶対彼の元に戻っていた

あの別れは、十四郎がどういう反応を示すか、という賭けもあったのだ

だが、十四郎はまた一言目にはOKの返事

きっとまた他の女ができるし程度だったのかもしれない


「お前さァ・・・・」

「ん?」


銀八に声をかけられ、涙目になっていた目をこすってから彼に顔を向けた

銀八は短くなった煙草を灰皿に押し当ててから、口を開く


「言葉足らずだよな。お前も、あいつも」

「なにが?」

「アイツのこと見てれば、お前のこと好きだってことくらい分かるだろ」

「・・・・十四郎のことは、もういいよ」


あたしはまたシャーペンを走らせて殴り書きでプリントを終わらせた

あまりにも適当に書きすぎて、最後の方は筆記体でも書いてるんじゃないかというぐらいだった


「失礼しました」


国語準備室を出てから歩き出せば、かかとを踏んでいる上履きがぺたぺたと音が鳴る

昇降口まで行き、外に出ると校門のところに十四郎が立っていた

お互いに目があって、数秒の間が開いてからあたしが先に口を開いた


「・・・今帰り?」

「いや、待ち合わせ」

「そっか。近藤くん?」

「いや」


そこで口を閉じると、数歩あたしの方に歩み寄ってきてからあたしの手をきゅっと握ってきた


「お前」


握られた手から、みるみる熱くなる

またドキン、ドキンと心臓が跳ねあがって、胸が苦しい

あたしの心臓は最近忙しい。



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エンタングル(逆ハー,3年Z組:第7話)

第6話 の続きになります!!いや、なんかもう長篇書くのも大変になってきたので

10話くらいで切り上げたい気持ちがこみ上がってきております(ちゃんとやれwww

10話はもしかしたら(というか確実)すぎるかと思うのですが、なるべく短く行きますッでは、どうぞ


肩で息をして、乱れた呼吸を少しずつ整えていく

沖田も、静かに息をしながらあたしのことを見ていた


「なんで、嘘ついたの?」

「なにがでィ」

「家が近くって」


前に、家はすぐ近くだから、と送ってもらったことがあったが、十四郎の話ではここからチャリで20分くらいだそうだ

沖田は少し居心地が悪そうな顔をしてあたしから視線をそらした

数秒の沈黙の後、やっと彼が口を開く


「家が近所の方が、アンタを家に送る都合ができるだろィ」

「送って、なんて頼んだ覚えない」


あの日は沖田が傘を忘れたから一緒に入れてあげただけで・・・

送ってなんて一言も告げた覚えはなかった

沖田はなぜかそこでため息をつくとあたしの手首をつかんだ


「いたいッ」

「んな、強くつかんでねぇだろ」


掴まれた手首を引っ張られ、数歩沖田の方へ近づいた

腕を回せば、抱きつくことができるくらいの距離だ


「じゃぁ、アンタはなんて俺のこと追いかけて来たんでィ」

「なんで・・・?」

「あのまま土方さんと家にいりゃ、元サヤにもどれたかもしんねぇってのに」


あたしととらえた沖田の視線が、とても鋭い

まるであたしの身体まで射ぬいてしまいそうなその目線から、逃げることができず沖田のことをみつめる

また少し沈黙が続いてから、あたしは沖田の問いかけに答えるため口を開く


「知りたいから」

「はぁ?」

「なんで沖田が嘘ついたのかも、なんでうちにきたのかも、なんであたしにそんなに構うのかも・・・。全部知りたいから」


それだけ言って、あたしは沖田の手を振り払い3歩後ろに下がった

沖田は少しだけ目を見開き、あたしのことを数秒見てから吹きだして笑った


「アンタ、やっぱ面白れェ奴でィ」

「な、何よ!その反応ッ」

「そこは『沖田のことが好きだから』くらいのこと、言えねェんですかィ?」

「なんであたしがアンタのこと・・・」


沖田は鼻でフンと笑ってからあたしの頬を鷲掴みにするようにガシッと掴んできた

彼の手の力と、いきなりのその行動に一瞬恐怖に襲われた


「気ィつけなせェ。男ってのは気のあるそぶりされると勘違いする生き物でィ」

「は?」

「土方より俺のが有利な立場に立ってるかと思ってやしたが、そうでもねぇみてぇですねィ」


沖田はそう言うとあたしから手を離し、そのまま振り返って歩き出してしまった

彼の名前を言って、呼びとめたが沖田は止まることなく歩いて行ってしまう


「沖田!」

「アンタ、月曜の放課後暇ですかィ?」

「・・・・ひまだけど」

「じゃぁ、あけときなせェ」


あたしの呼び掛けには応答しなかったがその会話をすると、ちょっと振り返ってあたしに顔を見せた

横顔に日の光を浴びて、眩しくてちょっと目を細めた

ヒラヒラと後ろ向きであたしの方に手を振るので見えないと分かっていながら手を振った

いきなり押しかけていきなり帰って・・・・本当に迷惑な奴・・・・

そう思いながらもなぜかちょっと笑ってしまった


―・・・


あの後家に帰ると十四郎からの置き手紙が置いてあった


『邪魔したな。今日は悪かった』


それだけ綺麗な字で書かれた、小さな紙切れが机の上に合った

すぐ十四郎にメールを入れると、1時間くらいしてから帰ってきた

そこから30分ほどメールでやり取りをしたが、特に進展はなく終わってしまった


「はぁ・・・。なんか疲れた」

「どうしたネ?」

「んーん、なんでもないよ」


あっという間に月曜日になり、あたしは土曜日のことでどっと疲れがたまっていた

ため息をつけば、酢昆布をかじる神楽がこちらに視線を向けて声をかけてくれた


(あ・・・十四郎)


神楽と廊下の壁に寄りかかっていると、向こうから十四郎が歩いてくるのが見えた

ついつい彼を目で追ってしまうのはきっと片思いしていた頃からの癖なんだろう

あと少しと言うことで十四郎もこちらの存在に気付きあたしと視線が絡んだ


「おはよう」

「はよ」


たったそれだけの短い挨拶

昨日はあんなに近い距離にまで近づいたのになぁ・・・・

またため息が出るとパコンと頭を叩かれ、下に下げていた頭を上にあげた


「朝から心気臭ェため息はいてんじゃねぇやィ」

「痛いんですけど」


沖田はあたしの頭にぶつけてきた、ペットボトルのキャップを開けて中身に口をつけた

中身の飲み物は半分ほど減っていた


「それより今日の放課後」

「分かってるって。あけとくよ」


放課後何があるのか知らないが、とりあえず付き合ってほしいことは分かっている

流すようにはいはい、と返事をすれば沖田はあたしたちの前から立ち去った


「お前今度はサドと付き合ったアルか?」

「違うよ!最近なんか一緒にいること多いだけ」

「ふうん。でもやたらと一緒にいるアルな。アイツと」

「うん・・・。確かに一緒にいるかもね、ここ最近は」


気がつけば十四郎と別れてから沖田と接する機会が多かった気がする

丁度十四郎と別れて心がおれかけていたこともあってか、沖田に寄りかかってしまった部分もあるだろう


「放課後どこ行くネ?デートアルか?」

「そんなんじゃないよ。きっと雑用手伝って、とかそんなんじゃん?」


笑いながら神楽に返すと、予鈴のチャイムが鳴り二人で教室へと入った


―・・・


「そんでねー、あたしそれからあの映画はまっちゃってさぁ」

「んな面白くなっかたろィ。あれ」

「そんなことないよ。ストーリーもよかったし・・・・」


(・・・・ってか、これデートじゃん)


場所は変わって駅ビルでウィンドウショッピング中

となりはゲーセンでガチャガチャピコピコと愉快な音がこちらに響いてきている


「てか沖田さ、今日用事があってあたしを誘ったんじゃないの?」

「だからこうしてデートしてるだろィ」

「・・・・あ、そうか」


やっぱり、遊びに誘ってくれたんだ・・・・

まさか沖田とこうやってデートするなんて思っても見なくてさっきまで平気だったのにいきなり緊張してきてしまった

会話が途切れるのがなぜか怖くなり、そういえばさ、と明るい口調で彼に話しかけた


「小腹空かない?ここさ、上にクレープ屋さんあるじゃん?それか近くのファミレスでもいいけど・・・・。ちょっとつまむ程度ならくれーぷでもいいかなって。てか、沖田って甘いもの大丈夫な感じ?」


そう問いかけ彼の方を向くとあたしの隣に沖田はいなくて、ゲーセンのUFOキャッチャーに小銭を投入しているとこだった

人がせっかく気を使って話しかけてやったのに、と口角が引きつりながら沖田の方に歩み寄った


「なにとってんのよ」


ため息交じりに聞けば、いきなりポンとこちらにぬいぐるみが投げられ反射的にそれを受け取った

それは、さっき話していたあたしが好きな映画のキャラクターのぬいぐるみだった


「やる」

「え、いいの?」

「やるって言ってんだから、一回で受け取りなせェ」


あたしは沖田とぬいぐるみの顔を2,3度交互に見てからぬいぐるみをぎゅうと抱きしめた


「ありがとう!大事にする」


そのぬいぐるみの顔をちょっと見つめてから、ねぇ、と沖田の方を向くと顔がそっぽ向いていた

あたしは近寄って彼の肩にポンと手を置く


「ねぇ、どうしたの?」

「ちょ、見んなよ!」

「え?なに?どうし・・・」


肩をぐっと引っ張り沖田の顔を見ると耳まで赤くなってしまっていた

その表情を見た瞬間、ドキンと心が大きく飛び跳ね、沖田との間に距離をとった

沖田はYシャツをパタパタと仰ぐようなしぐさをして、自分の体温を下げているようだ

チラチラと見える首筋から鎖骨のラインが、とても色っぽい


「沖田、あの・・・」

「アンタといると、ホント調子がくるいまさァ」

「・・・ごめん」


何がごめんなのか分からないが、反射的に口から軽い謝罪が飛び出した

沖田はやっとあたしの方に顔を向け、開いている距離を縮めようとあたしの方に歩み寄った

それから、ぬいぐるみを抱いているあたしの手を握った


「アンタ、俺と付き合いやせん?」


(・・・・え?)


ゲームセンターの音が、いきなり耳から入らなくなり、沖田の声だけがはっきりと聞こえた

心臓はここ最近の中で大きく、大きく鼓動を揺らしていた。





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